大進化ユニット(Macroevolution Unit)

大進化ユニット(PI:ローレン・サラーン)は、生物多様性が空間と深い時間の中でどのように生み出され、制約され、再編されるのかを明らかにする、理論主導型の研究グループです。私たちは、「進化史の中で実際に何が起きたのか」「なぜそれが起きたのか」という二つの問いを軸に研究しています。前者には、分類学、標本、化石産出記録、形質、系統、生物地理、現生群集の観察といった信頼できる一次データが必要です。後者には、比較解析、発生機構、バイオメカニクス、野外生態学、そして提案された機構が実際に観察された形態・系統樹・多様性パターン・入れ替わりを生み出せるかを検証する生成モデルが必要です。

私たちの研究は現在、Diversity–Reset Framework(多様性–リセット・フレームワーク)という発展中の統合的枠組みに収束しつつあります。この枠組みは、ある生物学的スケールで観察される過程が、いつ持続的な大進化構造へと拡大するのか、そして絶滅やその他の撹乱がいつその関係そのものを変えるのかを問うものです。

研究を進める中で、同じような「ずれ」が繰り返し現れてきました。変異が存在しても、それが実際の形態として実現するとは限りません。生き残ることと放散することは同じではありません。局所的な生態的優位性が長期的な進化的成功につながるとは限りません。また、分類群が大きく入れ替わっても、機能空間そのものが拡大するとは限りません。

そこで私たちは、局所的な効果がどのような条件で「持続する(persist)」「反復する(repeat)」「波及する(propagate)」「選別する(sort)」ことによって、より大きな空間・系統・時間スケールの生物多様性構造へとつながるのかを研究しています。絶滅と回復はその一部であり、撹乱は生態的機会や競合関係、地理的配置を変え、その後の進化に作用する発生的・機能的・生態的フィルターそのものを変える可能性があります。

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研究対象とアプローチ

本ユニットの研究は、次の4つの相互に関係する問いを中心に進めています。

リセットと再構築(Reset & Reassembly)
撹乱は進化の方向をどのように変えるのか?

系統の運命(Lineage Fate)
なぜ一部の系統は大きく放散する一方で、他の系統は少数種のまま存続したり消滅したりするのか?

スケールをまたぐ生態学(Ecology Across Scales)
局所的な生態過程は、いつ大進化に影響するのか?

形態・機能・例外(Form, Function & Exception)
なぜ進化上の解決策は繰り返し現れ、改良され、ときに予想を裏切るのか?

私たちは、化石、系統解析、分類学・系統分類学、バイオメカニクス、発生、集団ゲノミクス、野外生態学、比較形質データ、理論モデルを統合します。各プロジェクトで使う証拠は異なりますが、全体として、変異の生成、機能的な実現可能性、生態的フィルタリング、地理、系統史、そして深い時間における持続性を結びつけます。

大進化の問いに必要なデータセットは、十分な規模や一貫性をもった形では存在していないことが少なくありません。脊椎動物全体や深い時間を扱う場合、化石産出記録や形質データを一次文献や標本記録から何年もかけて集積し、分類体系を照合・統一し、数万件規模の記録を標準化して初めて比較解析が可能になることがあります。そのため、信頼できる一次データを構築すること自体が研究の一部です。

一方、沖縄の現生系では、種同定、分布、形質、ゲノム、機能、群集構造をはるかに高い解像度で測定できます。こうした現生系のデータを用いて機構を直接検証し、それを化石記録に残された不完全な歴史的証拠と比較しています。

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研究対象システム(Study Groups)



魚類(Fishes)

形態・機能・生態・多様化・系統史を結びつけるための主要なモデル系です。5億年以上にわたる化石記録を、現生種の膨大な多様性、バイオメカニクス、発生、ゲノミクス、生態学と統合することで、異なるスケールにまたがる一般的な大進化仮説を検証できます。

初期脊椎動物(Early Vertebrates)

主要なボディプラン、生態戦略、機能システムがどのように生まれたのかを検証する自然実験です。化石記録を用いることで、発生的・機能的に可能な形態がどのように実現されたのか、絶滅が進化的機会をどのように再編したのか、そしてなぜ一部の形態が存続し他が消えたのかを調べることができます。


水圏生態系(Aquatic Ecosystems)

局所的な生態過程が、いつ長期的な進化構造へと拡大するのかを検証するシステムです。生息地選択、競争、分散、群集形成、生物地理、群集の入れ替わりを研究し、それらの効果がどのような条件で持続・反復・波及・選別され、空間と時間を超えて系統の進化に影響するのかを問います。

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メインページ:研究室メンバー募集(Join the lab)

研究室メンバー募集

本ユニットでは、学生・ポスドク・インターンを募集しています。
生物学、物理学、工学、数学、情報科学、地学など、多様なバックグラウンドの方を歓迎します。

大進化を、生態・物理・歴史要因が相互に作用する複雑系として扱い、理論・個体・データを統合して研究します。

博士課程:概念的/個体的関心と科学的素養を重視。入学後は独立した博士研究テーマを主導。
ポスドク:1分野の専門性と独立した研究展開への意欲を重視。
インターン:既存プロジェクトに参加しつつ、指導のもと独自テーマに取り組めます。成果に応じて共著・筆頭著者可、修了後の継続も可能。

※ 本ユニットは、保全・モニタリング中心の研究室ではありません。調査・分類は理論検証のための基盤構築として実施します。

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ロゴの説明(Logo)

Lab Logo

大進化ユニットのロゴ(作:John Megahan)は、研究対象の時間スケールと進化的範囲を象徴する2種の魚を描いています。

左の Sacabambaspis は、骨(装甲)をもつ初期の無顎類で、約4億6千万年前に南半球の浅海に広く分布していました。
右の Caesio diagramma(グルクン/タカサゴ)は、沖縄県の県魚で、現在のサンゴ礁域に普通に見られる浮遊動物食魚です。

両者は約4億6千万年という時間差にもかかわらず、成魚サイズ(約25cm)や摂餌様式(吸引による動物プランクトン食)が類似しています。この対比は、系統が入れ替わっても、生態的役割や機能設計が繰り返し現れるという本ユニットの中心思想(制約・反復・リセット)を象徴しています。

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