研究ビジョン

研究ビジョン

私たちの研究の中心には、「進化史の中で実際に何が起きたのか」「なぜそれが起きたのか」という二つの問いがあります。

何が起きたのかを再構築するためには、分類学、標本、化石産出記録、形質、系統、生物地理、ゲノム、現生群集の観察といった信頼できる一次データが必要です。なぜ起きたのかを説明するためには、自然実験、比較解析、発生機構、バイオメカニクス、野外生態学、そして仮説として提案された過程が実際に観察された形態・系統樹・多様性パターン・入れ替わりを生み出せるかを検証する生成モデルが必要です。

生物多様性は、異なるスケールで働く過程の相互作用から生まれます。突然変異と発生は可能な変異を生み出し、バイオメカニクスはどの形態が機能できるかを制約し、生態と地理がそれらを選別します。系統史はその結果を蓄積し、絶滅や環境撹乱は、これらすべてが作用する条件自体を変える可能性があります。

私たちは、局所的あるいは短期的に観察される効果が、いつ持続的な大進化構造になるのかを研究しています。

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Diversity–Reset Framework

Diversity–Reset Framework(多様性–リセット・フレームワーク)は、進化上の効果がどのような条件で「持続する」「反復する」「波及する」「選別する」ことによって、より大きな空間・系統・時間スケールの構造として現れるのか、そして撹乱がいつそれらの関係を変えるのかを比較するための、発展中の統合的枠組みです。

この枠組みは、私たちの実証研究で繰り返し現れた、いくつかのずれから生まれました。

変異 ≠ 実現した形態
生存 ≠ 放散
局所的な優位性 ≠ 長期的な進化的成功
分類群の入れ替わり ≠ 機能空間の拡大

単一の過程ですべての大進化を説明するのではなく、4つの関連する問いを結びつけます。

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1. リセットと再構築

撹乱は進化の方向をどのように変えるのか?

大量絶滅、環境変化、その他の撹乱は、生態的機会、既存系統による占有、地理、種間相互作用のネットワークを変化させます。回復によって以前の構造が再現されるのか、それとも進化の軌道自体が変わるのかを検証します。

2. 系統の運命

なぜ一部の系統は放散し、他の系統は存続または消滅するのか?

近縁で同程度に古い系統でも、種数や形態的多様性が何桁も異なることがあります。私たちは、種の起源、多様性の蓄積、長期的存続、絶滅、生態的飽和、潜在的な進化可能性を区別し、多様性の違いを単一の「多様化速度」で説明しないようにしています。

3. スケールをまたぐ生態学

局所的な生態過程は、いつ大進化に影響するのか?

競争、捕食、生息地選択、分散、群集形成が個体や地域群集に影響することは明らかです。私たちは、それらの効果がどのような条件で持続・反復し、系統、生物地理、多様化、群集の入れ替わりといったより大きなパターンを形成するのかを研究しています。

4. 形態・機能・例外

なぜ進化上の解決策は繰り返し現れ、改良され、ときに予想を裏切るのか?

発生はどの形態を生成できるかを決め、バイオメカニクスはどの形態が機能できるかを制約し、生態はその中からどの形態が実際に実現・維持されるかを選別します。化石と現生生物を組み合わせることで、発生的に到達可能な形態、機能的に成立する形態、歴史的に実現した形態を区別します。

したがって「リセット」は、より大きなスケーリング問題の一部です。どの進化的可能性が生み出され、どれが機能可能で、どれが生態的フィルターを通過し、どれが歴史的構造となるまで持続するのかを問います。

エビデンスを構築し、機構を検証する

多くの大進化の問いは、既存のデータベースだけでは答えられません。必要な証拠が、十分な分類群範囲・解像度・一貫性をもった形でまだ構築されていないためです。

化石産出記録や形質データセットは、一次文献や標本記録から何年もかけて情報を抽出し、分類体系を照合・統一し、数万件規模の記録を標準化・品質管理して初めて解析可能になる場合があります。現生系でも同様に、種境界、分布、形質、系統関係、集団構造を正確に把握する必要があります。

そのため私たちは、一次データの構築そのものを分析手法の一部として扱います。

私たちは以下の証拠を組み合わせます:

化石 — 長期的な動態、絶滅、回復、歴史的形態
分類学と標本 — 信頼できる生物学的単位、分布、形質
系統解析 — 系統関係、多様化、不均衡
ゲノミクス — 集団構造、隠蔽された分化、歴史的連結性
発生 — 表現型変化への到達可能性とモジュール性
バイオメカニクス — 機能的成立可能性と性能上のトレードオフ
野外生態学 — 生息地選択、群集形成、現代の生態的フィルタリング
生成モデル — 仮説となる機構が観察された形態・系統樹・多様性パターンを生み出せるかの明示的検証

目的は、複数のデータセットの間に相関を見つけるだけではなく、提案された機構が観察されたパターンを実際に生成できるかを検証することです。

4つの関連する問い

撹乱は進化の方向をどのように変えるのか?

なぜ一部の系統は放散し、他の系統は存続または消滅するのか?

局所的な生態過程は、いつ大進化に影響するのか?

なぜ進化的な形態は繰り返し現れ、改良され、ときに予想を裏切るのか?

これらの問いは相互に関連しています。系統は大きな変異を生み出しても放散しないことがあります。絶滅を生き残っても、その後に成功するとは限りません。局所的に高い適応度をもつことが、長期的な多様化につながるとは限りません。また、分類群が大きく入れ替わっても、遠縁の系統がすでに存在した機能的形態を繰り返し再現することがあります。大進化を理解するには、こうしたスケール間のずれそのものを説明する必要があります。

プロジェクト同士のつながり

リセットと再構築

化石時系列と自然実験を用いて、大量絶滅や環境撹乱が多様化、生態的機会、地理、回復に与える影響を検証します。現在は、大量絶滅やレフュジアによる隔離から、より緩やかな競争媒介型の系統交代まで、異なる種類の撹乱を比較しています。

系統の運命

比較系統樹、化石史、生態モデルを用いて、なぜ一部の系統が大規模に放散する一方で、他の系統は数千万年から数億年にわたり少数種のまま存続するのかを検証します。脊椎動物全体の系統不均衡、競争・多様性依存型のターンオーバーモデル、「生きた化石」と呼ばれる保守的系統の実験研究などが含まれます。

スケールをまたぐ生態学

沖縄・インド太平洋の現生系を用いて、生息地選択、分散、集団構造、群集の入れ替わり、種境界を直接測定します。分類学、系統分類学、標本記録によって解析単位を確立し、野外生態学、集団ゲノミクス、生物地理学によって局所構造が長期的な進化パターンへと拡大する条件を検証します。

形態・機能・例外

化石形態、発生データ、バイオメカニクス、生成モデルを用いて、なぜ一部の形態が繰り返し進化し、他の形態がほとんど現れないのかを研究します。現在のプロジェクトでは、収斂進化、反復構造、脊椎分節、魚類形態空間、歯の機械的特性、絶滅脊椎動物の流体力学などを扱っています。

すべてに共通する一次データ

4つの問いのすべてが、信頼できる一次証拠に依存しています。種同定、化石産出記録、形質、分布、系統関係は、大進化解析に用いる単位そのものを決定します。したがって、これらのデータを構築・改善することは、それ自体が科学的貢献であると同時に、後の統合解析の基盤でもあります。