OISTにおける研究公正の推進

科学研究は、最も高い倫理基準に則って行う必要があります。科学は、客観的な実験や仮説から得られた知識が強固な基盤となり、その上に成り立っています。科学的厳密性を損なう活動は、科学そのものだけでなく、科学に対する社会の認識や個人および研究機関の評判にも悪影響を与えます。

1. 研究不正

大半の研究は、定評のある学術誌に掲載され、公正かつ誠実に研究結果が発表されていますが、中には誤った内容の論文も存在します。それらは故意によるもの、過失によるもの、単純な間違いによるものなど、さまざまです。故意や過失によるものは、倫理的にも職業においても深刻な問題となります。また、単純な間違いによるものは、発見次第すぐに訂正する必要があります。不正行為には、盗用(他者の研究を本人の了解なしに流用すること)、改ざん(データを操作すること)、捏造(存在しないデータを作成すること)のほかにも、実験動物や被験者等に対する非倫理的な実験などのさまざまな形態があります。不正行為は、故意または過失のいかんに関わらず、一切容認されません。

2. 研究公正および倫理の推進

本学の研究活動に関する基本方針は、科学研究が社会からの信頼と負託の上に成り立つという認識を基に策定されており、研究者に「科学者の行動規範-改訂版-」(2013年、日本学術会議)や文部科学省の「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」などの研究コミュニティが定める指針等に則って行動するよう求めています。研究科長および教員担当学監は、それぞれ学生および教員や研究者に対して研究倫理教育を行う責任があります。

2.1 研究者の受講が義務付けられている研修および活動

  • 本学は、すべての学生と研究者にオンライントレーニング「責任ある研究行為」(要ログイン)を修了することを求めています。
  • 学生のプロフェッショナル・ディベロップメントコースの一環として、研究倫理に関する必修科目を設けており、シニア教員がケーススタディを用いて授業を行います。
  • すべての研究者は、公表した全データをデータ・アーカイブ(要ログイン)に保存することが求められています。

すべての研究者は、OISTの規定に従い、研究試料及び化学物質の保存が義務付けられています。

研究または研究サポートに直接関わっていない職員に対しては、オンライントレーニング「責任ある研究行為(RCR)」は必修としていませんが、大学の一員として自主的に研究倫理を学ぶことを強く推奨しています。また、競争的研究資金の配分を受ける場合は、資金配分機関等より追加の研究倫理教育の受講を求められることもあります。

2.2 任意研修

本学では、教員や研究者に対しても外部の専門家による研究リーダーシップおよびマネジメント研修を実施しており、適切な研究環境の維持に務めています。 また、研究者に対して外部資金の申請に関する研修も実施しており、日本学術振興会(JSPS)およびCollaborative Institutional Training Initiative(CITI)による研究倫理に関するeラーニングコースを活用しています。

そのほかにも、教員担当学監オフィスのポスドク・ディベロップメント・スペシャリストおよび研究科の学務相談コーディネーターが、ポスドクや学生からのさまざまな相談に応じています。
https://groups.oist.jp/ja/pcda

3. 不正行為の疑惑に対して

研究不正行為の疑いがある場合は、各自の研究ユニットの研究代表者に相談する必要があります。それが不適切な場合は、学生は研究科長に、その他は教員担当学監に報告する必要があります。研究不正行為の疑いに対する最善の対応方法など、内密に相談を希望する場合は、本学のオンブズパーソンに助言を求めることができます。オンブズパーソンは、相談者の同意を得た上で、必要に応じて匿名で報告することができます。また、外部窓口として、顧問弁護士による不正通報ホットラインも設置しており、通報を受け付け、正式な調査を実施します。通報手続きの詳細は、基本方針・ルール・手続きライブラリ(PRP)の23.4.1 に記載されています。

研究不正の通報を受けて調査を実施する責任者は、教員担当学監です。調査手順は、文部科学省の「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」に準拠しており、予備調査を実施して本調査が必要かどうかを判断します。本調査の結果は、理事会及び内閣府に報告されます。

4. その他の関連サイト一覧