2026年5月12日
AI時代に広がる科学の夢を探る ― サイエンスチャレンジ2026
2026年3月8日から14日までの一週間にわたり、学部生・修士課程の学生24名をOISTに招いたワークショップが開催されました。本プログラムは毎年実施されており、今年で11回目を迎えました。参加した学生たちは、特定のテーマをもとに自らの研究アイデアを発表し、OISTならではの学際的な研究環境や学生生活を実際に体験しました。
今年のサイエンスチャレンジでは、参加者一人ひとりが自分の科学の夢を語り、AI時代においてその研究をよりインパクトのあるものにするにはどうすればよいのか、ワークショップ最終日に行われた3分間のプレゼンテーションで発表しました。
プレゼンテーションに向けて、期間中はOIST研究者やスタッフによる発表のコツを紹介する講義が行われました。また、参加者それぞれに対して個別にアドバイスを行い、研究アイデアやプレゼン内容をブラッシュアップしていきました。
科学研究におけるAIの利点や課題について議論するディベートや、適切なAIの活用方法を学ぶワークショップ、さらにAIをテーマにしたさまざまなサイエンストークが行われました。これらのプログラムを通じて、参加者は科学におけるAIの影響について多角的な視点から考え、その学びを最終日のプレゼンテーションに生かしました。
また、サイエンストークでは、神経科学、化学、データサイエンスの分野においてAIがそれぞれの研究にどのような影響を与えているのか、3名の教授が講義を行いました。
その他にも、キャンパスツアーや研究施設見学、研究室訪問、教授や研究ユニットメンバーとの個別面談、体験型アクティビティなどを通して、OISTの研究環境を幅広く体験することができました。
体験型アクティビティでは、身近な材料を使った流体の計測(マイクロ・バイオ・ナノ流体ユニット)や、魚類組織からのRNA抽出(海洋気候変動ユニット)、ロボティクスへの応用を想定したモデル構築(認知脳ロボティクス研究ユニット)、シングルボードコンピュータやマイクロコントローラを用いた実習(力学と材料科学ユニット)、浮遊するグラファイトの追跡(量子マシンユニット)など、多様な研究分野を体験しました。
最終日に行われたプレゼンテーションでは、参加者それぞれの研究プロジェクトにAIをどのように取り入れていくのかをテーマに、「最優秀発表賞」と「オーディエンス賞」をかけた発表が行われました。
生物学やデータサイエンス、化学などの分野において、既存の手法や技術とAIを有効に組み合わせるアイデアや、AIによって手作業を最小限に抑えることで人々が新たなアイデアやプロジェクトの創出、自己成長のために時間を使える環境を目指すものまで、多岐にわたる研究プロジェクトが提案されました。
提案された研究プロジェクトの中から、特に優れた3つのアイデアが審査員から高い評価を受け、そのうち、東北大学の三好小春さん、東京大学のメリッサ・アリファ・ダ・コスタさんが、特別表彰を受賞しました。
三好小春さんは、科学教育の重要性や科学に対する信頼を築くことの大切さを強調した点が高く評価されました。人々が情熱と創造性をもって科学研究に取り組むためには、AIでは生み出すことのできないこれらの要素が不可欠であることを、発表を通して示しました。
メリッサ・アリファ・ダ・コスタさんは、遺伝学的解析と免疫学的解析を統合することでデング熱の発症を予測し、研究者を支援するAI搭載プラットフォームの活用を提案した点が評価され、特別表彰を受賞しました。変異の検出を通じて重症化リスクを予測するこのアプローチは、AIを活用した研究の新たな可能性を示すものです。
審査員と観客から最も高い評価を受け、「最優秀発表賞」と「オーディエンス賞」の両賞を受賞したのは、東北大学の津田太朗さんです。
津田さんは、ホタテ養殖における天然種苗への高い依存度や、人工種苗生産を妨げているホタテの性に関する知見不足といった課題に着目し、ホタテ由来の細胞を用いた遺伝子過剰発現プラットフォームにRNA-seq解析およびAIを活用したデータ解析を組み合わせることで、ホタテの性分化に関わる分子メカニズムを解明する研究を提案しました。