ヒトの心臓再生を加速するUDプロテオミクスが導く幹細胞プログラミング

取り組んでいる課題 

心不全は、世界中で何百万人もの人々が苦しむ命に関わる慢性疾患の一つです。心臓移植の合併症やドナー臓器の不足などの問題を克服する有望な戦略として、幹細胞療法が注目されています。しかし、再生医療における幹細胞由来の心筋細胞 (CM)の利用には、1)分化した細胞は十分な健康状態と成熟度が欠けていること、 2)分化プロセスが遅く数週間かかることが多いこと、という課題があります。したがって、私たちの目標は、ヒト幹細胞を成熟した心筋細胞にプログラミングするための効率的で迅速なプロトコルの開発をすることです。 

POC Project 71: Figure 1
図1. UDプロテオミクスデータを活用し、市販の分化キットよりも心筋細胞の成熟を大幅に促進する転写因子の組み合わせを同定・検証

私たちの解決策  

本プロジェクトでは、心筋細胞分化プロセスを最適化するために、独自の「Ultra-definition (UD)」プロテオミクス手法(Taoufiq Z., et al, PNAS, 2020)を用いて、細胞研究を精力的に行っています。プロテオミクス手法をゲノミクスやトランスクリプトミクスの代わりに用いるのは、RNAとタンパク質のレベルおよび半減期の相関関係が中程度から弱いためです。さらに、核や細胞膜などの細胞内小器官を生化学的に精製し、従来のプロテオミクス技術では検出できなかった特定のタンパク質をより深く解析できるようにします。主に心筋細胞の転写因子の組み合わせと心筋細胞表面受容体の同定に焦点を当て、新しい細胞培養レシピと強力な分化経路の創出を目指しています。このアプローチにより、iPS細胞から心筋細胞への分化を5日間に短縮し、10日で成熟した細胞を得ることができました。 

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図2. 分化した心筋細胞の成熟マーカーであるトロポニンT (TNNT2) を用いた免疫蛍光解析 (10日目)。Stem Cell Technologies社のキットと比較して、『OIST因子』で分化した心筋細胞は高レベ
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