取り組んでいる課題
過酸化水素(H2O2)は、製紙における漂白工程、化学物質の合成、排水処 理、消毒など、さまざまな分野で用いられる重要な化学物質です。現在、過酸化 水素はほぼすべてアントラキノン法(図1)で生産されていますが、この方法では 大量の有機化合物とパラジウム(Pd)触媒を使用してこの非常に単純な分子を 合成しています。その結果、アメリカでは最もエネルギー集約的な化学物質トップ 10 のひとつに数えられており、生産は大規模な集中型施設でのみ経済的に実現 可能となっています。 触媒的な水素(H2)と酸素(O2)の反応は過酸化水素を合成する最もシン プルな方法の一つはとして知られています。現在、パラジウムがこの反応における最 も活性の高い触媒とされていますが、パラジウム触媒の高価格が、このプロセスの障 壁の一つとなっています。このプロセスと水の電気分解を組み合わせることで、遠隔 地での水処理に向けた過酸化水素の現地生産が可能になると考えられています。