J-PEKASの連携・参画機関との協働を通じてOISTが日本の研究力を強化する

学際的な連携の重要性が高まる中、OISTはJ-PEAKSの枠組みのもと、慶應義塾大学、琉球大学、そして他の協力機関とともに、日本の研究基盤の強化と国際的なつながりの構築に取り組んでいます。

科学的課題がますます複雑化し、社会の喫緊の課題の中には複数の領域にまたがる問題も増えてきている今こそ、意義のある学際的連携に基づく戦略的な協力が不可欠です。

この考え方は、協働を重視する「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」によっても裏付けされています。日本の大学は従来、非常に競争的な環境のもとで運営されてきました。しかし、現在では国の研究力を強化するため、大学間で相互に支援し、協力し合う方向へとシフトしつつあります。

OISTJ-PEAKS事業の中で、慶應義塾大学及び琉球大学という国内有数の学術機関と連携し、研究・教育・イノベーション・アウトリーチにおける卓越性の実現に取り組んでいます。さらに、13の世界的な参画機関とも協働し、日本と世界の研究コミュニティをつなぐゲートウェイとしての役割を一層強化する堅固なネットワークを構築しています。

OIST-慶応義塾大学

慶應義塾大学との連携では、医学・工学・社会科学における同大学の強みとOISTの強みを組み合わせ、特に都市開発の分野において研究とイノベーションを推進しています。7月には、慶應義塾大学の医学部生20名がOIST10日間の集中プログラムに参加し、実践的な研究体験を積みました。両大学の事務職員もまた、研究推進や外部資金の獲得に関するベストプラクティスを共有し合うことで、事務部門間の協力体制を強化しています。

今年1月には、慶應義塾大学と7回合同シンポジウム「科学と社会の出会い:生命科学への学際的アプローチの最前線」を開催しました。11月には、OISTが主催する国際アドミニストレーション・フォーラムに慶應義塾大学の職員が参加するほか、12月には「KEIO TECHNO-MALL 2025(慶應科学技術展)」にOISTイノベーションが出展する予定です。人文社会科学分野での共同研究も拡大しており、12月と来年1月には新たなシンポジウムが計画されています。さらに、クライオ電子顕微鏡研修をはじめとするコアファシリティを軸にした連携や、その他の研究交流も一層深まっています。

OIST-琉球大学

琉球大学との連携は、OISTが地域に根付き、共同研究の強みを沖縄の発展の優先課題と結びつける上で非常に重要です。両大学は、施設等リソースの共有や地域社会との連携を通じて、研究とイノベーションの推進に取り組んでいます。直近では、コアファシリティの複数のセクションを対象とした研修プログラムや、技術スキルの把握と強化を目的とした職員交流等を共同で実施しています。海洋科学分野も成長と協働の重点分野であり、施設の外部利用を可能にするパイロットプロジェクトや、琉球大学及び東北大学と共同で開催予定の大規模なシンポジウム(11月開催)が進行中です。

OISTと琉球大学は、地域社会に焦点を当てたイベントも開催しており、「10年後の沖縄の持続可能な漁業を支える社会・生態システムの展望」と題するイベントでは、漁業者や漁業組合、研究者が一堂に会し、持続可能な漁業の実践を考える機会を提供しました。イノベーション分野では、OIST発スタートアップや琉球大学の「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」拠点が中心となって共同議論を進めています。また「ブルーカーボン・プロジェクト」の立ち上げにより、OIST、琉球大学、企業パートナーが連携して沖縄のブルーカーボン生態系に関する共同研究プラットフォームを構築する取り組みも始まっています。両大学の学生もこの連携の重要な一翼を担っており、沖縄工業高等専門学校、OIST、琉球大学の学生で構成されるiGEM沖縄チームは、合成生物学を活用したスマート害虫検出システムを開発し、今年10月にパリで開催されるiGEMグランド・ジャンボリーで発表する予定です。

OISTと連携する13の参画機関

上記の連携大学に加え、OISTは国内5機関、海外8機関の主要な研究機関とも緊密に連携しています。国内では東北大学、東京大学、大阪大学、九州大学、理化学研究所と協力し、海外ではチャルマース工科大学、スタンフォード大学、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学、フランス国立科学研究センター(CNRS)、ハワイ大学、スクリップス海洋研究所、マックス・プランク協会とパートナーシップを結んでいます。これらの機関との連携により、合同ワークショップや国際シンポジウム、複数機関による共同研究プロジェクトが数多く実現しています。そしてこれはまだ始まりに過ぎず、J-PEAKSによって、今後さらにエキサイティングで新しい分野に協働が広がっていくことが期待されています。

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