環境DNAで琉球列島のサンゴ分布を可視化

「琉球列島サンゴ環境DNAアトラス」を公開、サンゴ研究・保全・教育に役立つ新ツール

沖縄科学技術大学院大学(OIST)マリンゲノミックスユニットおよび一般財団法人沖縄県環境科学センターは、この度、独自に開発した環境DNA技術を用いて琉球列島231地点でサンゴの分布調査を実施し、そのデータをウェブサイト「琉球列島サンゴ環境DNAアトラス」として、7月20日の海の日に公開いたします。 https://coral-edna-atlas.jp/  .

環境変化の影響を追跡し、保全活動を進めるためには、まず生態系がどのような構成になっているのかを理解する必要があります。今回、新たなオンラインリソースが公開され、広範な環境DNA(eDNA)解析に基づいて、琉球列島における造礁サンゴの分布を包括的に概観できるようになりました。 

「琉球列島サンゴ環境DNAアトラス」では、沖縄本島、慶良間諸島、久米島、八重山諸島など各地の海水から検出されたサンゴの種類を網羅的に掲載しています。利用者は、各地点においてどの種類がどの程度の割合(優占率)を占めているのかを詳しく確認することができます。地図上から任意の地点を選択することで、その場所に生息するサンゴの種類の詳細を調べることができます。

2021年からOISTマリンゲノミックスユニットが中心となって進めていた研究では、環境DNA(eDNA)と呼ばれる、生物が体外に放出するDNAを海水から採取・解析する手法を活用してきました。特にサンゴは岩などに固着して生息するため、採取した海水に含まれるDNAから周辺の生息状況を高い精度で把握できるという特徴があります。さらに、複数の生物群を同時に解析できる環境DNAメタバーコーディング(eDNA-M)法を用いることで、広域かつ効率的なサンゴ調査を実現しました。

本ウェブサイトには、浅瀬だけでなく、水深30〜60mの準深海域におけるデータも収録されており、沖縄本島および慶良間諸島の計57地点の調査結果を閲覧することができます。

さらに本ウェブサイトでは、沖縄県環境科学センターおよび有限会社海游の研究者らが2004年から約21年にわたり撮影してきたサンゴ礁景観写真も公開しています。沖縄島とその周辺諸島116地点、石垣島77地点の合計193地点から収集されたこれらの写真には、白化現象やオニヒトデの大発生などによるサンゴ礁の変化を記録した貴重な資料が含まれています。

本プロジェクトを主導した佐藤矩行教授は、次のように述べています。「環境DNA技術を使えば、1ℓの海水を汲んでくるだけで、その下にどんな種類のサンゴがどれくらいいるのかを、かなり高い精度で把握することができます。今回私たちは、多くの方々の協力のもとで構築してきたデータベースを活用し、琉球列島のサンゴ礁の美しさを知っていただくために、このサイトを作成しました。教育や研究での活用をはじめ、未来を担う子どもたちにも自分の住む地域にどんなサンゴがいるのかを知るためなどに役立てていただければと考えています。今後は日本全体、さらには世界のサンゴを対象とした発展も目指していきます。」

本アトラスは、サンゴ礁の現状把握や保全、研究、教育など、幅広い分野での活用が期待されます。

詳細はウェブサイトをご覧ください https://coral-edna-atlas.jp/

実施体制

  • OIST マリンゲノミックスユニット
  • 一般財団法人沖縄県環境科学センター

(支援)

  • 共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)
  • OIST サンゴプロジェクト

ウェブサイト「琉球列島サンゴ環境DNAアトラス」は、沖縄県の「令和7年度・令和8年度沖縄イノベーション・エコシステム共同研究推進事業(更なる支援分野)委託業務(海洋分野)」の採択を受け作成しています。

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