14. 知的財産及び技術移転

目次

14.1 基本方針

本学は、知的財産の技術移転を通して、日本及び世界の科学技術の進歩と沖縄の持続的発展に貢献することを目指します。

本学は、本学の活動から創出される知的財産を社会に還元するとともに、本学が使命とする研究、教育及びイノベーションを支える追加の資金を生み出すよう全力を尽くします。

本学の知的財産は、教職員及び学生に次ぐ本学の最も重要な資産であり、本学は、これを効果的に保護し活用します。

本学は、他機関の知的財産権を尊重します。本基本方針の適用対象者は、本学での活動がそれらの権利を侵害しないよう努めます。

14.2 定義

本基本方針で使用する用語の定義は以下の通りです。(日本語の五十音、アルファベットの順に記載。)

開示すべき本学知的財産
商業的価値が見込まれる本学知的財産

学生
正規の学位候補者として本学の大学院課程の履修を許可された者

旧基本方針
11/07/2022前に有効であった本学の基本方針・ルール・手続きの第14章(本章)

教職員

  1. OIST SCと雇用契約関係にある者、例えば、教授、アソシエイトプロフェッサー、アシスタントプロフェッサー研究員、技術員、研究支援職員又は事務職員
  2. OIST SCの役員、又は
  3. 構成員(外部職員)

業務受託者
OIST SCとの間で役務提供契約を締結した者。外部研究員トランジショナルプロフェッサー、アジャンクトプロフェッサー、連携教授、コンサルタント及び外部取引先を含みますがこれに限定されません。

研究成果有体物(TRP)
研究プロジェクトの過程において作られた有体物。生物試料(微生物、細胞、プラスミド、細菌、抗体、タンパク質、及びこれらの任意の部分等)、新素材、土壌、岩石、植物の新品種、実験動物、設計図、ソフトウェア、集積回路チップ、コンピュータデータベース、装置の試作品、回路図、機器類、研究データを含んだ紙媒体又は電子媒体等。TRPは、知的財産や知的財産権とは別個で独立のものとして区別されますが、TRPに該当する個々の物に、一つ以上の知的財産や知的財産権が付随することがあります。

公表
外部の者に対する本学知的財産に関する秘密でない情報開示。例として、書面もしくは口頭による開示、電子メールによる通信、ウェブブログへの投稿、ニュースレポート、プレスリリースもしくはインタビューでの開示、雑誌、要旨、ポスターもしくはレポートにおける発表、学会での発表、学位論文の審査における又は関連する公なプレゼンテーション、展示会における発明の実演、又は発明の産業利用を含むがこれに限定されません。

財産的権利
任意の組織における、流通性又は証券市場への上場による取引の可否を問わない、あらゆる種類の権利。例として、株式、エクイティ、株券、証券、借用書、オプション、新株予約権、株式もしくは株式購入権への転換社債、及び、任意の組織における所有者もしくは権利人に任意の権利を付与するその他の証券、並びにそれらいずれかの権利を受領する任意のオプション権利を含むがこれに限定されません。

創作者
創作、着想、実施、執筆その他の方法によって本学知的財産の創作に実質的知的貢献をした者、又は日本の知的財産法において一般に理解される「発明者」、「著作者」もしくは「育成者」の定義に該当する者。「創作」行為もこれと同様に解釈されます。

本学リソースの単なる付随的な利用を超える利用

  1. 学術目的で本学が提供する専門的な研究のための設備、機器、備品、人材もしくはITリソースの最小限の利用を超える利用、又は
  2. 勤務時間中の著しい使用。ただし、(i)デスクトップ型/ノート型コンピュータや市販のソフトウェア等の日常的に使用される事務用ITリソース(ただし、そのような使用が本学の基本方針・ルール・手続きの第17章に即した場合に限ります。)、及び
  3. 本学キャンパスにおいて収集された参考資料又はその他のリソースであって、本学以外の場所においても一般的に入手できるものの不定期かつ頻繁でない利用は含みません。

チーム契約
一つ以上の本学知的財産に関してその本学知的財産の創作者と本学の間で締結される契約であり、その本学知的財産に係る事項に関する契約当事者それぞれの権利義務を定めるもの。

知的財産
創作活動を通して個人によって創作された全ての知的産物であり、関係法に従って法的権利の取得又は行使が可能なもの。例として、発明、考案、著作物(ソフトウェア及びデータベース等)、意匠、新植物品種及び生物、発見もしくは解決された自然法則もしくは自然現象の産業利用、実用新案、商標、商号、営業秘密、ノウハウ及び商業活動に有用なその他の標章又は技術上もしくは取引上の情報を含むがこれに限定されません。

知的財産権
保護のための法定要件を満たすことを条件として知的財産に付与されうる財産的権利。例として、特許権、実用新案権、植物育成者権、意匠権、著作権、商標権、その他関係法に規定される知的財産に関する権利及びその他の関係法によって保護される知的財産における権益に関する権利を含むがこれに限定されません。

知的財産収入
本学知的財産の商業化により本学が疑う余地なく当然に所有者又は共同所有者として実際に受領する全収入。例として、本学知的財産の権利売却、オプション料支払い、実施料、評価料、前払金及びマイルストーン支払い、ロイヤリティ支払い、利益分配、配当、手数料、財産的権利の処分による収入を含むがこれに限定されません。

知的財産収入の全創作者持分
14.7.4.1に示すもの

知的財産評価委員会
本学に対して開示される知的財産の評価のためにTDICが設立する委員会

バックグラウンド知的財産
本基本方針の適用対象者が、本基本方針の適用対象者となる前に創作し既に存在していた知的財産

パブリックドメイン
知的財産権によって保護されていない知的財産が、社会全体によって保有され、かつ、創作者又は所有者の許諾を要することなく誰もが利用できる、自由にアクセス可能な公共の領域

ビジター

  1. 教職員、学生又は業務受託者でなく、かつ
  2. 本学において業務に従事する者。訪問期間の長さとは関係なく、また本学から何らかの報酬を受けているかどうかを問いません

本学
適宜、OIST SC及び/又は沖縄科学技術大学院大学

本学知的財産
OIST SCが所有又は共有する知的財産及び知的財産権

本学著作物
本学知的財産である著作物

本基本方針
本学の基本方針・ルール・手続きの第14章(本章)

本基本方針の適用対象者
教職員、学生、業務受託者又はビジター

ITリソース
本学の基本方針・ルール・手続きの第17章に示すもの

OISTIR
沖縄科学技術大学院大学機関リポジトリ

OIST SC
学校法人沖縄科学技術大学院大学学園

TDIC
本学の技術開発イノベーションセンター

14.3 本基本方針の適用範囲及び拘束力

14.3.1

首席副学長(技術開発イノベーション担当)による書面の別段の合意がない限り、本基本方針は本基本方針の適用対象者が各々の本学における責務に関連して、又は本学リソースの単なる付随的な利用を超える利用により、着想、創作、開発又は初めて実施した全ての知的財産に適用されます。なお、本基本方針の適用対象者は、休暇及び休業(研究休暇や有給休暇を含みますがこれに限定されません。)していても本基本方針が適用され、これに従わなければなりません。

14.3.2

(i)バックグラウンド知的財産、及び(ii)本基本方針の適用対象者が本学の責務と無関係に、かつ、本学リソースの単なる付随的な利用を超える利用をすることなく着想、創作、開発又は初めて実施した知的財産については、本基本方針は適用されず、また本学は所有権を主張しません。外部活動の承認を受けた個人(「兼業」のある教員等)は、本学との正式な契約なしに外部活動で本学知的財産に関係する活動はできません。TDICに連絡のうえ契約を締結してください。

14.3.3

バックグラウンド知的財産としての扱いを希望する知的財産がある場合は、本基本方針の適用対象者は、本学での雇用、入学、契約又は任用の開始時に、バックグラウンド知的財産開示書を記入してTDICに提出し、本基本方針の適用除外を受けてください。

14.3.4

本学では、本基本方針の適用対象者との関係を規定する契約に、その個人を本基本方針の適用対象とすることを定める条項を必ず含むこととします。ビジター又はその者に対する本学の受入者は、本人やその活動が本基本方針の適用を受けるかどうかについて不明な点があれば、TDICに相談してください。

14.3.5

本基本方針に基づく権利及び義務は、本学との間の雇用、在籍、契約又は任用の終了後も存続します。

14.4 知的財産の所有権

14.4.1

本基本方針に別段の定め又は首席副学長(技術開発イノベーション担当)による書面による別段の合意がない限り、本学は本基本方針の適用対象者が、各々の本学における責務に関連して、又は本学リソースの単なる付随的な利用を超える利用により、着想、創作、開発又は初めて実施した全ての知的財産の所有権を有します。本基本方針の適用対象者は適宜、(i)本学との関係を規定する契約での包括的譲渡、又は(ii)本学の要求により、特定の譲渡契約によって、その知的財産を本学に譲渡します。

14.4.2

本学知的財産の創出に第三者が貢献した場合は、その本学知的財産が本学と第三者又はその雇用者との間の共有となることがあります。その本学知的財産の所有権、保護や維持費用(例、特許出願費用)及び収入の分配に関する取り決めは、14.6.1に従い、その都度、本学と共有者間で契約により合意します。

14.4.3

本学は、学術研究の成果及び学識を普及させることのみを意図する、本基本方針の適用対象者の著作物(書籍、論文、ビデオクリップ、ウェビナー、学位論文、記事、小説、詩歌、楽譜及び類似の著作物等)について、著作権を主張しません。ただし、(i)本学の特定の目的のために本学の指示により創作された著作物、並びに(ii)ソフトウェア及びデータベース、を除きます。

14.4.4

本学は、研究関連の著作物について、関係法によって創作者に付与される著作者人格権を尊重しますが、その創作者は、本学及び本学が指名する者に対してその著作物の著作者人格権を主張することはできません。

14.5 知的財産の評価と保護

14.5.1 開示の義務

創作者は、自己の誠実かつ最良の判断力で、開示すべき本学知的財産であると判断した個々の本学知的財産について、知的財産開示書を記入してTDICに提出し、遅滞なく本学に開示しなければなりません。疑義がある場合は、創作者は、知的財産開示書を記入提出し、TDICに相談してください。

創作者は、知的財産開示書に、その開示すべき本学知的財産に関連する技術内容、関連する特徴及び機能、共同所有者、共同創作者(全創作者の情報及びパーセントで示した相対的貢献度を含みます。)、商業的価値、法的保護及び既存の抵触する権利を正確に評価できるよう、情報を十分に記載してください。

創作者は、開示すべき本学知的財産の公表前に知的財産開示書を記入提出し、本学が当該知的財産を保護する機会を確保できるようにしてください。これを怠たると、知的財産権やその後の商業化の可能性を喪失する恐れがあります。

14.5.2 本学による評価

TDICは、14.5.1に従い本学に開示された本学知的財産の評価実務を担当し、その特許性や登録の可能性、商業化可能性、その他の評価を行う知的財産評価委員会を招集します。

14.5.3 本学知的財産の保護

TDICは、本学が保護を決定した本学知的財産に関する出願及び登録の全プロセス、ならびにその他の法的保護(訴訟等)を管理します。

本学知的財産の創作者は、TDICにあらゆる合理的なサポートを提供し、かつ、そのプロセス及び保護に関してTDICと協力しなければなりません。その協力には、知的財産開示書により提出した情報の正確さを本学の要求に応じて書面で確認することや、本学が創作者に署名を求める全書面に署名することを含みますがこれに限定されません。

全ての出願及び登録は、本学名義で行われなければならず、又は該当地の法的要件であると本学が判断する場合は、該当する創作者名義で行ったうえで本学の要求により本学に譲渡されなければなりません。

14.7.4.1に従うことを条件として、本学は、本学知的財産の保護、管理及び維持の全費用を負担します。

14.5.4 放棄、又は商業化されなかった本学知的財産

本学は、(i)本学知的財産を保護しない、もしくは保護を放棄する場合、(ii)本学知的財産の商業的成功の合理的見込みがない場合、又は(iii)譲渡により知識の移転が進み社会全体の利益になる、と判断した場合に、その本学知的財産をその創作者に譲渡することがあります。ただし、本学が本学知的財産及び関連する知的財産権をその創作者に譲渡しても本学が第三者(特にその本学知的財産が創出された研究の資金提供者)に対して負う義務に反しないと判断する場合に限ります。譲渡後は、創作者は、その知的財産を自己の費用において保護及び/又は商業化する権利を有します。

首席副学長(技術開発イノベーション担当)による別段の合意がない限り、そのように譲渡される本学知的財産の各創作者は、書面により、以下の(i)~(iv)の義務を負います。(i)該当する本学知的財産の商業利用に関連してその創作者が受領するあらゆる収入及び/又は財産的権利から、所有権、保護及び維持にかかる立証済の費用を控除した金額の4分の1を本学に支払うこと、(ii)事前の書面による本学の同意なく、該当する本学知的財産に関連するその創作者のいかなる権利及び義務を譲渡もしくは他の方法による移転をしないこと、(iii)その創作者が受領する又は権利を有することになるあらゆる収入及び/又は財産的権利について認証済決算書を本学に定期的に提供すること、及び(iv)本学が該当する本学知的財産の商業化に関する交渉を行った相手方である組織若しくは人、又はその組織若しくは人と関連のあるいかなる組織若しくは人を相手方として、その交渉が停止した日から起算して2年間、いかなる契約も締結しないこと。

TDICは、その譲渡や手続きの交渉及び事務を担当します。

14.6 本学知的財産の許可される利用

14.6.1 第三者との契約

本学における活動の中で、本基本方針の適用対象者は、(i)第三者と契約を締結するよう求められたり、(ii)本学に第三者と契約を締結するよう求めたりすることがあります。これら契約の例としては、本学知的財産又は将来の本学知的財産に関連する試料移転契約(MTA)、共同研究契約、委託研究契約、コンサルティング契約、客員研究員契約、秘密保持契約、知的財産権の譲渡、寄付契約等が挙げられます。

これらの契約は、統括弁護士オフィスによる確認に加えて、TDICが知的財産条項を定める本学の活動に関する契約全てを締結前に確認するほか、首席副学長(技術開発イノベーション担当)が、本基本方針の規定と異なる条件(所有権、譲渡又はその他に関する条件を含みますがこれに限定されません。)を承認する権限を有します。

本学が第三者との間で知的財産に関する条件を規定する契約を締結すると、その契約の履行に関わる本基本方針の適用対象者は、その条件に従って行動しなければなりません。契約の履行を統括する本基本方針の適用対象者には、該当するその他の本基本方針の適用対象者全員にそれらの条件を知らせる責任があります。

秘密保持契約については、本学のオープンな研究環境の基本方針及びOISTIRの目的と相反する場合であっても、本学は、知的財産保護及び商業化のために限定的な秘密保持契約を締結することがあります。秘密保持契約の交渉において、本学は、本学の研究室において行われる研究の公表に対する制限を最小限にするよう努めます。

14.6.2 パブリックドメイン

創作者は、自己が創作したいずれかの本学知的財産をパブリックドメインに帰すことを望む場合は、創作者の共同書面によりTDICに対してそれを求めることができます。そしてTDICは、その単独の裁量で、該当する本学知的財産をパブリックドメインに帰すことができます。

本学は、この手続きを経てパブリックドメインに置かれた本学知的財産について権利を主張しません。

本学は、その本学知的財産を創出した研究を支援又は規定するいずれかの契約の条項に反する可能性がある場合は、本学知的財産をパブリックドメインに帰すことはありません。

14.6.3 公表

本学のオープンな研究環境の基本方針及びOISTIRの目的に従い、本学は、研究及び教育目的での研究成果の公表を推奨します。本基本方針の適用対象者は、研究や教育の目的に限りそれら成果を公表することができますが、(i)14.5に従いその本学知的財産を本学に開示し、その本学知的財産を保護する機会を本学に与えたうえで、かつ、(ii)その本学知的財産が関わるいかなる契約の条項によってもその公表が許されることを確認した後でなければ、本学知的財産又はそれへの言及を含む内容を公表することはできません。

14.6.4 本学著作物の配布

本基本方針の適用対象者は、本学著作物には必ず以下の表示をしたうえで公開や配布をしてください。

Copyright © [公表年] Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University. All rights reserved.

著作権表示にはこれ以外の組織名や部署名等を追加してはなりません。問い合わせ窓口となるOISTのセクション又は研究ユニットの名称や住所を記載する場合は、この表示の下に記載してください。

この著作権表示に記載する年は、その本学著作物の該当バージョン(版)が初めて公開又は配布される年を記載します。

14.6.5 ソフトウェアのための追加ルール

創作者は、本学が所有権を有するソフトウェアを研究目的で配布しようとする際に、(i)そのソフトウェアに商業化の可能性がある場合、(ii)その創作者がそのソフトウェアの配布後の使用を管理したい場合、又は(iii)そのソフトウェアを製作した研究を規定する契約がある場合は、配布前にTDICに相談してください。

本学では、研究利用における全ての領域において、オープンソースソフトウェアソリューションの利用を支援します。本学は、研究目的のソフトウェア開発に携わる全ての本基本方針の適用対象者が、オープンソースライセンス条項(例えば、GNU一般公有使用許諾(General Public License))の下で本学所有のソフトウェアを利用可能にしたり、また適宜、既存のオープンソースソフトウェアプロジェクトに貢献することを奨励します。ただし、創作者は、誠実かつ自己の最良の判断によって、開示すべき本学知的財産であると判断するソフトウェアを利用可能にする前に、そのライセンス条件についてTDICに相談しなければなりません。

オープンソースライセンス条項の下で開発された、又は開発予定の本学所有のソフトウェアを、事業化及び産業利用できることがあります。創作者は、そのような機会又は意思がある場合は、速やかにTDICに相談してください。

14.6.6 商標のための追加ルール

本基本方針の適用対象者は、本学の名称やロゴ等の本学を表す商標の使用に関する情報について、コミュニケーション・広報担当ディビジョンに相談してください。

本基本方針の適用対象者は、本学知的財産が関係するその他の商標の登録や使用に関する情報について、TDICに相談してください。

14.6.7 研究成果有体物(TRP)のための追加ルール

14.6.7.1 TRPの管理
各教員(又は、TRPが複数のユニット横断プロジェクトの一環として作られた場合は、そのプロジェクト長)は、関係法、本学の方針及びそのTRPを作製した研究の資金提供者との契約の条件に従って、自らの研究活動の過程で作製したTRPの開発、保管、利用及び分配を管理しなければなりません。この管理には、本学外の者による利用に対するTRP分配の可否や時期の決定も含まれます。

14.6.7.2 TRPの分配
プロボストオフィスは、他大学、研究機関、政府組織及び非営利団体等の非営利組織とのTRPの分配及び受領に関する全ての契約を管理します。TDICは、営利組織とのTRPの分配及び受領に関する全ての契約を管理します。

相手方が営利組織であるか非営利組織であるかを問わず、TRPの分配に関する契約は、14.6.1の規定に従って締結されなければなりません。

本学のTRPを第三者に商業利用のために提供する通常の手続きでは、その契約を通して実施料及び/又はロイヤリティを受領しうる利用許諾契約を締結しなければなりません。しかし、首席副学長(技術開発イノベーション担当)の事前の書面での同意があれば、本学はTRPを商業目的で売却することができます。

本学では非商業目的研究及び教育目的のためのTRPの分配は無償で行われますが、TRPの準備と分配に必要な実費は受領者側に請求することができます。

14.7 商業化

14.7.1 商業化の目的

本学は、一般社会での利用及び福利のために本学知的財産を商業化することを奨励します。TDICは、その活動を統括します。

いかなる場合にも、本学知的財産の商業化の目的は、非倫理的、違法又は犯罪的事項に一切関連してはなりません。

14.7.2 創作者のサポート

本学知的財産の商業化の成功のためには、多くの場合、本学知的財産の創作者やその他関係する本基本方針の適用対象者の協力が必要です。本学は、時に、本学知的財産の創作者又はその他関係する本基本方針の適用対象者に対して、該当する本学知的財産の商業化のためにTDIC及び関連する第三者(企業等)と協働するよう依頼することがあります。各創作者又は本基本方針の適用対象者は、TDICに合理的な範囲でサポートを提供し、TDICに協力することが求められます。TDICは、要求するサポートを最小にするように努力します。

14.7.3 チーム契約

本学が一つ以上の本学知的財産の、又は更なる本学知的財産を創作することにつながりうる本学知的財産の、商業利用のために第三者と契約を締結する場合は、同時に、本学と該当する本学知的財産の全創作者との間で、チーム契約を締結します。

この契約は、以下の(i)~(iii)を含みますがこれに限定されません。(i)該当する各本学知的財産に関連する創作者本人による、自己の知る限りにおいて、そのチーム契約に含まれる資格のある個人全員がその契約の当事者であることの確認、(ii)その商業利用から生ずる知的財産収入の全創作者持分について、該当する全創作者間の配分率の記録、及び(iii)該当する本学知的財産に対する創作者の直接の貢献に重要な変更がある場合、又は、その第三者との基本契約に新たな本学知的財産が追加される場合には、知的財産収入の全創作者持分の該当する全創作者間の配分が将来変更の対象となりうることの承認。

該当する創作者が、チーム契約上の配分率又はチーム契約の見直しについて合意に至らない場合は、首席副学長(技術開発イノベーション担当)が、首席副学長(技術開発イノベーション担当)がふさわしいと認めるその個人及び/又は組織と協議したうえで、その配分率について決定し、該当する創作者に対するその決定通知が該当するチーム契約とみなされます。

14.7.4 収入の分配

14.7.4.1 総則
本学は、本基本方針の施行日前に旧基本方針に従い発効した契約から生ずる本学知的財産の商業利用から発生する知的財産収入は、旧基本方針に規定の分配ルールに従って分配します。

本学は、本学知的財産の商業化から本学が受領しうる金銭的利益について、その本学知的財産によって発生した純知的財産収入の3分の1(以下、「本学知的財産の全創作者持分」という。)を創作者に(全員分として)分配することによって、その本学知的財産の創作者と分け合います。本学は、その純知的財産収入の残り3分の2の権利を得ます。

本学知的財産に関する「純知的財産収入」は、該当する知的財産収入から以下の(i)及び(ii)を控除し本学が決定します。

  1. 本学知的財産に関して本学に発生した想定外の費用の負担額全額(その本学知的財産に係る紛争又は商業化において発生した弁護士費用、又は重大な維持費用等)、及び
  2. 適用法により控除及び/又は源泉徴収が必要な全ての税金。

14.7.4.2 共同で創作された知的財産
一人又は複数の創作者による個々の貢献というよりは、むしろ複数の個人による同時又は長期にわたる一連の貢献によって創作された本学知的財産から知的財産収入が得られた場合は、この方針とは異なる書面による契約がない限り、本学に全額分配されます。例えば、複数の本基本方針の適用対象者が長期にわたり開発や改良したソフトウェアのように、創作者を一名又は特定のグループに限定することが適切でないものはここでの共同で創作された知的財産に該当します。しかし、単に複数の個人が知的財産の創作に寄与したという事実があるだけでは、そのことから直ちにその知的財産が共同で創作された知的財産を構成するとの結論が導かれることはありません。

14.7.4.3 分配の頻度
本学は、知的財産収入の全創作者持分を、分配を受ける個人へ年次で分配します。

年次分配が事務的に非効率な場合は、TDICが首席副学長(技術開発イノベーション担当)の承認を得た上で、異なる頻度での分配を決定する場合があります。

TDICが、知的財産収入が(i)紛争になりうる、又は(ii)本学に想定外の出費を発生させうると誠意を持って判断する場合には、学長の承認をえたうえで、TDICが、必要と考えられる期間その知的財産収入の全額又は一部を留保する決定をすることがあります。

14.7.4.4 創作者の遺産相続
創作者の遺産財団、相続人、受遺者又は譲受人は、該当する本学知的財産の商業化から本学が知的財産収入を受ける間は、知的財産収入の該当する全創作者持分に係る創作者の持分に継続して権利を有し、本基本方針上、創作者とみなされます。

14.7.4.5 連絡先及び銀行口座情報
各創作者は、自身の最新の連絡先や知的財産収入を分配するための銀行口座情報を本学が確実に把握できるよう連絡してください。創作者の最新の銀行口座情報がない場合は、本学は、知的財産収入の全創作者持分の内のその創作者の持分を最長で3年間保存しますが、それ以降は、その創作者はその支払いを受ける権利を完全に喪失します。本学に提供された情報が古い又は間違っているために本学が誤った口座に支払いをした場合は、本学は、その支払いについてそれ以上のいかなる義務及び責任も負わず、その支払いは正式かつ適切になされたものとみなされます。

14.7.4.6 財産的権利
本学は、本学知的財産の実施許諾の対価として、ライセンス先の企業からその財産的権利を受けることがあります。

本学が保有する間は、本学の単独の裁量でその財産的権利を管理します。本学知的財産の実施許諾の対価として本学が受領した財産的権利の保有から生ずる権利(希釈化防止権等)に基づく更なる財産的権利は、本学の単独の利益のために獲得され又は発生します。

本学が本学知的財産の実施許諾の対価として受領した財産的権利の保有から、例えば、株式の配当金や財産的権利の売却益等により、知的財産収入が得られた場合は、本学は、14.7.4の規定に従いそれらを分配します。

14.7.5 スタートアップ

本学は、本学知的財産の事業化、新たなビジネスの推進、及び産業創出の方法として、起業家育成とスタートアップ事業を積極的に奨励します。

TDICは、プルーフ・オブ・コンセプトプログラムや、イノベーションスクエア・スタートアップアクセラレータープログラム、またインキュベーター施設の運営など、本学の起業家育成のイニシアチブを統括します。本学は、本学知的財産の実施許諾を受ける、又は本学の起業家育成イニシアチブに関連するプログラムに参加するスタートアップへの支援サービスを提供します。

本基本方針の適用対象者は、本学の起業家育成イニシアチブ及びこれに関連するプログラムの詳細、インキュベーター施設の利用条件及び/又は本学知的財産のスタートアップへのライセンスについては、TDICに相談してください。

14.8 紛争

14.8.1 違反

本基本方針の規定への違反は、本学の通常の手続き及び適用法に従って対処されます。

14.8.2 紛争解決

本基本方針から生ずる紛争(本基本方針の適用対象者間のものを含む)又は解釈の疑義は、まず初めに首席副学長(技術開発イノベーション担当)に照会され、20営業日以内に非公式の問題解決を試みるものとします。

上記により解決しない場合、首席副学長(技術開発イノベーション担当)は、3人以上の委員で構成される個別委員会を任命します。委員には、外部の有識者を含めることもできます。委員会は、15営業日以内に設置、召集され、事案を検討しなければなりません。首席副学長(技術開発イノベーション担当)は議長を任命します。委員会の設置及び召集のために追加の日数が必要である場合には、首席副学長(技術開発イノベーション担当)により、更に15営業日延長することができます。委員会は、最初の召集日から20営業日以内に、当該事項の事実関係や状況を公平かつ機密性に配慮して調査・検討し、それに基づいて解決策を勧告します。検討完了のために追加の日数が必要な場合には、この期間は、委員会の議長により延長することができます。委員会の議長は、委員会の勧告を5営業日以内に首席副学長(技術開発イノベーション担当)を写しに入れ学長に書面にて通知します。

学長又はその指名する者は、15営業日以内に事案に関する最終決定を下し、その旨を当事者に通知します。

14.9 様式

バックグラウンド知的財産開示書
知的財産開示書
MTA申請書

14.10 連絡先

14.10.1 本方針の所管

首席副学長(技術開発イノベーション担当)

14.10.2 問合せ

本基本方針の適用対象者は、本基本方針や本学知的財産の登録及び保護又は起業に関する情報について問い合わせがある場合、TDICに連絡してください。

起業又は産業界との共同研究に関する問合せ: Email: bd@oist.jp

知的財産及びその他の問合せ: Email: tls@oist.jp