2019-03-26

OIST立地による沖縄県及び我が国経済への波及効果に関する調査結果

概要
 沖縄科学技術大学院大学(OIST、沖縄県恩納村 学長ピーター・グルース)は、OISTの諸活動が沖縄県及び我が国経済にどの位の経済効果※1を与えているかの調査を初めて実施し、公表しました。
調査では、2017年度末における、OISTの経済波及効果が、我が国全体に対して430億円余、沖縄県経済に対して306億円余であることを示しました。

 OIST立地による沖縄県及び我が国経済への波及効果に関する調査概要版および調査書 を読む。

調査の背景と経緯
 2004年の先行的研究事業の発足に始まり、開学の準備機関である独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構の諸活動を経て、2011年11月に設立されたOIST。2012年9月に博士課程を開設し、第1期生を受入れました。2018年2月には初めての博士課程修了生を輩出し、大学院大学としての基盤が出来上がりました。この間、世界中から優秀な人材を採用するとともに、先端の教育・研究活動を実施するための施設として、管理棟と3つの研究棟を整備、現在、第4研究棟の供用開始に向けて整備中です。

 この度、OISTの設立目的の一つである「沖縄の自立的経済発展への貢献」という観点から、OISTが沖縄の地にあることにより、どれほどの経済的効果をもたらしているかについて定量的な把握を行うために本調査を実施しました。

調査内容
 今回の調査では、沖縄の「おきぎん経済研究所」に調査を委託し、国・沖縄県の産業連関表※2を用いて、2017年度における経済波及効果を明らかにしました。
 OISTの行っている経済活動には、①教育・研究活動、②教職員・学生による消費活動、③学会等の来訪者による消費活動、④施設建設・整備による消費活動があり、それぞれの消費額を推計し、産業連関表に投入して波及効果を計測しています。

 今回の調査では、OISTが沖縄に立地していることにより、どれだけの波及効果が表れたかを、生産誘発額、雇用誘発、税収の3つの側面から計測しています。

調査結果

(1)国内経済へのOIST経済波及効果
2017年度国内経済への波及効果
①    生産誘発額:430億300万円(投入額188億5,700万円の2.26倍)
②    雇用誘発効果:4,074人
③    税収効果:11億5,900万円

(2)県内経済へのOIST経済波及効果
2017年度沖縄県経済への波及効果
①    生産誘発額:306億7,000万円(投入額187億7,100万円の1.63倍)
②    雇用誘発効果:2,902人
③    税収効果:14億4,900万円

また、本調査では、OISTにとって当面の目標である教員数100人時点についての同様の推計も実施しました。

(1)教員100人体制の国内経済へのOIST経済波及効果
①    生産誘発額:690億5,100万円(投入額308億4,900万円の2.24倍)
②    雇用誘発効果:6,542人
③    税収効果:21億600万円

(2)教員100人体制の県内経済へのOIST経済波及効果
①    生産誘発額:491億6,600万円(投入額307億6,100万円の1.60倍)
②    雇用誘発効果:4,658人
③    税収効果:29億4,600万円

 さらに、本調査では、OIST施設整備の経済効果についても調査しました。これは、OISTが開学して間もない機関であるため、現在も施設建設が継続中であり、各年度ごとの整備費の波及効果ととともに、これまでの間に累積された施設整備額による経済波及効果を別途把握する必要があるからです。
 この結果、2005年度以降の施設整備による経済波及効果は、国内経済に対して、1,337億100万円、沖縄県経済に対しては878億7,300万円との結果が出ました。

終わりに
 今春OISTでは新たに博士課程修了生を世に送り出すとともに、その教育・研究活動を通して、引き続き優れた研究成果を発表していきます。今回の調査では、大学の発展に伴う諸活動により、OISTが沖縄県及び日本経済にさらなる経済波及効果を与え得ることが提示されました。


※本試算は、一定の仮定に基づいて作成されたものであり、実勢と必ずしも一致しない点はご留意下さい。

参考図

大学立地がもたらす経済効果 文部科学省は平成19(2007)年に「地方大学が域に及ぼす経済効果分析報告書 (財団法人日本 経済研究所 )」において、大学立地の効果分析方法の方法について検討しており、定量的な経済効果の把握の手法として、産業連関分析による経済波及効果を検証している。大学が地域に立地することにより、期待される効果は社会的・経済的な多岐にわたる事項が想定されている。

産業連関表 総務省が作成対象年次における我が国の経済構造を総体的に明らかにするとともに、経済波及効果分析や各種経済指標の基準改定を行うための基礎資料を提供することを目的に作成しており、一定期間(通常1年間)において、財・サービスが各産業部門間でどのように生産され、販売されたかについて、連鎖的なつながりを表したもので、産業連関表の仕組みを利用して、ある産業に新たな需要が発生した場合にどういう形で生産が波及していくのかを計算することができる。

 

 

(Nicoletta Lanese)

広報や取材に関して:media@oist.jp