研究チームは、ADHDのある子どもとない子どもとの間で、物語を語る能力に明確な違いがあることを確認しました。また、視覚教材を用いることで、ADHDのある子どもたちの物語を語る能力が向上することも示されました。その効果は定型発達の子どもたちよりも大きく、これは定型発達の子どもたちが視覚教材なしでも比較的良好に課題をこなしていたためと考えられます。しかし、ADHDのある子どもたちのパフォーマンスは、視覚教材によって改善がみられたものの、定型発達の子どもたちと同じ水準には達しませんでした。「グループ間には全体的な違いが認められましたが、個々の子どもが直面している課題は一様ではありません。すべての子どもに当てはまる万能な介入法はないということを認識する必要があります」とサムニヤ博士は付け加えています。
ADHDの「症状」だけでなく他の関連する困難に目を向ける
ADHDは一般的な神経発達症の一つであり、世界全体で子どもの約8%、成人の約3%が影響を受けていると推定されています。 ADHDのある人が直面する状況は一人ひとり異なりますが、一般的に高い集中力や反復が求められる場面では、周りと同じように活動することが難しいことがあります。こうした特性は、とりわけ学齢期の子どもたちにおいて顕著で、学校生活における学業成績や対人関係に影響を及ぼすことが知られています。サムニヤ博士は次のようにまとめています。
「近年、ADHDへの関心が高まっていることは心強いことです。本研究が、ADHDのある人々が直面するさまざまな困難への理解を深める一助となることを願っています。また、家庭、学校、医療の場で、言語やコミュニケーションに関する困難の兆候に早い段階で気づき、ADHDのある子どもたちを支える環境づくりに役立てることを願っています。」