2026年8月20日
OIST、ホライゾン・ヨーロッパを通じて国際共同研究を推進
ホライゾン・ヨーロッパの「準加盟国」になることは、今後の日本の研究にとってどのような意味があるのか?
日本がホライゾン・ヨーロッパに準加盟国として参加することにより、OISTの研究者は、欧州連合(EU)の主要な研究・イノベーション資金プログラムであるホライゾン・ヨーロッパに、これまでにない規模で参加・活用する機会を得ることになります。ホライゾン・ヨーロッパは、世界最大級かつ最も開かれた研究支援プログラムの一つとされ、2021年から2027年までの総予算は955億ユーロにのぼります。また、世界が直面する重要課題を対象とした数百件の公募が毎年実施されています。
日本とEUとの間では、2024年12月に交渉が開始され、翌12月末に日本のホライゾン・ヨーロッパへの準加盟が実現しました。これにより、日本はホライゾン・ヨーロッパの24番目、またアジアにおいては韓国に次ぐ2番目の準加盟国となりました。2026年7月下旬に締結された合意を通じて 日本を拠点とする研究代表者(PI)は、ホライゾン・ヨーロッパの第二の柱、「ピラー2」の大半の公募において、EU加盟国等と同等の条件で申請することが可能となりました。このピラーとは、研究・イノベーション支援を大きく3つに分類した柱を意味し、ピラー2は 「グローバルな課題と欧州の産業競争力」をテーマとし、助成金は、研究コンソーシアムモデルを通じて、さまざまな機関や国を結びつけることを目的としています。多様性と国際的な連携を重視されたうえで、各国のメンバーが慎重に選定されます。
International Grants Sectionでの取り組み
2025年4月に設立されたOISTの国際グランツセクション(IGS)は、ホライゾン・ヨーロッパの申請プロセスに関する理解を深めるため、学内外での様々な取り組みを主導してきました。具体的には、2025年にホライゾン・ヨーロッパへの参加を支援する相談窓口であるナショナル・コンタクト・ポイント(NCP)の東京オフィスおよび関連機関の訪問やホライゾン・ヨーロッパに関するウェビナーに継続して参加してきました。また、学内においてはホライゾン・ヨーロッパに関心を持つPIとの個別相談なども実施しました。さらに、申請プロセスにおける課題の洗い出し、申請時や採択時に必要となる学内の関連資料を確認するための戦略的な検討会も実施しました。このような活動の成果として、ホライゾン・ヨーロッパに特化した学内向けのウェブページの開設、学内向けニュースレターの発行、さらに2026年4月に開催した“Horizon Europe Information Days”の開催が実現しました。
イベント概要:Horizon Europe Information Days(2026年4月8日・9日開催)
本イベントには、欧州連合日本政府代表部、EURAXESS(欧州委員会が研究者を支援するためのプラットフォーム)、NCP事務局の代表者の方々にゲストスピーカーとしてご参加いただきました。日本が準加盟国となって以降、学内で初めて開催された主要なホライゾン・ヨーロッパに関するアウトリーチとなりました。
本イベントは、2日間にわたって開催され、さまざまな分野や研究経験を持つ40名を超える研究者が参加しました。1日目は、まずEU側のゲストスピーカーから、準加盟国の枠組みでの参加ルール、共同研究パートナーの探し方、質の高い申請書を作成するためのポイントなどについて、詳細な説明が行われました。その後、OIST側の参加者との質疑応答の時間を設けました。2日目には、ホライゾン・ヨーロッパの助成金への申請を進めているPIを対象に、個別相談会が実施されました。共同研究者の探し方、所属や職位が変わった場合の制限などについて、的確な助言を得る機会となりました。訪問の最後には、IGSとゲストスピーカーとの間で活発な意見交換が行われ、新たな参加資格における詳細な手続きや今後の共同研究者を探すためのイベントについて、意見交換をしました。
ホライゾン・ヨーロッパへの参加は、OISTの国際的な認知度を高め、世界各地で学際的な連携を促進します。IGSの活動は、J-PEAKSの取り組みとも連携しながら国際的なネットワークを強化し、OISTの研究者による国際共同研究の新たな機会を創出しています。
国際的な認知度の向上から、学内での実践的な取り組みに至るまで、OISTは日本の準加盟国としてのステータスを実質的な機会へとつなげるため、積極的に取り組んでいます。培ってきた高度な研究基盤、専門知識、そして国際的なネットワークを活かし、OISTはホライゾン・ヨーロッパへの参加にとどまらず、その未来を共に形づくっていくことを目指しています。
英文作成:柳井ジリアン花
英文の編集・校正:アブドゥラハマン ハラフ
日本語翻訳および全体編集:吉田 裕美