山本 雅教授、第25回比較腫瘍学常陸宮賞を受賞
沖縄科学技術大学院大学(OIST)細胞シグナルユニットを率いる山本 雅教授が、第25回比較腫瘍学常陸宮賞を受賞することが決まりました。
比較腫瘍学常陸宮賞は、がん研究に長年携わる常陸宮正仁親王の60歳の誕生日を記念して1995年に創設された賞で、比較腫瘍学および関連分野における顕著な研究業績に対して授与されるものです。授賞式は5月に東京で開催される予定です。
トリの腫瘍ウイルスの研究に端を発する山本教授の研究業績は、「宿主のがん遺伝子が、宿主のがん発症に関与する」という概念の確立に大きく貢献し、その後のがん分子標的薬の開発へとつながりました。
山本教授は未分化赤血球を癌化するトリ腫瘍ウイルスを解析し、原因遺伝子がウイルスのerbBであることを世界に先駆けて明らかにしました。このerbBは、のちにトリゲノム上の上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子に由来することが明らかとなり、肺がん等の治療に有効な抗EGFR分子標的薬の開発に繋がっています。さらに山本教授は、erbB遺伝子に類似するc-erbB-2(=HER2)遺伝子をヒトゲノム上に同定した上で、その遺伝子産物の強力なシグナル伝達機能と遺伝子増幅・過剰発現を示し、ヒト乳がんにおけるc-erbB-2遺伝子の重要性を明らかにしました。これらの発見は、乳がん診断や治療で高い効果を示す抗ERBB2抗体の開発へと繋がっています。
山本教授は、「受賞研究は、40年ほど前に東京大学医科研究所で始めたものですが、現在OIST で展開している研究につながっています。今後数年の間にこの研究を発展させた大きな成果が出せることを期待しています」と述べています。
山本教授は、大阪大学大学院で博士号を取得後、米国立衛生研究所での研究を経て東京大学医科学研究所に着任し、2003年から2007年まで同研究所の所長を務めました。2012年からはOISTで細胞シグナルユニットを立ち上げ、2015年から2020年までは理化学研究所 統合生命医科学研究センターのセンター長を兼任するなど、日本の医科学研究における重要な役割を担ってきました。
またこれまでに、高松宮妃癌研究基金学術賞、朝日賞、吉田富三賞を受賞するなど、がん研究領域における数々の賞を受賞しています。
OISTではc-erbB-2研究に端を発するmRNA分解機構に焦点をあて、マウスモデルを用いてがん、糖尿病、肥満、発達障害などの様々な疾患の原因を分子レベルで解明する研究を進めています。これまでの成果については、以下の関連記事をご覧ください。
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