量子ネットワーキングのためのイオントラップと 共振器の開発
取り組んでいる課題
量子コンピューティングが直面する重要な課題の一つは拡張性です。古典的な分散コ ンピューティングにヒントを得た解決策としては、いくつかのキュービットを含む各々の量子 プロセッサのネットワークを形成することが考えられます。EQuIPが取り組んでいるイオン トラップ型アーキテクチャでは、単一光子を使って別々のイオントラップを連結する必要が あります。これまでの試みでは、接続速度に制限がかかっていました。有望な解決策とし ては、イオンの周囲に光共振器を配置して収集効率を向上させることが挙げられます。 しかし、その装置(イオントラップと共振器)の信頼できる商用サプライヤーが存在しな いという、市場入手性の課題があります。そのため、多くの研究者は自らのシステムをデ ザインし構築する必要があり、イオントラップを設計・開発するために1年以上をかけ て、学生やポスドクが本来の研究から離れて多くの時間とリソースを費やします。デザイ ンの改良が複数回必要な場合は、その度に金銭的なコストも負担になります.
図1:金メッキを施した3Dプリント・イオン・トラッ プと、それを機械加工したガラス基板
私たちの解決
私たちは、選択的レーザーエッチング(SLE)として知られる新しい製造手法を採用して います。SLEはイオントラップと共振器の製造および組立の複雑さを取り除く減算型の 3Dプリントプロセスです。EQuIPでは既に独自のイオントラップを内製しており、このイオ ントラップ設計と一体化できる微小光共振器を設計したいと考えています。私たちは、 光ファイバーの先端に加工されたミラーを使用した共振器を開発した経験があり、OIST には光ファイバーを使用してこれらの共振器を相互接続するための導波路やスポットサイ ズコンバータを作成するための設備があります。私たちの専門知識と最先端の設備を組 み合わせることで、微小光共振器と一体化したイオントラップを開発し、遠隔の量子プ ロセッサ間の効率的なリンクを確立するための最初の重要な第一歩を踏み出すことを 目指しています。この試みは、量子システムをスケールアップし、量子コンピューティングの 進歩を加速するための不可欠なステップであると考えています。
図2:イオントラップの中心に捕捉された3個の 原子(イオン)の画像