ミラーラボ

ミラーラボは、OISTとパートナー機関の研究者が、双方の組織としての承認に基づき、長期的かつ未来志向のパートナーシップを構築するために協力する枠組みです。

ミラーラボは、持続的な交流、科学的目標の共有、そして研究インフラやリソースの統合を促進します。

ミラーラボの形態は柔軟ですが、共通して以下の活動に重点を置きます。

  • 共同研究とトレーニング
  • 学術連携及び産学連携の推進
  •  OISTとパートナー機関の教員、学生、スタッフ間の定期的な相互交流
  • エコシステムの構築を通じた若手研究者の共創的成長
  • 管理事務業務(採用、助成金の申請など)における協働
  • パートナー機関双方における共同のプログラムや資金獲得活動の認知度の向上と戦略的位置付け

 

銅製ミラー
「ミラーラボ」では、それぞれの機関に、鏡像のように類似しながらも同一ではない仕組みを持ちます。複数のパートナー機関が協力し合い、互いの専門知識を活かして利益をもたらします。

これまでに構築された
ミラーラボ

J-PEAKS事業(地域中核・特色ある研究大学強化促進事業)の下で運営されている戦略的パートナーシップ

 

OIST-フランス国立科学研究センター ミラーラボ
“EARLY” Mirror Lab

2024年1月に発足した国際共同研究拠点2028 「EARLY」(Eco-Evo-Devo of Coral Reef Fish Life Cycle)は、フランス国立科学研究センター(CNRS)とOISTの連携により設立されました。西太平洋の亜熱帯地域を拠点に、EARLYでは、学際的な研究チームが連携し、生態学、進化学、発生学の統合的な視点から、気候変動への応答に焦点を当て、サンゴ礁魚類およびサンゴ礁生態系の解明に取り組んでいます。日本における生物学分野初のCNRS国際共同研究所であり、この地域で海洋生態系に特化した唯一の研究拠点となっています。  [活動内容詳細(英語)]

OIST PI: ヴァンサン・ロデ [海洋生態進化発生生物学ユニット]

CNRS PI: ロランス・ベッソー、ダヴィッド・レッキーニ

 

OIST―ケンブリッジ大学ーチャルマーズ工科大学ースタンフォード大学
Organic (Bio)electronics Mirror Labs

有機エレクトロニクスという手法により、従来の硬質シリコンの技術に代わって、柔軟で低エネルギーな材料を提供することができます。私たちの研究室では、有機エレクトロニクスの中核材料である有機半導体の、環境的に持続可能な合成手順の開発に力を注いでいます。本ミラーラボでは、世界をリードする国際研究グループとの4者連携による共同研究体制を構築しています。ケンブリッジ大学のBronstein教授は有機スピン活性材料の専門知識を持ち、チャルマース工科大学のMüller教授は高分子物理学とミクロ構造に注力し、スタンフォード大学のSalleo教授は最先端のデバイス特性評価を主導しています。私たちの共同研究を通じて、基礎材料科学の発展を推進するとともに、有機エレクトロニクス材料の実用的な応用の創出を目指しています。

OIST PI: クリスティン・ラスカム [パイ共役ポリマーユニット]

ケンブリッジ PI: ヒューゴ・ブロンスタイン[研究分野: 機能性材料

チャルマーズ PI: クリスチャン・ミュラー[ミュラー研究グループ

スタンフォード PI: アルベルト・サレオ[サレオ研究グループ

 

OIST―チャルマーズ工科大学 ミラーラボ
Nordic–Okinawa Quantum Bridge(NOQBridge) Mirror Lab

Nordic–Okinawa Quantum Bridge(NOQBridge)ミラーラボは、OISTとチャルマース工科大学(スウェーデン)との間に設立され、Síle Nic Chormaic教授とNils Johan Engelsen教授が主導しています。本ミラーラボでは、ハイブリッド量子システム、ナノフォトニクス、原子物理を中心に、冷却原子、導波路量子電磁力学、超高Q値共振器、集積フォトニックプラットフォームにおける相補的な専門性を結集しています。研究者交流、学生合同イベント、オンライン技術ワークショップ、オンラインセミナーなどを通じて、NOQBridgeミラーラボは、長期的な国際パートナーシップの構築を目指すとともに、次世代の量子ハードウェアおよび量子ネットワーク技術に向けた新たなアプローチの開発に取り組みます。

OIST PI: シーレ・ニコーマック [量子技術のための光・物質相互作用ユニット]

チャルマーズ PI:  ニルス・ヨハン・エンゲルセン [ハイブリッド量子システム研究室]

 

OIST―ハワイ大学マノア校 ミラーラボ
Mechanics-Based Design for Additive Manufacturing Mirror Lab

本ミラーラボでは、OISTの力学と材料科学ユニットと、ハワイ大学マノア校のTyler Ray教授の研究グループが連携し、理論力学、材料科学、先端製造技術を融合させることで、積層造形における未解決の課題に取り組みます。研究では、積層造形に適した構造に関する力学的原理、微細構造・多機能材料、プロセス・構造・特性の相関、およびデバイスレベルでの性能に重点を置きます。OISTの研究者は数理モデリング、漸近解析・計算解析、設計手法の開発を担い、Ray教授の研究グループは積層造形、ウェアラブルセンサー、マイクロ流体デバイスに関する専門知識を提供します。
共同での人材育成や継続的な交流を通じて、研究者たちは基礎力学と実践的な製造戦略を繋げていきます。

OIST PI: エリオット・フリード [力学と材料科学ユニット]

ハワイ大学マノア校 PI: タイラー・レイ [レイ研究グループ]

 

OIST―オックスフォード大学 ミラーラボ
OIST-Oxford Analysis & Partial Differential Equations Mirror Lab

解析学および偏微分方程式分野を対象とするOIST-Oxford合同ミラーラボは、以下のような使命を持ちます。
 • 解析学および偏微分方程式の高度な手法の応用と、社会課題の解決に資する新たな数学の創出を通じて、数理科学および工学・自然科学の新たな研究分野の知識の境界を広げるための重点的な研究活動の基盤を構築します。

 • 数学ならびに工学・自然科学の関連分野における多様な現代的課題に取り組むための解析手段と数学的直観を備えた、21世紀の課題解決を担う人材を育成します。

OIST PI: ウグル・アブドゥラ [解析と偏微分方程式ユニット]

オックスフォードPI: グイチャン・G・チェン [非線形偏微分方程式センター(OxPDE)]

 

OISTー東北大学 ミラーラボ

OIST PI: フィリップ・フスニック [進化・細胞・共生の生物学ユニット]

東北大学 PI: 大林 武 [WPI-AIMEC沿岸生態系サービス研究ユニット]

東北大学 PI: シェリル・エイムズ [WPI-AIMEC海洋生物統合研究ユニット]

 

OISTー大阪大学 ミラーラボ Rewriting Enzyme Loops to Control Cell Communication Mirror Lab

細胞は、周囲の環境への連絡や応答をタンパク質のネットワークに依存しています。チロシンキナーゼと呼ばれる酵素では、activation loop(活性化ループ)と呼ばれる小さくて柔軟な領域がこれらのシグナルがどのように送られるかの制御に関わっています。私たちの大阪大学の岡田教授との共同研究により、このループの中に例えごくわずかでも変化が生じれば、それが酵素の働き方を変え、異なる細胞応答を引き起こすことができることが明らかになりました。私たちはこれを、シグナルを制御するために調整が可能な、タンパク質内の「hidden code(隠れたコード)」と表現しています。私たちの目的は、この隠れたコードを、細胞間コミュニケーションを精密に制御するために、より広く応用できるかどうかを解明することです。

OIST PI: パオラ・ラウリーノ [タンパク質工学・進化ユニット]

大阪大学 PI: 岡田 眞里子 [蛋白質研究所細胞システム研究室]

 

OISTー東京大学 ミラーラボ

私たちの脳回路は、発達の過程における他者との社会的相互作用を含むさまざまな経験に基づいて形成されます。脳回路がどのように発達するのかを理解するためには、その構造や変化を観察する必要があり、そのためには特定のイメージング技術が求められます。

社会的行動が脳の発達や行動にどのような影響を与えるのかを解明するために、岡田教授と我々の研究室はキンカチョウの求愛行動に関わる性的二型性を示す神経回路の全脳マッピングプロジェクトに取り組んでいます。また、Hensch教授と竹内教授と我々の研究室は社会的行動が脳の発達にどのように影響し、それが最終的にどのような行動という結果につながるのかを解明しようとしています。

私たちの共同研究は動物種ごとに特有の、あるいは共通する神経メカニズムの理解に役立つものです。さらに、他個体との社会的相互作用の影響を観察するため、生物物理学的シグナルをモニタリングするバイオセンサーの開発にも取り組んでいます。

OIST PI: 杉山(矢崎)陽子 [臨界期の神経メカニズム研究ユニット]

東京大学 PI: ヘンシュ 貴雄 [ニューロインテリジェンス国際研究機構/研究概要]

東京大学 PI: 岡田 康志 [ニューロインテリジェンス国際研究機構/研究概要]

東京大学 PI: 竹内 昌治 [ニューロインテリジェンス国際研究機構/研究概要]

 

OISTーマックス・プランクーカロリンスカー理研 ミラーラボ The Evolutionary History of Archaic and Modern Humans Mirror Lab

約4万年前まで、少なくとも3系統のヒト集団――デニソワ人、ネアンデルタール人、そして現生人類――がユーラシアに存在していました。私たちの研究グループでは、これらの集団のゲノム配列を用いて、各集団がどのように異なっていたのか、また集団間の遺伝的混合によってどのように変異や表現形質が受け渡されたのかについて研究しています。さらに、近年の人類集団の歴史(特に日本列島の)についても研究しています。
その目的のために、私たちは異なる集団で高頻度に見られる遺伝的変異を特定し、それらを細胞やマウスのゲノムに導入して、その生理学的な影響を研究しています。また、バイオバンクを広範に活用して、古代人類からの遺伝子流動によって現在の人類に発生している遺伝的変異の影響についても研究しています。これらの研究を実現するために、私たちは複数の異なるグループの専門知識を活用しています。例えば、OISTのSvante Pääboのグループと福永 泉美のグループは動物と細胞モデルを専門としています。ドイツ・ライプツィヒにあるマックス・プランク研究所の進化遺伝学部門(Department of Evolutionary Genetics)は、ゲノム編集と古代ゲノムのシーケンシングを専門としています。スウェーデンのカロリンスカ研究所に所属するHugo Zebergのグループはバイオインフォマティクスおよびモデルシステムを専門としています。さらに集団遺伝学的解析については、東京の理化学研究所に所属するLeo Speidelのグループの専門知識を活用しています。

OIST PI: スバンテ・ペーボ [ヒト進化ゲノミクスユニット]

マックス・プランク PI: ステファン・リーゼンバーグ [ゲノム工学・修復グループ(英語)]

カロリンスカ PI: ヒューゴ・ゼーベリ [遺伝学・薬理学疫学研究室(英語)]

理研PI: シュパイデル 玲雄 [シュパイデル数理遺伝学理研ECL研究ユニット]

 

OISTー慶應義塾大学 ミラーラボ

OIST PIs: マティアス・ウォルフ [生体分子電子顕微鏡解析ユニット] ・ オレグ・シッツェル [海洋構造生物学ユニット]

慶應義塾大学 PI: 鈴木 邦道 [構造分析ユニット, ヒト生物学-微生物叢- 量子計算研究センター (WPI-Bio2Q)]

ミラーラボ よくある質問

 

1. ミラーラボとは何ですか?

ミラーラボは、共同研究やトレーニング、そして若手研究者の共同育成を通じて、OISTとパートナー機関を繋ぐ長期的な連携の枠組みです。各パートナーが互いの強みを補完し合うことで、科学交流のための持続可能なエコシステムを形成します。

 

2. ミラーラボはどのように設立されますか?

この取り組みは、既に強固な協力関係があった分野のパイロットグループから始まりました。プログラムの拡大に伴い、OISTは、国内外のパートナーと連携する新たなミラーラボの提案をOISTPI(主任研究者)から学内公募します。

 

3. 新たなミラーラボの設立申請は誰が行えますか?

今後の公募では、OISTPI(主任研究者)が主たる申請者となります。パートナー機関の共同研究者(PI)は、共同提案者として参加することが可能です。

 

4. ミラーラボではどのような活動が支援されますか?

ミラーラボでは、以下のような多岐にわたる共同活動を実施できます。

  • 共同セミナーや会議の開催(オンラインを含む)
  • 研究者や学生の相互交流
  • 施設や研究手法の共同利用
  • 管理運営におけるベストプラクティスの共有と開発

 

5. パートナー機関は複数のミラーラボを持てますか?

はい。複数の共同研究プロジェクトが選定基準を満たし、明確な科学的価値を示している場合、同一の機関内で複数のミラーラボを運営することが可能です。

 

6. 進捗報告はどのように行いますか?

ミラーラボは、科学的進捗、交流活動、および成果に焦点を当てた定期的な活動報告書(年次レポートなど)を提出します。

報告要件の詳細については、活動に参加する各主任研究者(PI)に通知されます。

イベントレポート

2026年5月23-24日 ミラーラボ・シンポジウム、近年の人類進化の最前線を探る