カワイイ・キュービット(Kawaii-QuBit)— ダイヤモンド量子学習キット

取り組んでいる課題

量子技術は、昨年だけでも20億米ドル以上の投資がなされ、量子通信、量子センシング、量子コンピューティング分野での実用化が進むなど、産業、研究、教育のあらゆる分野において極めて重要になりつつあります。

しかし、高度な量子技術を開発する次世代の技術者や物理学者を育成するための現行の教育ツールには限界があります。既存の製品は高価で透明性(内部構造の分かりやすさ)に欠けており、多くの教育機関が体験型の量子実験を導入・授業に組み込めずにいるのが現状です。

POC project (95-de Vries): The nitrogen-vacancy (NV) is a defect in the diamond crystal
図1. NVセンターは、ダイヤモンドの結晶格子(黒)の中に、単一の窒素原子(青)と炭素原子の空孔(白)が存在する欠陥構造です。この欠陥が非常に安定した量子システムを形成し、「カワイイ・キュービット」の核となっています。

私たちの解決策

「カワイイ・キュービット(Kawaii QuBit)」ダイヤモンド量子学習キットは、ダイヤモンド中のスピン量子ビット、特に窒素-空孔(NV)センターを直接操作できる、手頃な価格で導入しやすいプラットフォームを提供する教材です。NVセンターは研究が進んでいるスピン量子ビットであり、室温で安定して動作するほか、可視光とマイクロ波を用いて制御できるため、他の多くの量子ビット構造で必要とされる高額かつ複雑な装置を回避できます。

Pythonでプログラミング可能なハードウェアをベースとする「カワイイ・キュービット」は、オープンな設計と直感的に理解しやすいコードをサポートしており、教育者や学生が科学的プログラミングのみならず、量子世界の根底にある物理学について学ぶことを可能にします。既存の製品とは異なり、「カワイイ・キュービット」は低コスト、オープンな構成、そして親しみやすさ(アクセシビリティ)を重視しています。これにより、広がりを見せる量子ハードウェアの世界を、次世代の研究者や技術者のもとへと届けていきます。

POC project (95 - de Vries): Figure 2
図2. NV量子欠陥を含むダイヤモンド(左)は緑色光を照射すると赤色光を放出しますが、含まないダイヤモンド(右)は放出しません。