大規模量子コンピューティングネットワーク構築に向けた イオントラップおよび光共振器の開発

取り組んでいる課題

量子コンピューティングにおける主要な課題は、スケーラビリティです。古典的な分散コ ンピューティングから着想を得た解決策として、少数の量子ビットを含む量子プロセッ サーをネットワーク化する方法があります。EQuIP が取り組んでいる捕捉イオンアーキ テクチャでは、単一光子を用いて別々のイオントラップを結合する必要があります。つ まり、このシステムにおける光子の発生と捕捉能力が、結合の効率を決定づけます。 収集効率を高める有望な解決策の 1 つが、イオンの周りに光共振器を配置するこ とです。しかし、市場には信頼できるイオントラップと共振器のサプライヤーが存在しな いため、多くの研究者は自らの手でシステムを設計・構築せざるを得ず、イオントラッ プの設計と開発に1年以上を費やし、学生やポスドクの本来の研究から時間とリソ ースを奪っています。

POC project (69 - Kassa): Figure 1
図1. ガラス基板上に乗せた、金メッキを施した 3D プリント製のイオン・トラップ

私たちの解決策

私たちは、選択的レーザー誘起エッチング(SLE)と呼ばれる新しい製造方法を採用し ています。SLEは、減算的な3Dプリンティングプロセスであり、イオントラップと共振器 の製造・組み立ての複雑さを解消します。EQuIPはすでに自作のイオントラップ(図1) と小型光共振器を完成させており、このイオントラップは現在稼働中で、量子プロセ ッサーの量子ビットとして機能するイオンの連なりを閉じ込めることができます(図2)。 次のステップでは、2つのイオントラップ間の効率的な光子リンクを実現するため、第 2 世代のイオントラップに光共振器を統合する予定です。これが、スケーラブルな量子 プロセッサーの実現に向けた重要な一歩となります。この目的のため、OISTの最先 端の設備を活用し、導波路とスポットサイズ変換器を作成し、光ファイバーを用いて これらの共振器を相互接続する予定です。

POC project (69 - Kassa): Figure 2
図2.イオントラップの電極間でレーザー冷却された 6 個の単一カルシウムイオン