2022-10-28

新たなイノベーション拠点がOISTに誕生

病気やストレス、加齢や栄養などの心と体、そして環境などといった要因は、私たちの健康に大きな影響を及ぼします。そして、そのバランスが崩れると、疾患や食糧難、生物多様性の損失、環境汚染などの世界規模の問題に発展してしまいます。科学技術は、これらの問題を解決する大きな可能性を秘めていますが、基礎科学研究による知見を社会に役立てるためには、国や地域、研究分野、産学官の垣根を超えた連携が必要です。

沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、この度、科学技術振興機構(JST)の「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」に採択され、「グローバル・バイオコンバージェンスイノベーション拠点」を設立することになりました。

バイオコンバージェンスとは、生命・生物医学、海洋科学、工学、AI、複雑系などの学術分野間に生まれる相乗効果と、産学官の間に生まれる相乗効果をつなぎ、実用的なソリューションの開発を加速化する新しい戦略です。本拠点は、このバイオコンバージェンスを推進するプラットフォームとして、人類と自然界は密接につながっており、そのことによって利益がもたらされるという「ワンワールド・ワンヘルス(One World-One Health)」の概念を実現することをビジョンに掲げます。

OISTのピーター・グルース学長は、採択について、次のようにコメントしています。「JSTの共創の場形成支援プログラムは、これまでOISTが採択された最大規模のプログラムです。これは、スバンテ・ペーボ教授(アジャンクト)の2022年ノーベル生理学・医学賞受賞に続く吉報であり、本学がミッションに掲げる世界レベルの研究、教育、イノベーションを引き続き推進していくことを示しています。」

プロジェクトリーダーを務めるニコラス・ラスカム教授はプロジェクトについて、「OISTの特色である国際的かつ学際的な環境を基盤としています。『健康な心、健康な体、健康な環境』の3分野を対象とした研究開発を科学者やイノベーションの専門家を結集することによって共同で行います」と説明します。

OISTプロボストのエイミー・シェン教授は、「バイオコンバージェンスによって、科学と技術がより深く交わり、多くの学術分野が大集結することになります」とコメントしています。

本拠点は、OISTから11の研究ユニット、技術開発イノベーションセンター(TDIC)、そして30の産官学の参画機関により始動します。以下に、研究開発プロジェクトの一例をご紹介します。

  • 河野恵子准教授は、サントリーホールディングス(株)と連携し、自身の研究ユニットが発見した新しい細胞老化経路を活かした、健康長寿への新たなアプローチの開発を行います。
  • 副プロジェクトリーダーである北野宏明教授(アジャンクト)は、コランダム・システム・バイオロジーと共同で、AIとロボットを使ったマルチオミクス・細菌叢(マイクロバイオーム)の全自動解析ラボシステムを設立します。
  • ティモシー・ラバシ教授、御手洗哲司准教授、佐藤矩行教授は、地元企業や自治体と協力して琉球列島の海流とサンゴ礁の生物多様性を調査します。

プログラムの参加者・連携機関の一覧 : PDF (JST「共創の場形成支援プログラム」ウェブサイトより)

今後、拠点の成長に伴ってさらに多くのプロジェクトや参画機関が加わる予定です。また本拠点で設立される「共創ラボ」やスタートアップ創出モデルによって、各プロジェクトを事業化したり、社会実装に向けた取り組みを加速化させます。

本拠点の運営責任者となるギル・グラノット・マイヤー首席副学長(技術開発イノベーション担当)は、「グローバル・バイオコンバージェンスイノベーション拠点は、通常は集まらない異なる科学分野や組織が集まることで新たなソリューションを生み出すというOISTの目標を達成するための鍵となります。イスラエルでの自分の経験を日本で活かし、両国のスタートアップエコシステムをつなぐことができることを大変嬉しく思います。沖縄は、このような意義深い取り組みを行うのに最適の場所です」とコメントしています。

さらに、河野恵子准教授は次のように述べています。「拠点の核となるのは、多様性です。科学分野、人、組織、そしてアイデアの多様性によって、コンバージェンスを実現します。」

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ヘッダー画像:シャーロット・キャピタンチェック(OIST)