再生可能エネルギーへの光の道

太陽光発電の新たな評価基準を開発

    太陽光は、化石燃料に代わる再生可能エネルギーとして有望なエネルギー源です。しかし太陽光を使って発電することは大変複雑なことで、さらに雲の量や、時間の移り変わり、空気中の粉塵など常に変動する要因による影響を受けます。

    沖縄科学技術大学院大学(OIST)のマヘッシュ・バンディ准教授は、太陽光発電の変動を定量化して比較するための、新たな標準化手法を共同開発しました。Physical Review Applied誌に掲載された准教授の論文では、太陽エネルギーを電気に変換するシステムである太陽光発電ファームの開発とその効率における指針となる可能性があります。

    「太陽光は測定する場所によって変化するため、これまで発電の変動を比較する基準はありませんでした。比較の基準を見つけることは非常に重要です。」と、OIST非線形・非平衡物理学ユニットを率いるバンディ准教授は説明します。

流動的な出力

    太陽光発電の出力の変動は「パワースペクトル」と呼ばれる数値によって評価されます。

    パワースペクトルを使用すると、太陽光発電所で生成される出力変動を定量化することができます。ただしこの数値は雲の範囲や空気中の塵などで変化するため、世界各地の異なる場所の発電所間で比較することはできません。各地の太陽光発電所のエネルギー生産を有意義に評価するには、19世紀から20世紀にかけて通貨に金本位体制(ゴールドスタンダード)が敷かれたような、標準的な基準が必要です。

    その基準を定めるため、バンディ准教授と共同研究者であるイスラエルのネゲヴ・ベン-グリオン大学のゴラン・ベル教授は、雲や塵などの干渉を除外した太陽エネルギーの出力を電磁波として定量化する晴天指数について調べました。

    2009年の晴天の日のデータ分析の結果、ベースとなる太陽照度は、日中の日照時間の変化に依存するパターンに沿っていることが明らかになりました。

 

    バンディ准教授とベル教授は、地球上の特定の場所でベースとなる日射量を測定することは、その地点での太陽光発電スペクトルを比較する際の信頼できる基準となる、と結論づけました。雲やその他の干渉要因の変動があっても、地理的な場所こそが、太陽光発電の出力に確実に影響を与えるというのです。

   バンディ准教授の次の目標は、雲が通過するなどの要因で日照が遮られる際に、太陽光発電がどのように変動するかを調べることです。バンディ准教授は、エンジニアリングと政策の両分野にとってこの研究が有益な知見となり、太陽光発電の出力を最適化できるようになることを期待しています。

    「この黄金律を見つけたことで、太陽光発電の出力変動の特徴を理解する上での最初の障壁を越えることができました。言うなれば測定に使うための定規を手に入れたようなものです。」とバンディ准教授はコメントしています。

広報・取材に関するお問い合わせ:media@oist.jp

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