2019-05-31

OIST、新たな修了生の門出を祝う

2019年5月25日、沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、第二回目となる学位記授与式を執り行い、新たな修了生の誕生を讃えました。 本授与式は、本学の学生、教職員、そして創設メンバーらの献身的で多大な努力の賜物であり、日本がいかに世界レベルの科学者を生み出し続けているかを示すものでもあります。

授与式は土曜日の午後に行われ、海洋ゲノミクスから波力エネルギーに至るまで、様々な分野で博士号を取得した19名の修了生の研究における成功を祝福しました。約300名がOIST講堂に集い、修了生の家族だけでなく、国内外の学術界、産業界、政府関係者らも出席しました。

講堂のステージで音楽の演奏を楽しむ本年度修了生

授与式は、修了生の入場と生演奏の伴奏で始まりました。 OISTのピーター・グルース学長が歓迎の挨拶をし、宮腰光寛大臣(沖縄及び北方対策担当)代理、玉城デニー沖縄県知事代理をはじめ、来賓の方々を紹介しました。 グルース学長は、修了生に向け、OISTへの貢献と卓越性へのコミットメントに感謝を述べ、「地球市民として影響力を持ちつつ、科学や技術、そして理性が世界に何をもたらすことができるかというメッセージを広げる一助となっていって欲しい」という言葉を送りました。

その後、ノーベル賞受賞者で英国フランシス・クリック研究所所長のポール・ナース卿が授与式特別公演を行い、修了生に向け、人類の利益のため、自らのスキルを賢く使うことを勧めました。ポール卿は多くの偉大な啓蒙思想家を例としながら、科学を公共​の益と見做す事例を提示しました。 「最高の科学というものは、真に革命的であり、最終的には政治やイデオロギーに基づく革命よりもはるかに優れています。科学の知識は、人間社会や文化に持続的な革命的変化をもたらすことができるのです。」と語りました。

開式の辞で来賓を紹介するOIST学長ピーター・グルース

博士号の授与は、短い休憩と間奏の後に行われました。修了生は一人ずつ前に出て、博士課程の指導教員により紹介されました。困難を乗り越えた心を揺さぶるような体験談も含まれていました。新竹積教授は、研究期間中に家族の一人を失ってしまった体験を克服し、論文を修了するためOISTに戻り、勇気ある行動を示したカラレ・チョラ博士の精神的力強さに焦点を当てました。グレッグ・スティーブンス教授は、OISTの学際的研究におけるビジョンと一致する、トシフ・アフメッド博士の持つ創造力を賞賛しました。

修了生らは各々の紹介を受けたのち、アカデミック・フードを肩にかけられました。赤、白と黒のOIST色のこのフードは、「読谷山ミンサー」と呼ばれる地元の織物を使った独特のものです。読谷山花織事業協同組合により手染めの綿で手織りされたこのフードは、地元で長寿のための縁起かつぎとお金と幸運の模様に加え、科学を象徴する正弦波とが組み合わさったデザインです。

「公共の益としての科学」についてスピーチするポール・ナース卿

その後修了生を代表し、銅谷賢治教授の神経計算ユニットで博士号を取得した、イェシカ・ヴェレーナ・シュルツェ博士が講演しました。シュルツェ博士は、説得力あるTED講演をしたブレネー・ブラウン教授の「傷つく心の力」の概念を、科学的な発見に応用し、大いなるリスクへの問いかけをし続けることについて語りました。また、OIST、沖縄、日本に感謝の意を表し、スピーチの一部を日本語で届けました。また、「初めてOISTに来た時、私は、正しい選択をしたかどうか確信を持つことができませんでした。でも本日私は、私の人生で最高の決断の一つだったと言えます。」と話しました。

授与式の中では、マックス・プランク進化人類学研究所所長のスバンテ・ペーボ教授が、古遺伝学の分野への優れた貢献により名誉博士号を授与されました。ペーボ教授はこの分野の創設者の一人として、私たちの進化の歴史に多くの光を当てました。 教授は2010年、約4万年前に絶滅し、現代の人類と密接に関連する種であるネアンデルタール人の全ゲノム配列解読に成功した最初の科学者です。

授与式後、5月の日差しの中で喜ぶイレイン・ウォン博士。

チェリー・マレイOIST理事会議長からの閉会の挨拶後、授与式は音楽で幕を閉じ、その後修了生は、拍手喝采を浴びながら、5月の日差しに向かって会場を後にしました。

この日はOISTの歴史の中で特別な日でした。 修了生に心からの祝福を送ると共に、彼らが将来、あらゆる取り組みにおいて成功を収めることを祈ります。

2019-07-01

2018年度学位記授与式の写真はこちらをクリックしてください。