2018-02-27

OIST初の博士課程修了生誕生!2017年度学位記授与式

  2018年2月24日、沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、第一回目となる学位記授与式を執り行い、博士課程を修了した第一期生の門出を祝いました。本式典は、OIST学生や教職員、本学の創設に関ったの方々の多大なる献身と尽力を共有しあう場となり、また日本がわずか6年足らずで、新たに国際的な科学研究における卓越した世界レベルの大学院大学を沖縄に設立させた証となりました。

講堂に入場する修了生を拍手で迎える聴衆

 学位記授与式は土曜日の午後に行われました。 OIST講堂に300人近い人々が参集し、量子物理学から海洋ゲノミクスといった、多様な分野で博士号を取得した14名の修了生の功績を讃えました。 授与式には、修了生の家族のみならず、国内外の学術界、産業界、政府機関からも多くの方のご臨席を賜りました。

 式典は修了生の入場とクラシック音楽の生演奏で始まり、OISTピーター・グルース学長による開式の辞と来賓紹介がなされました。来賓挨拶では、江崎鐵磨内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策、消費者及び食品安全、海洋政策)に代わって島尻安伊子大臣補佐官より、また、翁長武志知事の代わりに浦崎唯昭副知事よりお祝いのお言葉をいただきました。グルース学長は修了生によるOISTへの貢献を讃え、「開拓者である皆さんの本学への信頼と尽力に、我々は永遠に感謝し続けるでしょう」と、謝辞を述べました。

開式の辞で来賓を紹介するOIST学長ピーター・グルース

アカデミックドレスで正装した修了生。

 祝辞は、ノーベル賞受賞者で、米国エネルギー省元長官のスティーブン・チュー博士からいただき、その中でチュー博士は修了生に3つの大事なアドバイスを送りました。一つ目は、地球上にいる時間は貴重な資産であり、賢明にその資産を使うべきということ。二つ目に、プレッシャーに屈して論文を不完全なまま提出するようなことをせず、高い質の科学成果を発表することに注力すること、三つ目に寛大な心を持つようにし、他の人と成果を分かち合うことが大事である、というアドバイスでした。 チュー博士は、「もし皆さんが失敗したことがないとしたら、それ自体が、皆さんの人生における最大の失敗でしょう。失敗なしでは何をなし得たかも知ることはできません」と述べ、リスクを冒してでも挑戦することの重要性を強調しました。

修了生に対して熱意溢れる思慮に富んだ祝辞を述べるスティーブン・チュー博士

  短い休憩時間と間奏の後、学位記の授与が行われました。博士課程研究指導教員による、修了生それぞれに関するオリジナリティあふれる紹介とともに一人ずつステージに上がりました。例えば、トーマス・ブッシュ教授は、詩を引用しながらリー・ジェームス・オリオーダン博士を紹介した一方で、シーレ・ニコーマック教授はユニークな五行詩のリメリックを用いてマーク・デイリー博士を紹介しました。

  紹介を受けて修了生らは 、赤、白、黒のOISTカラーで紡いだ読谷山ミンサーと呼ばれる地元の織物でできた帯地が縁にほどこされたフードを首からかけてもらいました。 読谷の織物職人が手染めの綿を紡いだ布でできた帯地は、金運と招福を意味する地元に伝わる縁起物の文様に、科学を象徴する正弦波の模様がデザインされています。

  修了生を代表して、G0細胞ユニット所属のキャロリン・スタージンスキ博士が謝辞を述べ、博士課程を生き残るための最も重要なことは粘り強さで、困難や障壁にも関らず継続する力だと語りました。OIST修了生がOISTを旅立つ際には 、「問題解決能力、批判的な思考力、時間管理能力、紛争解決能力、さらには相手を説得する能力も備わっていると認められたのも同然です。」とまとめました 。スピーチ最後に同博士は、「国民の皆さま」と、日本語で日本の聴衆に語りかけ、研究の傍ら子育てをしたり、日本語を習得した人も多いOIST修了生の多才ぶりを披露していました。

修了生を代表してスピーチをするキャロリン・スタージンスキ博士

 式典では、OIST建学のビジョンを最初に提唱した尾身幸次氏に、OIST初となる名誉博士号が授与されました。グルース学長は、「尾身氏の先見性溢れるリーダーシップなしでは、OISTは決して誕生しなかったでしょう 」と述べ、日本の大学制度の伝統を打ち破り、新しいユニークな大学をゼロから推し進めた尾身氏の勇気と無私無欲で強靭な精神を讃えました。

式典後に喜びを分かち合う修了生

 式典は、修了生らが2月の太陽の光が照らす屋外へと退場する中、拍手喝采とフィナーレの音楽をもって閉じられました。

ククイノキから作られたハワイ伝統の「レイ」を首にかけてもらっている修了生。レイはハワイ出身のOIST評議員会メンバー、ボブ・ナカソネ氏からの寄贈品。

 すでに日本を発ち、博士課程修了後のキャリアを始動させた学生の中には、今回の式典のために沖縄に戻り、友人や同僚と再会を楽しむ姿もありました。OIST在学中、何が最も楽しかったかを質問してみると、修了生たちは多くの良い思い出を共有してくれました。 植物エピジェネティックスユニットのニーニョ・エスピナス博士は、「OISTでは自分自身の研究を行うことへの自由度があり、自分の研究を自ら導いていくことは、価値のあるリスクと痛みを伴った別次元のレベルの学びでもありました」と語りました。最先端医療機器開発ユニットの高橋大介博士は、OISTの学際的な特色を感謝しつつ、「他のユニットで全く別の研究を行い、異なる思考をもつ学生たちとの日々の会話が楽しかったです」とコメントしました。

式典後にジョナサン・ドーファン元学長とレネー夫人と談話する修了生のザッファー・ハワッシュ博士

 修了生たちは、興味深く、わくわくしながら社会人としての第一歩を踏み出しました。例えばマーク・デイリー博士 は、Nature姉妹誌の Scientific Reportsの副編集者として学術出版の分野に進みました。 他の修了生の中には、ポスドク研究職に就いた人も複数います。 OISTでの5年にわたる研鑽の後、在学生と分かち合える多くの知恵を修了生は備えています。 量子理論ユニットに所属したリコ・ポーレ博士は、チュー博士の言葉を引用して「成功するには、必ず失敗が伴います。 失敗することは良いことであり、学ぶ機会を得ることである、と心に刻まねばなりません」と、語ってくれました。

修了生の家族も出席した式典では、修了生のミニチュア・ガウンを着て参加した小さな来賓者の姿も見られました。

 学位記授与式は、OISTの歴史の中でも、特別な日でした。 修了生の皆様、誠におめでとうございます。今後のご活躍とご成功をお祈りいたします。

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