2014-05-16

偉人の精神を受け継いで

 5月14日の夕べ、OISTでは南アフリカ共和国駐日特命全権大使モハウ・ペコ氏を迎え、ネルソン・マンデラ記念講演を開催しました。演題は、「科学技術は開発と民主化を両立できるか」。この問いに対し、ペコ大使は力強く「Yes!」と答えました。300人近くの聴衆が示唆に富むプレゼンテーションを聴講し、アフリカにおける科学技術の発展の必要性について認識を新たにしました。

 自身も南アフリカ共和国出身であるジョナサン・ドーファン学長は、開会にあたり、この同郷の人物の偉業と貢献を振り返りました。マンデラ元大統領を「マディバ」という愛称で呼び、「元大統領はいつも笑顔を絶やさず、自らの使命に揺るがぬ信念を持っていました」と語った上で、「彼が示した人道的活動と思いやりの精神を、決して忘れてはなりません」と述べました。

 ドーファン学長の紹介に続き、ペコ大使の講演が始まりました。まず初めに、アフリカ大陸における、豊かな科学技術の歴史を浮き彫りにしました。エジプトの巨大ピラミッドといった建築上の功績から、割り算や掛け算が記述されている3万5千年前の数学の教科書、現代医学にも通じる慣習まで、様々な例が挙げられました。しかし、このような遺産があるにもかかわらず、近年アフリカにおける科学技術の発展は、社会不安や投資不足により低迷しています。

 続いて大使は、教育や科学への投資、特許の面から、世界各国を比較しました。日本がほぼ全分野において高順位を占める一方、明らかにアフリカは科学技術の発展につながるこれらの要素を欠いていることが示されました。「民主主義を推し進めるために科学技術を用いようとするのであれば、まず科学技術を持っていなければなりません」と同大使は指摘しました。

 現在このような格差がアフリカと他国との間にあるにも関わらず、大使は希望のメッセージを口にしました。アフリカ経済は成長しており、今こそ、より多くの資力を科学技術に注ぎ、雇用創出とさらなる経済成長に拍車をかける時が到来しています。大使は、自国政府の助成金と他国からの投資を合わせることが、最良の方策だと確信しています。このメッセージを世界中に広める中で、大使は複数の人から同じ質問を受けたと話しました。それは、アフリカにとって、科学技術の発展を目指すよりも、社会不安や多くの人々に基本的生活必需品が不足している現状を解決する方が先ではないか、という指摘です。これに対し、大使は「例えば、人工衛星を打ち上げることができれば、洪水時には洪水の様子をとらえることができます。地球温暖化により大陸のどの地域が影響を受けているか特定できますし、動物の群れに何が起きているかを観察し、問題を緩和する対策を立てることもできます。」と答え、さらに、「これこそが、日本をはじめとする国々、OISTのような機関等と協力関係を結べる分野であり、アフリカ大陸における課題の多くを解決することができると考えています。」と付け加えました。

 講演の終わりに、大使は「この話が皆さんの琴線に触れ、論議を生みだし、将来、アフリカと科学技術的連携を発展させるきっかけとなれば幸いです」と述べました。

(エステス キャスリーン)

(エステス・キャスリーン)

広報や取材に関して:media@oist.jp