2008-02-06

ジョセフ・サージェント博士によるADHDに関する講演

ジョセフ・サージェント博士によるADHDに関する講演会

去る2月7日、沖縄県立南部医療センター・ こども医療センター(南風原町)とOISTとの共催で、アムステルダム・フリィ大学のジョセフ・サージェント博士による注意欠如多動性障害(ADHD)に 関する特別講演会が同センターで行われた。サージェント博士は、世界的に広く知られているADHDの研究者で、同分野で研究を進めている沖縄科学技術大学 院大学(仮称)の先行研究プロジェクトの一つ、「発達神経生物学ユニット」(代表研究者:ゲイル・トリップ博士)の招致により、今回の沖縄講演が実現し た。サージェント博士は「妥当性と治療」をテーマに、ADHDに関する最新の研究内容について紹介した。

注意欠如多動性障害(ADHD)とは、注意持続困難、多動性、および衝動性を特徴とする障害で、その発症には神経生物学的な要因が関連していると多くの研 究者によって信じられている。子供にみられるある程度の注意散漫、指示に従うことの困難さ、落ち着きのなさは、珍しいことではないことから、ADHDの存 在に懐疑的な専門家もいる。サージェント博士は、ADHDに関する過去の研究データを引用しながら、ADHDが確かに存在し、その諸症状は密接に関連し、 成人期にも継続しうることを説明した。また、同博士はADHDと関連があると考えられる遺伝子について提示した上で、ヨーロッパでおよそ1500名の子供 とその家族を対象に行った調査の結果を今年中に公表すると述べた。この調査でADHDの遺伝的要因がより明らかになると思われる。一方でサージェント博士 は、 ADHDの発現は遺伝的要因だけではなく環境的要因との相互作用で生じるとも述べた。講演の最後にサージェント博士は、サージェント博士は、ADHD の解明には大脳基底核や前頭葉だけでなく、小脳についても研究する必要があること、そして近い将来、ADHDに関係する遺伝子座を特定することによって、 診断基準が明確になり、より効果的な治療が可能になるだろうと力説した。

 

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病院関係者を含むおよそ200人が講演会場を埋めつくした

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質問をする発達神経生物学ユニットのゲイル・トリップ博士(中央)

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病院スタッフから質問を受けるサージェント博士

 

 

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ジョセフ・サージェント博士
1945年スコットランド生まれ。1981年オランダ・フ ローニンゲン大学にて博士号取得後、同大学講師、アムステルダム大学教授を経て、1999年にアムステルダム・ フリィ大学臨床神経心理学部長に就任、現在に至る。ヨーロッパにおける多動障害研究で名高いEuropean Network on Hyperkinetic Disorders (Eunethydis) の設立(1990年)以来、議長を務める。また、1998年から現在に至るまでJournal of Abnormal Child Psychology(異常小児心理学ジャーナル)の編集に関わるほか、 Journal of Child Psychology and Psychiatry(小児精神医学ジャーナル)の編集にも十年間携わる。研究テーマは多動児の情報処理における欠陥を特定することで、 近年は、向精神薬の高次処理への影響を中心に研究している。