OIST-CCP4講座 — 自己データで実践的に学ぶ —

  今日のコンピュータ社会の特徴の1つは、増大するソフトウェアのアップグレードの頻度です。研究者も、研究方法を向上させる可能性を秘めたソフトウェアのアップグレードと無関係ではいられません。


OIST施設見学中にCCP4参加者に説明をする山田真久サイエンティフィックシニアマネージャー


CCP4参加者


講義の様子

  去る12月5日~9日、OISTにおいて、CCP4(Collaborative Computational Project No.4)との共催により、結晶構造解析の講座が5日間にわたって開催されました。CCP4はコンピュータプロジェクトの集合体で、タンパク質結晶構造解析分野の研究者に使用される様々なソフトウェアを独自にパッケージしたものです。研究者も、進化する最新のソフトウェアについていかなければなりません。

  本講座には、東南アジア・オセアニア地域の国々から約20名の大学院生と博士課程を修了した研究者が参加し、タンパク質の構造解析研究にCCP4ソフトウェアを使用する方法に加え、データ処理や新規構造の解明・精密化の際に直面する具体的な諸問題に対処する方法を学びました。

  受講にあたり、参加者は自分のデータを持参するよう求められました。これは、そうしたデータにCCP4ソフトウェアを使用することで、リアルタイムに自分のタンパク質の構造解析を体験できるようにするためでした。英国ケンブリッジ大学の医学研究局分子生物学研究所から講師として参加したガリブ・ムルシュドフ博士は、「これまで大阪と東京でCCP4講座を開催してきましたが、沖縄は今回が初めてです。過去の講座同様、最大の焦点は参加者が、自分で集め、愛着のあるデータを使って作業することでした。抽象的なデータや情報を使うことは避けたいと考えています。」と、語っています。

  OIST細胞膜通過輸送研究ユニットのファデル・A・サマテ准教授は、「選抜された20名の参加者に、自分のデータを持参するよう要請したことで、20種類の新たなタンパク質の構造が解析されたことになります。自分のデータを使うことのメリットは、参加者が自分の研究室に戻った後にソフトウェアの使用方法が分かるだけでなく、同僚の研究員に使い方を教えることができることです。」と話しています。

  最後に、CCP4のユージーン・クリシネル博士は、「OISTの設備には非常に感銘を受けました。設備や建物や人材の充実ぶりに驚きと喜びを禁じ得ません。世界的にみて急速に発展しつつある地域の中心に、これらすべての条件が揃う場所があるということが重要です。これまでCCP4がアクセスできなかった地域、例えば上海などにもわずか3時間強という近さで、“Right Next Door”(すぐお隣)なのです。」と、本講座の感想を締めくくりました。

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