EbiSeq:エビ養殖を改善する革新的な環境核酸ツール

取り組んでいる課題

エビの養殖を成功させるには、池の養殖密度とエビの活動を正確に把握することが極 めて重要です。これらの見積もりが不正確な場合、給餌量の計算ミスや病気の発見、遅れを招き、生産に悪影響を及ぼす可能性があります。その結果、全体的な収量の低下や大量死滅を引き起こし、養殖業者や地域の産業に壊滅的な打撃を与える恐れがあります。

養殖池におけるエビの数と活動状況を正確にモニタリングすることは、生産性の向上と養殖場の長期的な存続に不可欠です。しかし、養殖池という環境の特性上、目視による観察は困難であり(図1)、現在のモニタリング方法は労働集約的で精度も低い手作業に大きく依存しています。持続可能な地域産業を維持するためには、養殖業者は給餌の無駄とコストを削減し、病気の早期発見による感染拡大防止、労働集約的で時に危険を伴うモニタリング方法への依存度を減らす必要があります。  

POC project (89 - Huerlimann): figure 1
図1. エビ養殖池の概要(提供: Yoko Shintani)

私たちの解決策 

すべての生物は核酸(DNAやRNA)の形で遺伝物質を環境中に放出しています。これらの環境核酸(eNA)を用いることで、生態系における生物の存在を検出することができます。ストレス、病気、活動量の増加などの際には、様々なeNAが通常より多く放出されるため、これを利用して生物の健康状態や活動量の経時的な変化を検出することができます(図2)。同様に、eNAの種類によって自然分解の速度が異なることを利用し、異なるeNAバイオマーカーを比較することで、これらのシグナルが最新のものであるかどうかを判定することができます。

eNAバイオマーカーの分析により、生物の活動や健康状態、そして養殖環境全体の健全性を、非侵襲的、経済的、かつスケーラブルな方法でモニタリングすることが可能となります。

POC project (72 - Huerlimann): figure 2
図2. エビの状態に応じたeRNA/eDNA比率および病原菌の分泌の様子 これらの情報を用いて池の健康状態を評価します。