「0から1」を生み出そう!——サイエンスチャレンジ2025

3月17日から21日まで、26人の学部生および大学院生が、全国の大学から沖縄科学技術大学院大学(OIST)に集まりました。OIST研究科が主催する次世代研究者育成のための年次ワークショップ「サイエンスチャレンジ2025」に参加した彼らは、プレゼンテーションスライドと短いビデオによる応募131件の中から選ばれました。ワークショップでは、科学の視野を広げ、OISTでの博士課程の学生生活を実際に体験しました。
今年のテーマは「“Into the Unknown: What is your 0 to 1 idea?” あなたの思い描く壮大な研究を実現するために無限の自由と研究資源が目の前にあると想像しよう。そして、未知の世界に挑戦、探索し、そこで一緒に『0から1』を生み出だそう!」でした。ワークショップでは、参加者が自身のアイデアを3分間のピッチにまとめました。

ワークショップでは、OIST教員によるサイエンストークも行われました。ジェイソン・トゥワムリー教授は、量子技術と超伝導の研究について、アミン・チャブチャブ准教授は、巨大波に関する研究について、アメデオ・ロベルト・エスポジート准教授は、分野を超えて活用できるさまざまな情報測定手法を理解する方法について、それぞれ講演しました。これらの講演は、OISTの特徴である学際的な研究について紹介する場となりました。
講義に加え、参加者たちはラボツアーにも参加し、OISTの最先端の研究環境を目の当たりにしました。多様な科学分野のプロジェクトについて学びながら、OISTならではのユニークな研究環境に触れることができました。また、博士課程の学生が指導する実践的なセッションでは、実験の装置からプログラミング、データ解析に至るまで、日々の研究現場で用いられる技術を実際に体験しました。
ワークショップのハイライトの一つは、OISTの博士課程学生とのオープンディスカッションでした。ディスカッションは「なぜ博士号を取るのか?」という問いから始まり、参加者はOISTの学生と直接交流しながら、大学院での研究生活やアカデミアでのキャリア、科学の道に進む上での考え方などに触れることができました。

最終プレゼンテーションに向けて、参加者たちは専門家から、短い時間でアイデアを効果的に伝えるためのアドバイスを受けました。最終日には、審査員パネル(ハリー・ウィルソン博士〈カリキュラム開発スペシャリスト〉、レット・レジスター〈インターナルコミュニケーションマネージャー〉、アレクサンドラ・ガブリロヴァ〈博士課程学生〉)の前で、各自3分間の「0から1」研究ピッチを披露しました。
早稲田大学理学部生物学専修の吉田楓さんは、がんの発症率が低い沖縄県民の腸内細菌叢を研究するというアイデアで審査員から高く評価され、最優秀賞を受賞しました。聴衆の投票によって決まるオーディエンス賞には、慶應義塾大学理工学部生命情報学科の小牧裕美子さんが、人工知能を活用して非言語的なアイデアをアウトプットするという提案で選ばれました。

参加者にとって「サイエンスチャレンジ2025」は、科学者としての自身の未来への興味を深め、明確なビジョンを描くきっかけとなりました。ある参加者は「参加して本当に良かったです。実際に博士課程生活を体験できて、OISTの学生と話もできて有益な情報が沢山得られました。また、科学への情熱を持った仲間たちと出会えて刺激を貰えました」と語りました。また別の参加者は、「人生で次に何をすべきかという不安を和らげるセッションになりました」と振り返りました。