OIST育ちのEF ポリマー社、令和3年度の環境スタートアップ大臣賞を受賞

OIST発スタートアップ企業であるEF ポリマーが、農業の主要課題である気候変動や干ばつ等を持続可能な方法で解決する製品を作っているとして、環境省より大臣賞を受賞しました。

OISTが沖縄県から支援を受けて行っているインキュベーションスクエア・スタートアップアクセラレータープログラムから生まれたグリーンテック企業のEF ポリマー株式会社が、本年度の環境スタートアップ大臣賞を受賞しました。

同賞は、環境省が2020年から毎年開催している表彰イベント「Green Startup Pitch」の最優秀賞にあたります。このイベントは、有望なスタートアップに支援と事業拡大の機会を提供することで、環境に優しい持続可能な技術のイノベーションと活用を促進することを目的としています。

授賞式は、2022年3月9日に東京国際フォーラムおよびオンラインにて開催されました。

キャプション EFポリマー社の石井良明氏(右)が、環境大臣政務官の穂坂泰氏よりGreen Startup Pitchの表彰状を授与されました。

EF ポリマーの創業者兼CEOであるナラヤン・ガルジャールさんは、次のように述べています。「環境大臣賞をいただけることに感激しています。今回の受賞をきっかけに、他のプログラムや企業と連携し、弊社の活動を加速化して、農業や産業分野での課題に対し、より環境に優しい方法で解決する助けとなることができればと思います。」

ガルジャールさんは、2018年10月にインドでEF ポリマーを創設し、2019年にOISTアクセラレータプログラムに採択されました。現在、OISTのインキュベーター施設に本社を構えるEF ポリマーは、果物や野菜の食べられない部分などから、オーガニックで生分解をし、さらに安価であるポリマーを生産することを主なミッションとしています。同社の乾燥粉末ポリマーは、1グラムあたり100ミリリットルの水を吸収することができます。このため、農作物を育てるのに必要な水の量を減らすことができます。農業にとって深刻な影響を及ぼす干ばつに対しする解決策となる製品です。

EF ポリマー日本本社のオペレーションマネージャーである石井良明さんは、次のように付け加えます。「植物のいらない部分を再利用することによって作られたポリマーは、土壌の中の肥料を根の周りに保持する役割も果たすため、肥料の量を減らし、有害な肥料が水路へ溶けて流出するのを減らすこともできます。この製品は、持続可能な循環型経済を推進し、日本政府が『みどりの食料システム戦略』で定めた2050年の農業目標に寄与するものです。」

昨年、EF ポリマーは研究開発プログラムを加速させ、日本国内の6道県(沖縄、長崎、広島、兵庫、山形、北海道)の農家と協力して、さまざまな農産物を対象としたパイロットプロジェクトを実施しました。さらに海外でも、インド、タイ、ネパール、韓国、米国、フィリピンで同様のプロジェクトが進行中です。これまでのところ、農作物の収穫量が増加し、農家では約15%の利益向上を記録しています。

また、同ポリマーの高吸水性を生かして、新たな用途へ向けた研究も進めており、オーガニックおむつ、生理用品、土嚢、保冷剤なども開発しています。

OISTのインキュベーターの吉川弘志さんは、次のように述べています。「OIST発のスタートアップ企業であるEFポリマーが成果を出し続けていることを嬉しく思うとともに、同社の成長を支援できたことを誇りに思います。」

ガルジャールさんは、「チームと、私たちをサポートしてくれたOISTの皆さんに感謝しています。今回の受賞は、環境のために努力を続けていくモチベーションになります」と述べています。

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