2021-05-26

OIST卒業生の門出を祝福 新しい生活形式下で行われた学位記授与式

2021年5月21日、沖縄科学技術大学院大学(OIST)で第3回学位記授与式が開催され、41名の卒業生の門出を祝福しました。今回の式典は、例年とは異なる形式で執り行われました。2020年度と2021年度の両年度の卒業生を対象としていたこと、そして、多くの卒業生がライブ配信で参加するなど、会場とオンラインの両方で行われたことがその主な違いです。式典を準備・運営したのは、OISTの研究科です。

2021-07-29

2021 年 5 月 21 日に第三回学位記授与式が執り行われました。

会場で出席した卒業生は、OISTの学生によってデザインされたアカデミックドレスを身にまといました。これには、赤、白、黒のOISTカラーが取り入れられています。また、フードには沖縄の伝統織物が使用され、金運や長寿の願いが込められた紋柄と、科学を象徴する正弦波をあしらったデザインが施されています。このフードは、読谷村の織物協同組合である「読谷山花織」の我喜屋美小枝さんが、地元で手染めされた綿糸を使用して手織りで制作してくださったものです。

開式の挨拶で、OISTのピーター・グルース学長は、卒業生に向けて次のように述べました。「卒業は、新たな旅の始まりであると同時に、皆さんの人生において重要な時期の終わりでもあります。」

2021年度の学位記授与式で挨拶を述べるピーター・グルース博士

グルース学長はさらに、多くの卒業生が、在宅ワーク、論文審査のオンライン化、新しい生活様式への適応など大きな変更を余儀なくされ、非常に困難な最終学年を過ごしたことに言及した上で、逆境が新たなチャンスを生むこともあり、新たな理想を再考し、再評価し、再構築するためのまたとないチャンスでもあると強調しました。

「卒業生の皆さん、次のステージへ進むにあたり、大志を持って自身の限界を超え、そのスキルで良い変化を生み出して下さい。」

「皆さんは、この世界の次の開拓者にならなければなりません。やりたいことがすでに決まっている人も、まだ自分のやり方を模索している人も、その才能を活かして世界を良い方向に変えていってほしいと思います。」

続いて、沖縄県と内閣府の代表者がそれぞれ挨拶を述べました。

また今年度の学位記授与式では、ゴールドマン・サックス証券の元副会長で、グローバル・マクロ調査部アジア部門の共同統括、チーフ日本株ストラテジストであるキャシー松井氏が祝辞を述べました。

2021年の学位記授与式で祝辞を述べたキャシー松井氏。

沖縄をパラダイスと表現した松井氏は、OISTが世界的な科学ランキングで高い評価を得ていることを強調し、学内や卒業生に見られる多様性(卒業生のうち女性が40%)についても語りました。また、常にオープンマインドで寛大であり続けてほしいと卒業生に呼びかけました。

前例のない形式で執り行われた今年度の式典では、学位記の授与も新たな形式で行われました。指導教官らによって卒業生の業績が紹介され、会場での出席が叶わなかった卒業生に対しては、教員が代理で学位記を受け取りました。各教員は、卒業生の科学研究における成果のみならず、OISTで過ごした日々のエピソードや、学外のコミュニティーへの貢献についても語りました。

2021-07-29

2021年の学位記授与式で祝辞を述べたキャシー松井氏。

ピーター・グルース最優秀博士論文賞の発表

式典では、「ピーター・グルース最優秀博士論文賞」の発表も行われました。同賞は2019年に創設されたもので、グルース博士による20万円の寄付金が賞金として含まれています。

 

2020年度の受賞者は、神経計算ユニットのパーヴォ・パラマス博士でした。

選考委員会を代表して、OIST研究科長のウルフ・スコグランド博士が次のように述べました。「パラマス博士は、OISTでの博士課程研究を通じて、問題を実験的、数学的、さらには創造的に分析する能力を明確に示しました。」

「博士の研究は、これまでの科学の境界や限界を打ち破るというOISTのミッションを反映する模範となるものであると委員会は評価しました。博士の論文は実に卓越しており、新たな展望を切り開くものです。」

そして、2021年度の受賞者は、量子理論ユニットのハン・ヤン博士でした。

「ヤン博士のOIST大学院での研究における功績は、統計を見れば一目瞭然です。研究分野で最も評価の高い学術誌を含む査読付き学術誌に10本の論文がこれまでに掲載され、2本の論文が現在査読中であり、さらに2本の原稿が執筆中であるといいます。委員会は、ヤン博士の学術および研究における類まれなる業績を高く評価しています。卓越性を追求するというOISTの価値観の模範となる素晴らしい功績に対して敬意を表します」とスコグランド博士は、賞賛しました。

また、2021年度は受賞候補者のレベルが高かったことから、流体力学ユニットのリー・リン博士と量子システム研究ユニットの臼井彩香博士の2名に対しても特別賞が授与されました。

世界各地の卒業生を代表して答辞を述べた卒業生

次に、41名の卒業生を代表してシヴァ二・サティシュ博士が答辞を述べました。

サティシュ博士は、沖縄が彼女にとって第二の故郷となったことや、OISTの成長を目の当たりにすることができた喜びを語り、博士課程で関わったすべての人に感謝の意を表しました。

2021年度の学位授与式で、41人の卒業生を代表して答辞を述べたシヴァ二・サティシュ博士

「沖縄を離れても、ここでの経験を心に留めておくだけでなく、緊密なコミュニティーとのつながりを保つことが大切です。私たちは、科学的、文化的、社会的多様性を持つOISTの環境で刺激を受け、あらゆる面で成長を遂げ、新世代の科学者、教授、起業家またはリーダーとなる機会を授かりました。さあ、自信と変化を起こす意志を持って踏み出しましょう。単に職業上の経歴のみではなく、その人が築き上げた人間関係や、職場環境、さらに個人環境によって成功が評価される世界へ。」とサティシュ博士は決意を述べました。

企業より卒業生への寄贈品

分注器メーカーの株式会社ニチリョー様より、卒業生一人一人の名前入りのマイクロピペットが寄贈されました。

分注器メーカーの株式会社ニチリョーより両年度の卒業生に寄贈された各自の名前入りマイクロピペット

(ディッキー・ルシー)

広報や取材に関して:media@oist.jp