OIST、新たに2名の理事を歓迎

ノーベル賞受賞者のエルヴィン・ネーアー博士と野依良治博士がOIST理事に就任しました。

  沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、今月理事会に新たなメンバー2名をお迎えしました。沖縄科学技術大学院大学学園の管理運営において、理事会は監督責任を担っており、そのメンバーにはノーベル賞受賞者のジェローム・フリードマン博士、セルジュ・アロシュ博士、李遠哲博士の3名を含む、世界的にも著名な方々が名を連ねています。李博士の任期は本年9月まです。

  新理事のエルヴィン・ネーアー博士と野依良治博士は、他のメンバー同様、それぞれの分野において卓越した経歴の持ち主で、この両名が理事会の錚々たるメンバーに加わることで、そのご見識とご学識をもって、OISTの発展を導いてくださるでしょう。

  理事会は最大­­­­­­­­20名のメンバーで構成されています。新理事はこの理事会により、科学技術、大学などの組織運営において卓越した人物、または沖縄の発展と促進に関する造詣が深い人物の中から選ばれます。

 

エルヴィン・ネーアー博士

  ドイツ・バイエルン州のブーフローエ市出身のエルヴィン・ネーアー博士は、幼い頃から自然界に魅了され、その後すぐに物理学と数学の虜になりました。これらの分野を融合させるために、当時では比較的に新しい研究分野である生物物理学者の道を目指しました。

  ミュンヘン工科大学、そしてウィスコンシン大学で物理学を専攻したネーアー博士は、フルブライト奨学金で学士号を取得した後、1970年にはカタツムリの神経細胞を用いた電圧クランプの研究により、続いて同大学で修士号と博士号を取得しました。

  さらに同博士はイェール大学、ゲッティンゲン大学、カリフォルニア工科大学で研究を行った後に、ゲッティンゲンのマックス・プランク生物物理化学研究所に戻りました。

  さらにネーアー博士は、細胞生理学者ベルト・ザクマン博士と協働で、単一イオンチャネル分子の活動を記録することを初めて可能にする装置、パッチクランプの開発に成功しました。両名はこの功績が認められ、1991年のノーベル生理学・医学賞を共同受賞しています。

  現在、ネーアー博士はマックス・プランク生物物理化学研究所の名誉所長で、当時生物膜生物物理学研究科長も兼任されました。同博士は、ゲッティンゲン大学の教授も務めておられます。

エルヴィン・ネーアー博士

野依良治博士

    野依良治博士は神戸に生まれ、京都大学に進学。工業化学の分野で学士号と修士号を取得後、すぐに助手になられました。

    野崎一教授の指導の下、同大学で工学博士号を取得し、翌年には名古屋大学の助教授に就任。その後、ハーバード大学のイライアス・コーリー教授のもとで博士研究員として研究を行い、帰国後は名古屋大学理学部の教授に就任しました。

   野依博士はキラル触媒による不斉反応の研究により、イスラエルのウルフ賞、米国化学会ロジャー・アダムス賞、2001年にはK・バリー・シャープレス博士とウィリアム・S・ノールズ博士と共同でノーベル化学賞を受賞するなど、数多くの著名な賞を授与されています。

   さらに博士は、独立行政法人理化学研究所の理事長も経験されており、英王立協会や全米科学アカデミーの外国人会員でもあり、第1次安倍内閣の教育再生会議の座長を務められました。

野依良治博士

  OISTのピーター・グルース学長は、新理事就任について次のように語りました。「エルヴィン・ネーアー博士と野依亮二博士がOIST理事会メンバーに加われたことを大変喜ばしく思います。両名は世界的に著名な科学者であられるだけではなく、真のリーダーでもあります。今後、OISTの使命とビジョンを達成すべく、お二人からのご助言を頂けることを楽しみにしています。」

 

広報・取材に関するお問い合わせ:media@oist.jp

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