2015-11-27

OISTのトップサイエンスに寄与するアリ類標本群「高嶺コレクション」

 11月26日、地元のアリ研究家・高嶺英恒氏が半生をかけて集めた貴重な沖縄のアリ類標本群がOISTに寄贈され、OISTにおいて寄贈式が行われました。

 OISTでアリの研究を進める生物多様性・複雑性研究ユニット のスタッフサイエンティストで、沖縄のアリの多様性を研究している吉村正志博士は、「この寄贈により、沖縄のアリの種類を同定するときに不可欠な、基準となる参照標本群をOIST内に所蔵することになり、今後の学術研究の効率を大きく上げることができます」と語りました。

 沖縄県内には、日本全体で発見されているアリ 296種のほぼ半分である146種のアリが生息していることが確認されています。日本の国土に占める沖縄県の面積の割合が1パーセントにも満たないことを考えると、沖縄のアリの多様性が非常に富んでいることかわかります。しかし、これまでこんなに豊富な沖縄のアリを網羅的に研究できる人は多くはありませんでした。

 中学生の時にたまたま見つけたアリに魅せられた那覇市在住の元中学教師・高嶺英恒さん。 高嶺さんは沖縄尚学高等学校附属中学校の生物・化学教師として教鞭をとる傍ら、地元の利を活かして約 40 年間に渡って県内を回り、自らアリを採集、計1万匹を超えるアリを標本にしてきました。

 こうしたアリの名前を特定するために、『日本産アリ類図鑑』(朝倉書店、2014 年)等の著作のある東京大学農学部講師の寺山守博士らと協力して研究を進めてきた高嶺さんは、沖縄県内で唯一、長期にわたり沖縄のアリ相研究を続けてきたアリ学者であると言え、そのコレクションは、県の自然史の観点、さらには日本のアリ類の多様性を語る上でも高い価値のあるものです。

 高嶺さんより標本を渡されたアルベルヒト・ワグナーOIST学長代理は、「高嶺さんが長年かけて採集された貴重なコレクションを寄贈いただき誠に光栄です」と述べました。

 生物多様性・複雑性研究ユニットを代表してエヴァン・エコノモ准教授は、「沖縄の環境のことは、実際にここに住んでいらっしゃる高嶺さんのような地元の方が一番よく知っています。今回ご寄贈いただいた高嶺さんのコレクションは、沖縄における生物多様性研究と、沖縄の多様性が世界の生物多様性とどのように関連するのかを理解するための研究など、我々が目指す世界レベルの研究ゴールを実現していくための貴重な資料です」と感謝の意を表しました。

 高嶺さんは、「この寄贈によって、沖縄の子供たちが、周りの環境の生物多様性に興味を持ってくれるようになれば嬉しいです」と語りました。

 高嶺さんより寄贈いただいた標本は、「高嶺コレクション」として、同ユニット内の標本棚に保管されます。

 

(大久保 知美)

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