2026年5月15日
沖縄で磨かれたスタートアップ4社が次のステージへ
沖縄科学技術大学院大学(OIST)はスタートアップ支援プログラム「OIST Innovation Accelerator」第8期に採択された4チームによる成果報告会(デモデイ)を開催しました。
これらのチームは、革新的な技術で社会課題の解決を目指す初期段階のディープテックスタートアップとして、2025年に選抜されました。約10か月にわたり、沖縄県およびCOI-NEXT(科学技術振興機構(JST)による「共創の場形成支援プログラム」)からの資金支援に加え、OIST Innovationによる事業開発や研究開発支援を受けながら、沖縄を拠点に国内外への事業展開を進めてきました。
今回の成果報告会では、医療、通信、水産、環境技術など多様な分野で挑戦する4チームが登壇。技術開発の進捗、実証の成果、資金調達状況や今後の市場戦略などを発表し、沖縄を拠点に育まれた取り組みが、国内外へと広がりつつある様子が示されました。
CancerFree Biotech(キャンサーフリー・バイオテック)は、オルガノイドを活用し、患者ごとに最適化されたがん治療の実現に取り組んでいます。OIST細胞増殖・ゲノム編集ユニットのフランツ・マイティンガー准教授との産学連携を実現したほか、自社プラットフォーム「EVA-Select」は上場バイオ企業3社に採用され、B2Bモデルへの展開も進みました。さらに国内外で5つの主要アワードを受賞しました。「この1年で、台湾企業との連携締結や論文発表、臨床研究の実施など、さまざまな成果を上げてきました」と語るのは、同社CEOのポー・ハン・チェン氏。2026年には、日本法人および研究拠点の設立、日本と米国での臨床試験登録開始を予定しています。
Perseptive(パーセプティブ)は、大規模災害時でも通信を維持する強靭なマルチネットワーク通信プラットフォームの構築に取り組んでいます。昨年にはMinimum Viable Product(MVP:実用最小限の製品)の開発を完了し、OIST Accelerator卒業スタートアップのVyoriusおよび日本ドローン機構(JDO)と共同で実証試験を成功させました。「今後はさらなる研究開発の加速に向けた資金調達にも取り組んでいます」と、同社のカゲンドラ・クマール・センガーさんは、次のステージに向けた意気込みを語りました。
Strout(ストラウト)は、水産養殖のデジタル化に取り組み、現場データの活用を通じて持続可能で効率的な生産体制の実現を目指しています。国内外の養殖事業者との連携や10か国以上での活動を展開。菊之露酒造との連携協定締結、インドネシア企業との協業、さらにJICA支援によるブータンでの実証実験など、地域と世界をつなぐ事業を進めています。また、2026年4月にはヤンマー・ベンチャーズの主導による1億5千万円のシードラウンド資金調達を完了しました。同社代表の平林馨さんは、「言語や文化の違いを乗り越え、沖縄から世界へと展開していきたい」とグローバル展開への思いを述べました。
Tlaloc Blue(トラロック・ブルー)は、AIを活用して有機廃棄物を高付加価値資源へと転換するアップサイクル技術を展開しています。初号機プロトタイプの試験を行い、泡盛もろに、豆腐のおから、モズク残さ、サトウキビのしぼりかす、シークワーサー残さなど、沖縄由来の様々な有機廃棄物を用いた試験を実施しました。さらに、菊之露酒造や久米仙酒造をはじめとする沖縄県内企業と連携協定を締結し、副産物の再利用や循環型モデルの構築を進めています「今後は飼料添加物の開発、水産分野への応用にも注力していきたい」と、同社創業者のカリム・ホイネン氏は、新たな事業展開について語りました。同社はOIST Accelerator卒業企業であるStroutとのMOU締結に加え、けいはんなグローバルアクセラレーションプログラムプラス(KGAP+)採択、第11回Hello Tomorrow ChallengeでのDeep Tech Pioneer選出、Antler Residency Program Tokyoへの採択など、国内外で存在感を高めています。
OIST Innovation Acceleratorは、OISTの研究資源や科学知見を世界に開き、多様な起業家や研究者を沖縄に呼び込むというビジョンのもと、2018年に立ち上がりました。当初は1チーム支援から始まった本プログラムですが、現在では毎年4チームを支援する規模へと成長。今回の4チームを含め、これまでに計19チームがプログラムを修了しており、OISTを中心としたスタートアップコミュニティの広がりを示しています。
「OIST Innovation Acceleratorを立ち上げた当初、研究者やエンジニアだけでなく、起業家やイノベーターを本当に沖縄へ惹きつけられるのか、不安もありました」と語るのは、OIST Innovationの准副学長ローレン・ハ氏。「しかし、皆さんの取り組みが、その価値を証明してくれました。みなさんにとってこれからが本当のスタートです。それぞれの道で、この経験を力に変えていってください。」
10か月の挑戦を経て、OIST Innovation Acceleratorのプログラムを“卒業”した4チーム。その先に広がるのは、市場への本格的な展開です。科学と起業家精神の融合から生まれたイノベーションが、沖縄から世界へと広がり始めています。
そしてOISTは、次なる挑戦者たちを迎える準備を進めています。
現在、OISTでは、本プログラムの2027–2028年度コホートを募集しています、応募締切は2026年6月28日を予定しており、採択されたチームには、最大1,000万円の資金(非希薄化資金)に加え、沖縄での約10か月間にわたる事業化・研究開発支援、さらに研究者やベンチャー投資家とのネットワークへのアクセスが提供されます。詳細および応募については、公式ウェブサイトをご覧ください: https://bit.ly/4fkqk59
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