本学元職員の非違行為に関する第三者調査委員会の調査報告及び本学の対応について

OIST公表事案

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昨年、本学元職員の非違行為(当該職員は2024年12月25日付で懲戒処分済み)が発生し、その原因および影響について精査する必要があると判断し、本年1月31日付で第三者調査委員会を設置しました。

本日、本学は、第三者調査委員会から調査報告書を受領しましたので、その概要と、本学としての今後の対応について、下記お知らせいたします。

1. 本事案の概要

第三者調査委員会による調査の結果、本学元職員が、OISTと業務契約関係にある企業の関係者から、金銭を受領していた事実が確認されました。金銭の授受は2012年から2013年頃に始まり、2024年12月まで継続され、元職員が受領した金額は総額で約2億円にのぼります。これらの金銭は、私的な遊興費等に使用されていたことが明らかとなりました。 一方で、当該企業との取引に関しては、契約金額が不当にかさ上げされたといった事情は見受けられず、本学における業務の調達に関連して、元職員が当該企業を不当に優遇していた事実や、同社に便宜を図った事実は認められませんでした。

2. OISTとしての本事案の受け止め

OISTは世界最高水準の科学技術の研究拠点を形成し、沖縄の自立的発展に貢献するという大きなビジョンの下に設立され、国からの支援によって最先端の研究、イノベーションの創出、地域への貢献を推進し、皆さまからの信頼を築いてきておりました。この度のことはこの信頼を損ねる事態であると認識しております。沖縄ならびに国民の皆さま、これまでOISTの設立・発展を支えてくださった皆さま、関係するすべての方々にご心配をおかけしたことを、心よりお詫び申し上げます。

3. 委員会からの再発防止に向けた提言

今回の事案について、第三者調査委員会の報告書では、本件は元職員におけるコンプライアンス意識の著しい鈍磨によるものであり、当該職員を管理・監督の責にあった上司の歴代副学長、さらにその上の歴代学長に落ち度があったとは評価しがたいとされています。委員会からは、既に講じられている適切な管理に加えて、さらなる再発防止策をお示し頂いております。これらの追加措置は、再発防止に一層寄与するものです。本学はこれを全面的に受け入れ、着実に実行してまいります。  

4. OISTが今後講じる具体的な再発防止策

具体的な再発防止策についてご説明させていただきます。

(1) 内部での牽制の強化

  • 巨額の契約の発議、契約締結に係る手続き、契約執行の監督を行う部署の管理職級職員、担当職員について、定期的に人事ローテーションを行います。
  • またこれらの職員とは定期的に、担当幹部職員と人事ディビジョンとで面接を行い、適正に業務遂行されているか確認します。

(2) 不適切な行為の早期発見

  • メーカー等におけるサプライヤーの通報窓口のように、外部からの通報窓口の存在を契約先などに周知するとともに、その利用を促進してまいります。
  • 調査委員会による調査の対象とはならなかった管理職未満の職員に対して、契約先との間での倫理的に問題となる関係がないか調査し、調査結果に応じて適切に対応いたします。
  • また、数年に一度程度、不祥事の芽を積極的に発見するアンケート調査を実施するとともに、こうした点に特化した内部監査を実施いたします。

(3) 不適切な行為は発覚するという意識の強化

  • これまで行っていた倫理教育で不十分だった点を明らかにし、しかるべき強化策を策定し、実行してまいります。

5. 調達業務における統制の強化

本事案に関しては、契約締結に至る一連の手続き、契約実行段階における業者の監督は適切に行われていたとの調査結果をいただいたところではありますが、本学の調達業務の統制をより確固なものとするため、以下の改善措置を講じます。

(1) 今年度より、施設維持管理業務の発注内容の分割に着手しておりますが、公的機関での施設維持管理業務に係る外部の知見も得て、施設維持管理業務の調達仕様をゼロベースで見直し、発注内容の分割をさらに進めます。

(2) 長期にわたり一者との契約が継続している案件については、内部監査を行うとともにその妥当性と適切性を検証し、複数者での応札を促す対策を講じ、随意契約や一者応札を減らすことにより、競争性を確保します。

(3) 工事関係の契約手続きは施設管理ディビジョンで行ってきましたが、全学にわたる一元的な調達管理体制とするため、施設管理ディビジョンには、調達依頼部署としての業務(調達する物品・役務・工事等の内容を定義する文書の作成、及び購入依頼のシステム入力)のみを残し、入札、契約締結に至る手続きは、財務ディビジョンに移します。

(4) 最後に、独立行政法人における調達合理化計画を参考にし、本学の調達の概況や特徴を取りまとめたうえで、更なる調達の合理化に向けたPDCAサイクルを回してまいります。

以上に記した再発防止策と調達業務の改善に係る対応の管理については、定例の幹部会議で進捗状況を確認し、適切に対応していることを継続的にモニタリングしてまいります。

本学は昨年、5か年戦略「One OIST」を立ち上げました。その中では、これからの5年、そしてその先の大学の成長に向け、内部の業務プロセスや運営体制を見直すこととしております。ただいま申し上げた再発防止策・改善策は、この戦略におけるOne OIST文化の醸成、内部の業務プロセス・運営体制の見直しと同じ方向性を持ったものと受け止めており、再発防止策を着実に実行し、信頼回復に努めてまいります。

今回の事案が発生したことで、皆さまにご心配をおかけしたことについて、重ねてお詫び申し上げます。

OISTは、最も高い倫理的規準と最善の業務管理を実践し、創立当初からのミッションである、国際的に卓越した科学技術に関する教育研究を行い、沖縄の自立的発展に貢献するとともに、日本さらに世界の科学技術の発展を促進し、持続させることに注力してまいります。 皆さまのご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。 

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