2020-08-16

金融と科学の意外な共通点 オープンマインドによって導かれるイノベーション

沖縄科学技術大学院大学(OIST)はこの度、理事会に新たなメンバーとしてイェスパー・コール氏を迎えました。OIST理事会は功績顕著な科学者や大学・その他の組織における経営経験が豊富な人物で構成されており、OISTのガバナンスにおいて核となります。

コール氏は16歳までをドイツで過ごした後に渡米し、ジョンズ・ホプキンス大学の高等国際問題研究大学院で修士号を取得しました。その後、金融ビックバンが始まった日本の金融業界で自身の経験を活かしたいと考え、1985年に来日したことをきっかけに、東京大学や京都大学でリサーチフェローを務めます。以降はJPモルガン証券、メリルリンチ日本証券などでマネージングダイレクターやチーフエコノミストとして日本の金融業界の第一線で活躍し、現在はウィズダムツリー・インベストメンツ、マネックス証券のシニア・アドバイザーを務めます。また、政府の諮問委員会のメンバーとしても名を連ねています。

金融業界での経験を活かし、コール氏はOISTの理事として新たな風を吹き込もうと考えています。「『研究からイノベーション、そしてコマーシャリゼーションへ。』、自らの研究に対して深く専門的に取り組むことは大切ですが、そこからさらに一歩を踏み出し、どうすれば研究内容がイノベーションを起こし、社会やビジネスへの貢献につながるのかという点を導きたいと思っています。OISTが今後サステナブル・イノベーションを起こせるようになった時、それは沖縄と日本にとって明るい未来の到来を意味することでしょう。」とコール氏は話します。

さらに、これまで金融業界でさまざまな企業や組織を見てきたコール氏によると、良い組織にはオープンな環境があると言います。「組織において専門家それぞれの専門性の高さが必要であることは確かですが、狭い世界で日々の改善を続けるばかりでは改革やイノベーションにはつながりません。オープンな環境の中で、壁を越えてさまざまな分野が混ざり合うようなインタラクティブな文化が、新たな開発や本格的なイノベーションをもたらすことに必要です。また、このような環境が、リスクを恐れずに新しいことに挑戦するという健全な意思が自然と組織の中に育まれることにつながります。

「オープンマインドが重要です。これは金融でも科学の世界でも同じことが言えます。例えば、金利や為替など日々の変化が激しい金融の世界では、今日の分析がうまくいっていても明日には全く状況が変わるといったことが頻繁に起きます。しかも、変化の要因は1つではなく、複数のことが関係していることが多いのです。さまざまな要素を見て聞いてそして取り入れる、オープンマインドの考えがないことには、前に進むことができません。常に啓発し続ける必要があるという点はトップレベルの科学と似ています。」とコール氏は話します。

OISTが目指すべき姿について、「ビジョンは国を超えて、グローバルの舞台で戦える存在になること」、とコール氏は自身の経験を振り返りながら強調します。「私は12歳から15歳までの間、当時の西ドイツで競泳のバタフライと平泳ぎの種目でナショナルチャンピオンに君臨していました。しかし、他の欧州諸国が参加するような、より大きな大会に出ると、必ず他国の選手に負け、表彰台に立つことすらできませんでした。OISTは日本ではユニークな存在です。しかし、日本という国を超えて、グローバルの舞台でトッププレイヤーになることを目指す野心を持たなければなりません。OISTの研究者には”自分の研究を追及し続け、その中で世界へ挑戦してください。世界は本物の科学が生むエネルギーや誠実さ、プラグマティズムを求めています。OISTは若く、野心的で、そして、先頭に立つことを恐れてはなりません。」とメッセージを送ります。

(中尾 享二)

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