真珠貝の遺伝子に迫る

OISTマリンゲノミックスユニットの竹内猛研究員が統括した学術誌Zoological Scienceのアコヤガイ特集号が発刊されました。

   OISTマリンゲノミックスユニットの竹内猛研究員が監修した学術誌Zoological Scienceアコヤガイ特集号が発刊されました。アコヤガイは「真珠貝」とも呼ばれ、真珠を作る貝として知られています。2011年5月31日~6月2日に同ユニットは国内の大学や研究機関と共同で「ゲノムジャンボリー」と名づけたアコヤガイのゲノムに関する研究集会をOISTで開催しました。2012年1月17日~19日には東京大学にて、第2回ゲノムジャンボリーが行われました。その後、本集会から発展した研究成果が今回特集号としてまとめられました。

 ゲノムジャンボリーのオーガナイザーを務めた竹内研究員は大学院時代からアコヤガイについて研究を続けています。アコヤガイの研究は、明治時代に世界で初めて真珠養殖を成功させるなど、国内の研究者の努力により発展し、今でも日本がリードをとっています。2回のゲノムジャンボリーにはあわせて60名以上の専門家が集まり、アコヤガイのゲノムの特徴を調べました。

 ゲノムジャンボリーでは、アコヤガイのゲノムを他の生物のゲノムと比較することで類似する遺伝子の存在や、ゲノム間の違いなどを検証していきました。参加者たちは、貝殻・真珠形成の過程や発生生物学の観点などそれぞれの専門分野と関連した遺伝子について研究を進めました。これらの成果が今回の特集号にまとまっています。特集号に掲載された網羅的なアコヤガイの遺伝子情報は、今後それらの遺伝子の働きを実験的に調べる上で大変有用です。

 2012年2月には竹内研究員をはじめとするOIST・東京大学・ミキモトグループなどの研究者によりアコヤガイのゲノムが解読され、この特集号に掲載される研究を含めアコヤガイの遺伝子情報に関する理解が着々と深まっています。今回の特集号には、軟体動物の生殖についてまとめた総説や、貝類特有の筋肉の運動に関わる遺伝子を発見した、などの研究成果が報告されています。こうした情報は、アコヤガイの養殖の改良に貢献し、より良質の真珠を生成できると考えられています。また、貝殻など生体からできる鉱物の研究が発展することで新たな材料開発に繋がり、歯科医術や整形外科の治療への応用が期待されます。

 竹内研究員は、「アコヤガイについて研究している人が一堂に会すのはめずらしいことだから、実現させることができて、しかもこのような特集号を発刊できて嬉しかった。」と振り返りました。

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