新たな科学とイノベーションの拠点が沖縄に誕生

研究とスタートアップの成功をつなぐ架け橋となる新たなインキュベーター施設が完成しました。

沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、研究成果の社会実装と、沖縄を拠点とした国際的なイノベーション・エコシステムの構築を柱に、イノベーション戦略を中核的な使命のひとつとして推進しています。こうした取り組みの一環として、キャンパス内に新たなインキュベーション施設「OIST Innovation Core (コア)」が完成しました。これらの施設は、内閣府および経済産業省の戦略的支援により実現したものです。

Exterior of Core 2
新たに完成したインキュベーション施設。奥が Core 1、手前が Core 2。
新たに完成したインキュベーション施設。奥が Core 1、手前が Core 2。

施設の完成を記念し、2025 年 5 月 24日に竣工式が開催されました。式典には、学内関係者をはじめ、政府、自治体、企業の代表らが出席し、OISTの新たな挑戦の門出を祝いました。

ギル・グラノットマイヤー OIST 首席副学長(イノベーション及びアウトリーチ担当)は、竣工式で次のように語りました。「本日のオープニングは、スタート地点ではなく飛躍的成長への転換点(スケーリング・ポイント)です。OIST はこれまで数年間にわたり、発明からインキュベーション、産業連携に至るまで、着実にイノベーション・エコシステムの基盤を築いてきました」。新たに OIST に加わった施設は、2019 年にスタートした小規模なイノベーション・インキュベーターの成果を発展させたもので、より多様化・高度化するニーズに対応するよう設計されています。OIST 発スタートアップの事業成長を支援に加え、国内外の研究機関や企業との共同研究、投資家や支援機関との連携の拠点としても機能することが期待されています。

Gil giving a speach at the ceremony
式典には、政府、学術界、産業界のリーダーをはじめ、多様な関係者が出席した
式典には、政府、学術界、産業界のリーダーをはじめ、多様な関係者が出席した

OIST Innovation Core は、2 棟構成で延床面積は約 2,000㎡。ウェットラボやドライラボ、共有機器スペース、オフィス、コワーキングスペース、会議室などを備えており、起業初期に必要な研究・開発・実証・連携をワンストップで支援できる環境を整えています。各棟には最大約 30 社、全体で約 140 名の入居を見込んでいます。現在入居している OIST 発スタートアップも引き続き活動を展開するほか、OIST Innovation の事務局も本施設に移転し、支援体制のさらなる強化を図ります。

この取り組みは、卓越した科学を通じて社会に貢献するという OIST の使命を実現するうえで、大きな一歩となるものです。スタートアップの創出支援をはじめ、海外企業のソフトランディング拠点としての機能、アカデミア・産業界・行政・金融との連携促進、起業家教育の推進などを通じて、OIST は沖縄をグローバルなイノベーション拠点へと発展させることを目指しています。

「OIST では、明日の大きな発見は、分野や業界を越え、人と人がつながる出会いから生まれると信じています。これらの建物は単なる物理的な施設ではなく、イノベーションや共創、新しい知見の創出を促す『原動力』です。科学と社会をつなぐ架け橋であり、OIST と沖縄だからこそ成し得る、21 世紀の起業家精神を発信する拠点になるでしょう」と、カリン・マルキデス学長兼理事長は式典で語りました。

Karin Markides at the ceremony
OIST 学長兼理事長 カリンマルキデス ​​
OIST 学長兼理事長 カリンマルキデス ​​

この 10 年間で、OIST は 31 のスタートアップを支えてきました。そのうち 21 社は過去 5 年間に設立されています。2022 年に立ち上げられた OIST ライフタイム・ベンチャー・ファンドはすでに 30 社に投資を行っており、その半数以上が OIST コミュニティと密につながっています。グラノットマイヤー首席副学長は「イノベーションは孤立して起こるものではありません。これらのインキュベーターは、より大きな戦略的ビジョンの一部です。5年から10年後には、OIST キャンパス内に多数の成功したスタートアップが集まる活気あるイノベーションパークが誕生し、地域や国の経済成長を牽引しながら、世界的な課題にも取り組んでいる姿が見えるでしょう。これが、沖縄にイノベーション主導型経済を根付かせるための種まきなのです。」と説明します。

Gathering Space
イベント開催や交流、コラボレーションを促進するために設計された、開放的な交流スペース
イベント開催や交流、コラボレーションを促進するために設計された、開放的な交流スペース
Shared Lab
入居企業が利用できる共用のウェットラボ施設
入居企業が利用できる共用のウェットラボ施設
Shared equipment
共用ラボには研究機器が備えられている
共用ラボには研究機器が備えられている

OIST Innovation Core 1 と 2 のその他の写真はこちらからご覧いただけます。

ご来賓からのコメント

衆議院議員・「OIST の未来を考える自民党議員連盟」会長代行 渡海紀三朗 氏
「OIST が今後も持続的に発展していくためには、教育・研究の充実に加えて、こうした産業界との接点を強化し、スタートアップや地域経済との好循環を生み出していくことが不可欠です。引き続き OIST の挑戦を後押し支援してまいります。」

沖縄県 玉城デニー 知事(池田竹州 副知事がご代読)
「新たにインキュベーター施設が開設されることで、国内・国外から優れたスタートアップや企業が集積し、OIST との研究連携が進められることで、社会の持続的な発展に貢献する成果が、次々と産み出されることを期待しております。」

恩納村 長浜善巳 村長 (山城雅人 副村長がご代読)
「この施設が、沖縄、国内、海外のスタートアップ企業や起業家の皆さまにとって、挑戦と成長を支える拠点となり、多くの可能性を育む場となることを期待するとともに、地域経済の活性化や雇用創出に大きく寄与する存在であり、持続可能な経済発展にとって不可欠なものと認識しております。」

内閣府沖縄振興局長 齋藤馨 氏
「内閣府は、OIST のスタートアップ企業に対する支援を更に加速するため、この度、竣工となったインキュベーター施設の整備を支援してまいりました。 引き続き、OISTの研究力を活かした産学連携や起業支援による沖縄振興を推進するため、OIST を支援してまいります。」

経済産業省 イノベーション・環境局担当 審議官 今村亘氏
「大学発スタートアップの創出・育成等、産官学金 連携の強化による研究成果の社会実装を推進し成長を遂げていただくこと で、沖縄から世界を牽引する産業やスタートアップ企業が排出されること、日本を代表するイノベーション創出の中核的な拠点として発展いただくことを期待します。」

New OIST incubator builing opening ceremony
トップ画像キャプション(左から): 恩納村 山城雅人 副村長、経済産業省 イノベーション・環境局担当 審議官 今村亘氏、衆議院議員・「OISTの未来を考える自民党議員連盟」会長代行 渡海紀三朗 氏、OIST 学長兼理事長 カリン・マルキデス氏、 沖縄県 池田竹州 副知事、内閣府沖縄振興局長 齋藤馨 氏、OIST 首席副学長(イノベーション及びアウトリーチ担当)ギル・グラノットマイヤー
トップ画像キャプション(左から): 恩納村 山城雅人 副村長、経済産業省 イノベーション・環境局担当 審議官 今村亘氏、衆議院議員・「OISTの未来を考える自民党議員連盟」会長代行 渡海紀三朗 氏、OIST 学長兼理事長 カリン・マルキデス氏、 沖縄県 池田竹州 副知事、内閣府沖縄振興局長 齋藤馨 氏、OIST 首席副学長(イノベーション及びアウトリーチ担当)ギル・グラノットマイヤー

 

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