OISTサイエンスフェスタ2021がオンラインで公開

今年のサイエンスフェスタは、ライブ配信と録画配信ビデオを組み合わせた完全オンライン版で開催されました。

1月30日(土)に行われた毎年恒例の沖縄科学技術大学院大学(OIST)サイエンスフェスタは、新型コロナウィルスの影響を受けて、初めてオンラインでの開催となり、例年とは少し異なる形式で開催されました。 ソーシャルディスタンスが保たれるよう配慮した上で行った科学ビデオの録画配信とライブ生配信を組み合わせたオンライン版となりました。

ライブ配信では、新型コロナウイルス感染症にまつわる都市伝説を本当かどうか確かめるプレゼンテーションや、沖縄に侵入してきている外来生物種に関する議論、科学に関する質疑応答などが行われました。また、科学者の一日やキャンパスツアーの様子などを収録した動画も配信するなど、サイエンスフェスタをはじめとするOISTのアウトリーチ活動の多くを担当している地域連携セクションのメンバーの努力によって、充実した内容となりました。結果として、全国の約3,000人がライブ配信や録画配信を鑑賞してくださいました。

ライブ配信は以下から、録画配信はサイエンスフェスタのウェブサイトでご覧ください。

過去のサイエンスフェスタについては、こちらからご覧いただけます。

OISTサイエンスフェスタ2021のライブ配信はこちら
2021年1月30日(土)にオンラインで開催されたOISTサイエンスフェスタを見る子どもたち。総合司会を務めるマイケル・クーパーさんとヤナ・マネヴァさんの姿。

サイエンスアウトリーチの重要性

サイエンスフェスタ終了後、サイエンスコミュニケーションスタッフのルシー・ディッキーが、コンテンツの企画・配信に携わった3人にインタビューを行いました。

  • イベントの裏方として中心的な役割を果たした地域連携セクションスタッフの有銘兼之介さん

  • よく耳にする新型コロナウイルス感染症の3つの噂話を確かめる実験ショーを行った、ポストドクトラルスカラーのクリストファー・ペトコフ博士

  • 科学者の一日を紹介した録画ビデオに出演した、博士課程の学生アイバン・ンボゴさん

対談では、今回のサイエンスフェスタについてオンライン版を開催する上で遭遇した課題やチャンス、そしてサイエンスアウトリーチの重要性について議論しました。その内容は、こちらのポッドキャストからお聴きください。

今年のサイエンスフェスタについて、地域連携セクションでは2つの選択肢があったと有銘さんは教えてくれました。「中止にする選択肢もありましたが、それよりもオンラインで開催することを選びました。地域連携セクションのスタッフをはじめ、OISTコミュニティの多くの方の協力があって成功させることができました。」

さらに有銘さんは、サイエンスフェスタが沖縄にとって重要であると考える理由を説明してくれました。「OISTで行われている科学研究は、自分たちの生活には直接関係ないと思っている方もいらっしゃいます。そのような方たちに科学を学ぶ楽しさを知ってもらうことが、OISTサイエンスフェスタの役割だと思っています。私たちの使命は、地域の方々や学齢期の子どもたちに科学に触れる環境を用意し、様々な科学技術について興味や関心を引き起こすことです。そうすることで、参加者は将来STEM(科学・技術・工学・数学)に関わることになるかもしれません。」

一方、ペトコフ博士が関わった科学実験ショーでは、主に新型コロナウイルスを巡ってよく耳にする3つの疑問に答えることが焦点となりました。その疑問とは、①マスクには予防効果があるのか。②マスクは酸素を取り込む能力に影響を与えるのか、そして、③手洗いは予防に有効なのかというものです。今回の科学実験ショーは、2020年と2021年を中心としたテーマでしたが、ペトコフ博士は、アメリカで化学と物理学を専攻していた学部生の頃から約12年間、サイエンスアウトリーチに携わってきました。

「研究者としての最終的な目標は、ほとんどの場合、何らかの形で一般の人々や社会に利益をもたらすことなので、自分たちの研究を一般の人々に伝える方法を見つけなければなりません。子どもたちや地域の人々が、OISTに来る前には知らなかった科学のことを新たに知って帰っていくことが本当に嬉しいです」とペトコフ博士は語っています。

サイエンスアウトリーチの重要性について話すサイエンスコミュニケーションスタッフのルシー・ディッキーとポストドクトラルスカラーのクリストファー・ペトコフ博士

進化神経生物学ユニットの博士課程の学生であるアイバン・ンボゴさんは、数年前からサイエンスアウトリーチに参加しており、他の科学者も参加するよう強く勧めています。

「サイエンスアウトリーチに参加すると、科学者は自分たちが行っている研究に疑問を抱くようになるでしょう。今行っている研究が何であれ、質問に答えることはできますが、最も難しい質問の中には、なぜ自分たちがそのような研究を行っているのかや、なぜそれが重要なのか?というような科学者ではない人たちからの質問もあります。実のところ、私がいつもいただいているのはそのような質問なのです」とアイバンさんは説明します。

アウトリーチによって地域社会とつながり、自分たちの研究に疑問を持つことができるとして、他の科学者にも参加も勧めるアイバン・ンボゴさん

アイバンさんは、自身が出演した科学者の一日に注目した録画配信ビデオが、科学や科学者に対する理解を深めることに貢献できるのではないかと期待しています。

科学者の一日を紹介するビデオの収録に参加したアイバン・ンボゴさん

地域連携セクションでは、OISTの研究者がコロナ渦においても、安全に地域社会に向けて研究内容を伝えられるようにするため、2021年を通してどのようなオンラインイベントが運営できるかを検討していく予定です。

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過去のサイエンスフェスタについては、こちらからご覧いただけます。

広報・取材に関するお問い合わせ:media@oist.jp

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