OIST第4研究棟でいよいよ研究活動がスタート

OISTキャンパスに新たに加わった第4研究棟により、さらなる学際的研究推進へ

Lab 4 building

沖縄科学技術大学院大学(OIST)のピーター・グルース学長は、世界をリードする研究施設として新設された、第4研究棟をOISTの研究チームにお披露目しました。第4研究棟はOISTキャンパスにある研究棟として、最大規模の2万平方メートル近い床面積を有します。新たな研究棟の完成は、OISTが掲げる10年の戦略計画の中で大きなマイルストーンのひとつとなります。OISTは今後、科学技術分野で世界における日本のリーダーシップを強化し、世界的に活躍する研究者コミュニティの構築により、画期的なイノベーションを生み出していきます。

2016年の着工から2020年4月のオープンニングに至るまで、第4研究棟の建設状況のインターバル撮影を動画化。 音楽:"Rising Interval" by Oceanfront
https://hannes.home.oist.jp
(All Rights Reserved)

「第4研究棟オープニングセレモニーについては、現在の世界各地の状況を鑑みながら改めて開催したいと考えていますが、まず、研究棟新設にあたり、定められた予算と時間内に施設の完成までご尽力いただいた、建築、設計、建設のチームの皆さまに感謝の意を表したいと思います。また、日本政府と関係者の皆さまには、OISTが掲げるミッションへのご理解、そして最先端の研究施設を建設させていただいたことに、深く感謝を申し上げます。世界で活躍する研究者たちが日本に引き寄せられる要因として、国際的なカルチャーや、基礎研究に対する信頼と時間、そして研究に必要な相応の設備が整っていることが挙げられるのは、これまでのOISTの成功が証明しています。」

OISTのプロボストである、メアリー・コリンズ博士は「今回の新研究棟の建設により、沖縄に引き寄せられた幅広い科学分野の、そして国際的な研究チームの構築が実現します。第4研究棟には世界的に認められた物理、数学、化学、生命科学の専門家たちが集結し、多様性に富んだチームによってグローバルの課題に対して共に挑戦していきます」と話します。

この研究棟には24もの研究ユニットが収容できることに加え、OIST幹部らも入居することで、教員と管理部門とが密な連携を取ることが可能になります。

 
第3研究棟の隣に位置する新しい研究棟は、それぞれが地下のトンネルによってつながっています。第4研究棟には大きな窓が多くあり、周囲の景色をパノラマで眺めることができます。

量子物質科学ユニットを主催する岡田佳憲准教授はこの2カ月間にわたりラボ4の機器や設備の設置を行ってきましたが、すべてが完了したことに喜びを噛みしめています。第4研究棟の設備には、防音室に設置された顕微鏡や、新たな量子物質を原子レベルで探索するために特別に設計されたクラスター化装置が含まれます。

岡田准教授は、「私は2年前にOISTに赴任しましたが、これまでは暫定的に第1研究棟を使ってきました。ラボ4が開所し、計画どおりの研究を行うことできるスペースを待っていました。この2年間は、クラスター化装置を一つ一つ設計してきました。そして今、第4研究棟に移り、2年前に比べはるかに良い設計で装置を統合することができるのです。」とラボ4の完成を喜びます。

岡田准教授の研究は物理学と化学にまたがっています。岡田准教授のユニットは今回新たに構築した装置を使用することで、原子スケールで物質を構成していきます。「この装置を使用して、自然に生じる結晶を超える核物質を層ごとに構成します。次に、電子分光法を使用すると、この物質中で電子がどのように反応するかを見ることができます。」

「研究メンバーは装置の使い方についてトレーニングを受けた後に実験を開始しますが、これはメンバーにとって素晴らしい研究機会になるでしょう。また、他の物理学研究室や化学研究室が近くにあるため、研究室間のコラボレーションや学際的研究が加速するでしょう。」

岡田准教授のユニットは、他の23の研究ユニットとともに、第4研究棟に移動する。

研究室のほかにも、ラボ4には、カンセリングのがんじゅうサービスや広くなったリソースセンター、レストラン、その他サービス施設があります。

ラボ4の設計と建造における監督を務めた、OISTのアリ・ガンジロー副学長(施設管理担当)は次のように述べています。

「ラボ4の設計に関する検討は、2015年から、当時の学長、幹部および教員とともに始めました。その後、学長や幹部メンバーが交代したり、新しい教員がOISTに加わりましたが、その誰もがそれぞれ自分の意見を持っていました。さまざまな研究ニーズに応えるために設計を継続的に見直してきましたが、新しいメンバーがこの研究棟に移動して運用が開始された後も見直しは継続するでしょう。」

設計フェーズにおける最大の課題は、各研究分野から第4棟に移るユニットの数がわからなかったことです。「設立以来OISTの基本理念の中心ともなっている、分野の壁を越えた学際的な交流を行うというガイドラインに基づいてこの研究棟を設計しました。つまり、学際的研究を確実に促進するように研究棟のレイアウトを継続的に変更する必要があったのです。」

さらに、ガンジロー氏が強調するのは自然環境への配慮です。「ラボ4周囲の環境を保護することは誰にとっても最優先事項ですが、それだけではなく、OISTはキャンパスを含む周辺の自然環境を保護することを公約しています。建設のすべての段階でこの点を考慮しました。」

OISTの拡張計画では、第5研究棟(ラボ5)が完成すると100研究ユニットを収容する計画ですが、ラボ4はその目標到達に必要な規模をはるかに凌ぐものとなりました。「ラボ4のすべてのスペースが埋まれば、最終的に80を超える研究ユニットを収めることができます。これは、当初の計画を超えるものです」と、ガンジロー氏は言います。

第4研究棟では、カンセリングのがんじゅうサービスや広くなったリソースセンター、レストラン、その他サービス施設が利用できるようになる予定。

がんじゅうサービスやリソースセンターなどの重要なサービスは先に第4研究棟に移りましたが、本研究棟は、4月1日に本格運用が開始されました。

岡田准教授が2年間待ちに待った時がやってきました。これまで準備してきた装置を使って実験が開始する時です。「とても楽しみである一方で、緊張もしています」と、岡田准教授は心境を語っています。

 
第4研究棟のF階はキャンパスの最も高い場所に位置しています。建物内には研究ユニットのために特別に設計された研究設備が準備されています。

研究ユニット

広報・取材に関するお問い合わせ:media@oist.jp

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