抗体検査

2020年5月8日更新

OIST生体分子電子顕微鏡ユニットのマティアス・ウォルフ准教授が率いる研究チームは、COVID-19を引き起こすコロナウイルスSARS-CoV-2の特定抗体の有無を検出可能な血液検査を開始しました 。

現在感染している患者のウイルスからRNAを検出するPCR検査とは異なり、この血液抗体検査は以前ウイルスに感染した人を特定するため使用されます。新型コロナに対する特定の免疫反応は、ウイルスが消失した後も比較的長い期間、検出が可能です。ただし、免疫が持続的かどうかはまだ不明です。

OISTで使用される抗体検査は、酵素結合免疫吸着法(ELISA)と呼ばれるものであり、ニューヨークのマウント・シナイ・アイカーン医科大学のクラマー研究室で最初に開発・検証されたものです。

「この抗体検査は、抗原として機能するスパイクタンパク質と呼ばれるSARS-CoV-2ウイルス表面の一部を使用しています。新型コロナウイルスに感染すると、免疫系が抗原に反応し、タンパク質の表面に結合できる特異的抗体ができます。」とウォルフ教授は説明します。

「抗体検査では、血清を結合抗原にさらします。特異的抗体を含んだ感染した人の血清は、抗原に結合します。 一連の段階で、結合する抗体の量を検出できるため、その人がCOVID-19にかかったかどうかを判断できます。」

本抗体検査を開始するため、スタッフサイエンティストのテギュン・キム博士とジェギョン・ヒョン博士は、博士課程学生であるヨンコン・キムさんのサポートを得て、クラマー 研究室から提供された遺伝子構造からスパイクタンパク質の成分を作って精製しました。 コロナウイルスに特徴的な「クラウン」形状を持つスパイクタンパク質は、ウイルスが宿主細胞への侵入を可能にするための鍵です。

Researchers work on producing the spike protein antigens
細胞は、抗体検査用のスパイクタンパク質抗原を精製する小さな工場の役割を果たす。ヒト胚性腎細胞にスパイクタンパク質遺伝子構造物の導入準備をする、博士課程学生のヨンコン・キムさん(左)。細胞の培養を担当するスタッフサイエンティストのキム・テギュン博士(右)。

また、博士研究員のメリサ・マフューズ博士は、検査のセットアップを担当しています。現在、チームは抗体検査を検証するため、対照実験(ポジティブコントロール)のサンプルを待っているところです。

OISTのその他の研究ユニットも現在、抗体検査をさらに改善するために共同研究をしています。 サクニクテ・トレド・パティノ博士は、パオラ・ラウリーノ准教授が率いるタンパク質工学・進化ユニットの博士研究員であり、大腸菌を使用した抗原生産の最適化を目指しています。

一方、ピナキ・チャクラボルティ教授が率いる流体力学ユニットの技術員、クリスチャン・ブッチャーさんは、日々の検査能力を拡大するため、検査プロセスの自動化に取り組んでいます。 現在、OIST研究者らは毎日約1,000のサンプルをマニュアル作業で検査することができます。

Researchers work on developing automation of the serological test
ベックマン・バイオメック・リキッドハンドラーを使用し、抗体検査プロセスの一部を自動化する手段を開発中のクリスチャン・ブッチャーさん(左)とメリッサ・マシュー博士(右)。

「最終的には、COVID-19の蔓延を完全に理解するため、沖縄のコミュニティの皆さんをこの検査を用いてスクリーニングし、政策決定に役立てることを期待しています。」と、ウォルフ准教授は語っています。

本研究技術については、沖縄県の医療関係者らとの対話がなされ、沖縄県は6,000人の住民のパイロットスクリーニングを要請しています。

Researchers work on developing automation of the serological test

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