3Dプリンターが起こす「ガラス革命」

ガラス造形用デジタル3Dプリンターで思い通りの研究用ツールを作製!?

   3Dプリンティングは今やイノベーションの一翼を担う技術として注目されています。小さな人口歯から巨大ジェット機にいたるまで、3Dプリンターを使って生み出される製品は日ましに増えています。沖縄科学技術大学院大学(OIST)では「選択レーザー誘起エッチング(SLE)技術」を用いた3Dプリンターが新たに導入され、精巧な透明ガラス部品を皮切りにさまざまな研究用ツールの開発を目指します。

   透明な材料で3次元構造物を造形できるSLE技術は2つの工程から成り立っています。その第一段階では、機械のレーザーが材料の下から上に向かって一層ずつ細かい構造を描きます。そして第二段階では、分子レベルで描かれたこの微細構造を化学溶液に浸してガラスの不要部分をエッチングという方法で取り除きます。ここでは、材料を「加える」という通常の3Dプリンティングとは反対の、「取り除く」という方法が用いられます。この技術を使えば、極めて精緻な超微小構造のガラス製ツールを作製することができます。

3Dガラス構造物
生殖機能の分析に用いられる細胞分析装置(左)と回転自在のガラス製ギア(右)
Light Fab社

 この機械は厚さ1ミリメートルのガラスに1秒間に50個の穴を開けることができる超高速プロセスで、様々な用途にも対応できます。例えば、マイクロ流体装置に欠かせない複雑な空洞構造の3Dモデルを、フィルターやノズル、ミキサー、反応チャンバー等と同時に作製することが可能です。さらに、溶解ガラスに既成の回転ギアを組み合わせた微小機械構造を作ることもできます。

 この3Dプリンターの管理を任されているOISTメカニカルエンジニアリング&マイクロファブリケーション・サポートセクションの物理研究支援スペシャリストであるディシー・キーラン博士は、同機器の今後の用途拡大に向けて大きな期待を寄せています。「OISTの研究者がこの機械の使い道をどのように見出していくか楽しみです。本学の特色である学際的研究を通して新たな応用方法が切り拓かれると確信しています。」

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