2012-02-22

専門知識の教育に留まらず


ジャンセン総長の講演に熱心に耳を傾ける研究者・職員で満席の会場(OIST)


OISTジョナサン・ドーファン学長(左)とフリーステート大学ジョナサン・ジャンセン総長

 「フリーステート大学の科学の授業では、学生が専門知識の習得だけではなく、思いやり、公正さ、勇気を身に着け、人としてどうあるべきかを学べるよう、人文科学と密接に関係した授業を行っています。」南アフリカ共和国フリーステート大学のジョナサン・ジャンセン総長は2012年2月16日にOISTで行われた講演でこのように語りました。「開発途上国における科学の社会的役割」と題して行われた講演は、多くの聴衆の心を引き付けました。

 高等教育に高い見識と幅広い経験を持ち、南アフリカ人種間関係研究所(SAIRR)の所長も務めるジャンセン総長は、フリーステート大学と本学との共同研究や学生交換プログラムの構築について話し合うため来訪されました。

 講演は、フリーステート大学を紹介する短いビデオから始まりました。同大学は、南アフリカの和解プロセスにおいて、特に若い学生間の和解プロセスの推進に大きな役割を果たしています。またビデオでは、アフリカの他の地域や海外への留学を希望する学生のために同大学が提供している海外留学プログラムについても紹介されました。

 講演の主たるテーマは人々の融合でした。2008年、フリーステート大学ではジャンセン総長が「国家を二分した」と当時を振り返る大変スキャンダラスな人種差別事件が起こりました。ジャンセン総長はこのような事件の再発を防ぐプログラムを立ち上げ、その取り組みを大学全体に広げました。「我々は事件に関与した学生の復学を認めました。彼らをそのまま放置すれば、社会の脅威となることは目に見えていました。どの社会も歴史上の問題やトラウマを抱えています。大切なのは、お互いの声に耳を傾け、話し合うことです。」

 また、ジャンセン総長は、「南アフリカの教育者として私が最も懸念することは、優秀で高い専門知識を持つ一方で、モラルや倫理観に欠ける学生が育つことです。学生が自分を取り巻く世界を理解しなければ、大学で良い成績を収めても意味がありません。」と、語りました。

 最後にジャンセン総長は、「OISTは素晴らしい可能性を秘めています。今後の目標は、学生や若手教員の世界的な学術連携を促進することです。国際社会が一体となった取り組みを進めていきたいと思います。」と述べ、講演を締めくくりました。

(ジュリエット・ムセウ)