UVC殺菌ユニット

ケシャブ・ダニ准教授と研究チームは、病院において必要な時に安全にマスクの再利用を可能にする紫外線殺菌装置を開発しました。

2020年5月2日更新

2020年5月2日更新UVC殺菌装置は、南部病院へ一台が納入されました。先日納入した豊見城中央病院では引き続き利用され、マスクの不足事態を支援するとともに、機器の信頼性につき報告を受けています。

2020年4月27日更新

UVC殺菌装置は、二台が豊見城中央病院へ、一台が那覇市立病院へ納入されました。OISTによって設計・組立されたこれら装置は、医療現場で安全にそして簡単に使用できるように設計されました。

豊見城中央病院ではこれを利用しており、役に立っていると報告を受けています。

2020年4月17日

フェムト秒分光法ユニットのケシャブ・ダニ准教授が率いるOISTのチームは、紫外線C波(UVC)ライトを使用し、N95マスクなどの個人用保護具(PPE)を殺菌する装置を設計・構築しました。この装置はまた、マスク殺菌後の性能を元の仕様と比較することもできます。この装置は1日に約400枚のN95マスクを殺菌でき、これにより供給が限られているマスクの再利用がされることが期待されます。

初段階では、細胞シグナルユニットのへマンタ・シャルマーさんと大嶺奈緒さん、量子波光学顕微鏡ユニットのアンクル・ダールさん、フェムト秒分光法ユニットのビベック・パリックさん、アブドゥ・アルマフブーさん、ヴィクトラス・リスソヴァスさんの間で共同作業が行われました。N95マスクを効果的に殺菌するために必要なUVC線量を直接測定により確立したところ、N95マスクでは、他の材料表面で以前に報告されたよりも100〜1000倍高いことを発見しました。

チームはまた、殺菌後のN95マスクのフィルタリング効率を確認するためのテストも開発しました。喉の後ろにセンサーを備えたCPRダミーを使用し、ダミーが呼吸をシミュレートする時に通過するサブ300 nm粒子数をセンサーがカウントしました。このテストでは、ダミーにN95マスクがある場合とない場合の両方で行い、マスクのフィルタリング効率を決定しました。理想的にはN95マスクは、300 nm未満の粒子の95%をフィルタリングできねばなりません。チームは、適切な線量による複数回のUVC殺菌を行っても、マスクのフィルタリング能力は変わらないことを確認しました。

「殺菌を30回行っても、マスクは良好に機能することがわかりました。制約となる要因は殺菌プロセスではなく、一般的な摩耗であるようです。私たちは現在、地元病院の1つと協力し、医療専門家がマスクを使用してから必要なUVC殺菌線量に曝した後、マスクのフィルタリング効率テストを毎日行っています。この調査は、N95マスクを安全に再利用できるための頻度について確かなデータポイントを提供してくれます。」と、ダニ准教授は説明しています。

病院においてマスクを殺菌し、フィルタリング効率テストを実施するため、グループは病院スタッフが操作できる、使いやすく安全でコンパクトな装置を開発する必要がありました。これらの制約を考慮し、エンジニアリングサポートセクション施設管理ディビジョンから支援を受け、チームは複数の殺菌ユニットを設計、構築、テストしました。最初の数装置が那覇市の病院に納入され、現在さらに構築を行っています。

Photo of members of the Engineering Support Section constructing the UVC boxes.
エンジニアリングサポートセクションのメンバーがUVC殺菌ユニットを組み立てる。
エンジニアリングサポートセクションのメンバーがUVC殺菌ユニットを組み立てる。