COVID-19:ソーシャルディスタンシングの経験についてアンケート調査

 OIST身体性認知科学ユニットのトム・フロース准教授はこの度、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大におけるソーシャルディスタンシング(社会的距離)が、私たち人間の社会や生活にどのように影響しているかについてのアンケート調査を開始しました。

 本研究は、英国にあるブリストル大学、ヨーク大学、バーミンガム大学の研究者との共同研究です。

 「この調査では、自身のソーシャルディスタンシングの経験についてと、それらの経験が自分自身、他人、そして日常生活についての考え方や感じ方にどのように影響したかレポートにまとめ、提供します。私たち研究者は、人々にとってソーシャルディスタンシングの実施を難しくしていた要因を理解したいと考えています。」とフロース准教授は語っています。

 身体性認知科学者としてフロース准教授は、他者との相互作用は人間の心と経験の不可欠な要素であると考えています。これは、もともと主流の哲学と認知科学の周縁にある考え方です。

 「私たちの感情、思考、知覚について考えるとき、通常私たちはこれらの経験は自分自身のものであり、自分自身にのみ依存していると考えます。 私たちは他人に囲まれ、彼らと交流していることを当然のこととして捉えているのです。」とフロース准教授は述べています。

 フロース准教授は、人間の相互作用についてのこの過小評価は、身体化認知の証拠収集が困難であることに起因すると考えています。

 「私たちの社会生活は、あらゆる領域に広がっており、簡単に除外して考えることはできません。しかしこの度、突然の外部環境の影響により、何百万人もの人々が何らかの形で社会から切り離された状況となりました。ですから今私たちは、長期的な社会的孤立が、私たち自身、他者、そして世界における体験をどのように変化させるかについて、現実世界で研究を行うことができるのです。」

 フロース准教授は、この研究により、ソーシャルディスタンシングが人々の精神的な幸福感に与えるプラスの効果についての洞察を行うことにもつながると期待しています。

 「外界から孤立されたこの期間には、良い影響もあります。人々がより落ち着きを感じることができたり、より多くの自由時間を過ごすことができたり、愛する人とのつながりを取り戻すことができたり、また日常のルーティンが途切れたことで人生の優先順位を見直すきっかけになったなど、今回の体験が与えた影響を調査したいと思います。」とフロース准教授はコメントしました。

 7月末まで実施されるこの調査は、世界各地でソーシャルディスタンシングの影響を受けた18歳以上を対象としています。調査への参加に興味のある方はこちらをクリックしてください。