コロナ対策に必要な距離とは?

2020年11月26日

新型コロナウイルスのパンデミックが始まって以来、人との社会的距離を適切に保つため、互いの距離を2メートル以上置くことが世界中で推奨されてきました。 沖縄科学技術大学院大学(OIST)の複雑流体・流動ユニットを率いるマルコ・ロスティ准教授とポスドクのステファノ・オリビエリ博士、そして国際共同研究者らが、この2mという距離が科学的根拠に基づくものであるかどうかを現在調べています。本研究は 学術誌Scientific Reportsに掲載されました。

新型コロナウイルス感染症を引き起こすウイルスであるSARS-CoV-2が、人から人へ伝染する最も一般的な経路は、感染した人が咳、くしゃみ、または話しているときに吐き出す小さな呼吸器飛沫を介することです。 この研究チームは、人が咳をしたときに、大きさが異なる飛沫がどこまで移動できるかを調査しています。

「咳をすると、空気が噴き出します。この空気の噴流の移動と分散は複雑で、湿度と温度だけでなく、流体の乱流によっても影響を受ける可能性があります。」と、ロスティ准教授は説明します。

ロスティ准教授は、過去のデータを使用し、乱流と飛沫の慣性の両観点から、空気の噴流がどのように動くかをシミュレーションしました。 すると、大きめの呼吸器飛沫(100マイクロメートル以上のもの)は、1メートルまでしか到達しないことを発見しました。 しかし、小さな粒子は最大7メートル移動することもあり、世界中の医療専門家が推奨する1〜2メートルをはるかに超えています。また、小さな粒子は急速に蒸発し、流動の乱れる特性により、長期間空中に浮遊したままでした。

Diagram of person sneezing which shows range of flying droplets.
この研究では、大きめの呼吸器の飛沫は、地面に落ちる前に1メートルまでしか飛ばないことがわかった。しかし、小さな粒子は7メートル先まで移動することもあり、長期間空気中に留まることもある。

パンデミックの最初の数ヶ月で専門家は、ウイルスが呼吸器飛沫と直接接触を介してのみ伝染するのか、それとも空気中に漂っている微粒子を介してもいるのかどうかについて、判断が付きませんでした。

「今回、SARS-CoV-2が空中を浮遊し続けることができることを示唆する証拠が示されましたが、これがコロナウイルスの拡散にどの程度寄与するかについての科学はまだ明らかになっていません。すべての飛沫にウイルスが含まれているわけではなく、すべてのウイルス粒子が感染を引き起こすわけでもありません。 1メートルの距離を保つことは、沈降する飛沫を避けるためには十分であるため、社会的距離のアドバイスに従う価値はあります。 しかしこれに加え、マスクを着用し、頻繁に手を洗うべきです。」と、ロスティ准教授は語っています。

ロスティ准教授は現在、オフィスやスーパーマーケットで見られる仕切りを設置することによる影響と、飛沫の移動距離についての男女差についても研究しています。

※本研究は新型コロナウイルス感染症対応HPCI臨時公募課題(課題番号:hp200157)の計算資源の提供を受け、実施しました。

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