ストックホルム青少年水大賞日本代表の沖縄尚学高等学校を激励
2023年「日本ストックホルム青少年水大賞」を受賞した高校生チーム「沖縄尚学高等学校BiO2」（那覇市）の皆さんが、7月26日にOISTを訪問しました。OIST研究支援ディビジョンが研究をサポートした経緯があることから、カリン・マルキデス学長兼理事長らがチーム「BiO2」と面談し、祝福と激励の言葉を述べました。
「夏のノーベル賞」とも呼ばれる権威ある国際的な科学コンテスト「ストックホルム水大賞」。日本ストックホルム青少年水大賞は、そのジュニア版である「ストックホルム青少年水大賞」に推薦される国内予選として開催されるもので、グランプリを勝ち取ったチームには8月にスウェーデンで開催される国際大会への出場権が与えられます。今年のコンテストで日本代表として選抜されたのが、沖縄尚学高校3年生の我如古梨乃（がねこりの）さん、赤嶺太一（あかみねたいち）さん、佐渡山風羽（さどやまふう）さん、新城有希葉（しんじょうゆきは）さんからなる4名のチームでした。学校の近くにある漫湖湿地のマングローブ林を構成するメヒルギの水質改善機能に着目したプロジェクトが高く評価されました。
生活排水から流れ出る重金属イオンにより水質汚濁が進んでいた漫湖公園周辺の環境下でも生息域をひろげるメヒルギの生態に注目したチームは、メヒルギが水中の金属汚染物質を吸収し落葉させることで体外に排出し水質を改善しているのではないか、という仮説を立てました。落ち葉の中に含まれる金属イオンを調べることで、仮設を立証できると目論んだチームは、高校にある機器を活用するなどして解析を試みましたが、思うように正確な結果を得ることができませんでした。「そこでOISTに相談したところ、微量な金属成分を分析できるOISTの質量分析計を使わせてもらえることになりました。」と、チームの一員である我如古さんは話します。
OISTでは、BiO2からの最初の相談を受け取った後、沖縄の熱意ある高校生たちのために何かお手伝いできればという思いから、この活動を支援することにしました。OIST機器分析セクションのリーダー山内一夫博士およびスペシャリストの飯沼賢輝博士が、高校生の皆さんとやりとりを重ね、今回の研究目的に応じたサンプル処理法や分析方法について助言や指導を行いました。難しいサンプル前処理や質量分析計による計測、及びデータの解釈は飯沼博士が支援しました。その結果、若葉に比べて落ち葉に含まれる金属イオン濃度が高いことがわかり、吸収した金属イオンを落葉させることで有害物質を体外に排出している可能性が示唆されました。
カリン・マルキデス学長兼理事長は激励会で「いくつになっても好奇心を持ち続けることは、人生において多くの思いがけない驚きをもたらしてくれます。世界は既成概念にとらわれない考え方を必要としています。好奇心と創造性を発揮する機会はこれからもたくさんあると思います。どんどんチャレンジしてください！そして私の母国であるスウェーデンを楽しみながら、大会で良い結果を残せますように。」と高校生たちにエールを送りました。
激励会では、1か月後に迫った国際大会に向けて、高校生たちの英語でのプレゼンテーションのリハーサルも行いました。研究をサポートした飯沼博士、山内博士および、OIST研究リソースシニアマネジャーの島貫瑞樹博士から、研究内容に関する具体的なアドバイスをしたほか、ランゲージ・エデュケーション・セクションのジャスティン・チャールズ・フォスター・サザーランド教師、デジタルアセットクリエイターの瀬良垣香織さんも参加し、国際大会に向けて背中を押しました。
今後の意気込みについて新城さんは次のように述べました。「私たちはそれぞれの進路に進むので、この4人で一緒に研究を続けることはできないかもしれませんが、後輩たちに引き継ぐなどして、ぜひ今後もこの研究が続いていけばいいなと思っています。私は科学に興味があるので、こういった研究プロジェクトにこれからも携わっていきたいです。そしていつか学生や研究者として、OISTに来ることができるといいなと思っています。」
ストックホルム青少年水大賞の発表は、8月20日からスウェーデンで開催されます。OIST一同、沖縄から皆さんの活躍を応援しています。
