ナノ工学電極により微生物燃料電池の効率が大幅に向上

廃棄物が人類のエネルギー問題の解決策となるかもしれないと考える研究者がいます。汚泥から重金属まであらゆるものを取り込み、その老廃物の1つとして電気を生産する細菌を利用しようというのです。

 廃棄物が人類のエネルギー問題の解決策となるかもしれないと考える研究者がいます。汚泥から重金属まであらゆるものを取り込み、その老廃物の1つとして電気を生産する細菌を利用しようというのです。

 しかし、多くの優れたアイディアと同様、細かい部分に問題が残っています。OISTの生物システムユニットでは、実際の応用につなげるため、廃棄物を燃料とする微生物燃料電池(MFC)の低コスト化と高効率化に向けて研究を続けています。

 この目標を達成するにあたって大きな問題の1つは、電気を十分に伝導し、腐食に耐え、その表面に付着する細菌に毒性のない、頑丈で安価なMFC用電極をデザインすることです。そこで、ナノ粒子技術研究ユニットは、生物システムユニットと共同で、新しいタイプのナノ粒子付着電極を作製および試験しています。そのアイディアとは、安価な素材のコアを高価な生体適合性の金属で薄層コートし、その後、得られたナノ粒子を炭素電極の表面に付着させるというものです。この技術では最小限のコストで高価な金属の特性を利用できるだけでなく、電極の表面積が増大するため、より多くの電気生産細菌を培養することができます。

 他の研究によると、ナノ粒子付着炭素電極では、普通の炭素電極と比較して、MFCの電気生産量が最大で20倍に増加することが示されています。ナノ粒子技術研究ユニットを率いるムックレス・ソーワン准教授は、電極表面に付着させるナノ粒子について様々な粒子サイズ、組成、表面ピンニング方法を試験することにより、電気生産量を増加させたいと考えています。ソーワン准教授は「最先端の研究を取り入れるこの革新的な学際的アプローチによって、効率的な微生物燃料電池が開発されるかもしれないと期待しています」と語っています。

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