2012-02-20

OIST保健師が被災者に届けた一筋の光


 


富岡町出身の老夫婦


仮設住宅にて

 2011年3月11日に起きた東日本大震災では、東北地方太平洋沖大地震とそれに伴う津波、その後に起きた福島原発事故によって、大勢の方が仮設住宅や借上げ住宅への入居を余儀なくされ、こうした被災者の生活環境を見聞きする度に昨年の大惨事が思い起こされます。政府が用意したこれらの仮住まいの中で、被災者たちは国からの物的支援を頼りに先の見えない不安に直面しています。

 去る2月上旬、OIST保健士の野町明代さんは、被災地復興支援のためボランティアで福島県郡山市に避難している同県双葉郡富岡町の人々を訪れました。ボランティア活動中に住民の方々から投げかけられた質問の多くは、「故郷に帰れる日がくるのか」、「震災前の生活に戻れるのか」、それとも「これらの望みを捨て、全てを一からやり直さなくてならないのか」といった内容であったと野町さんは振り返りました。今回彼女が取得したボランティア休暇は、OIST職員が社会貢献活動に参加するために設けられているものです。

 野町さんが参加したのはNPO日本臨床研究支援ユニットが中心となって運営している「きぼうときずなプロジェクト」です。同プロジェクトは昨年3月の福島原発事故を受けて設立され、県内3つの町の被災者への医療・看護ケアを行っています。野町さんは5日間で17世帯を訪問しました。「毎朝まず郡山市内に移転した富岡町役場に集まり、他のボランティア看護師や婦長と一緒にその日訪問を予定している家族に関する情報の確認を行い、資料と義援金を準備しました。そして訪問先に電話を入れ、家にその家族がいることを確認してから現場へ向かいました。訪問先では、緊急を要する生活支援や心のケアを中心に聞き取り調査を行い、血圧および体温測定、身体検査等、複数の検査を実施しました。一日の最後には再び町役場へ戻り、報告書をまとめ、婦長へ訪問内容や検査結果について伝えました」と、野町さんは被災地での任務を説明してくれました。

 最後に野町さんは、「ボランティア活動は、人を助けるだけでなく、人から学ぶ経験でもあります。被災者の多くが現在直面している困難に対し、非常に良く対処されていたので驚きました」と語っています。「先の見えない将来に不安を感じながらもお互い笑顔で明るく接し、他人を思いやる気持ちを絶やさず僅かな食糧さえ分け合って生活しているのです。今回の被災地訪問を通して私が学んだことは、相手の話に真摯に耳を傾け理解しようと努めること、そしてただ傍にいてあげることによって力になれる時がある、ということです。復興には時間を要しますが、そこには確かな希望があります!」と野町さんは力強く語ってくれました。

(ジュリエット・ムセウ)