14.3.8 著作権に関するルール

著作権は、著作権法の対象となる、最初に創作された、ソフトウェアその他の著作物に関する知的財産の所有権及び複製に関する権利です。著作物の複製に関する全ての権利は、「職務著作物」(著作権が本学に帰属することを規定する著作物に関する契約)に該当する場合、特定プロジェクトの遂行のために本学から直接の資金分配による支援を受ける場合、本学による委託の場合、本学の資源又は人的資源を「単なる付随的な利用を超えて利用」する場合、又はその他の契約上の義務の対象となる場合を除き、著作物の創作者が留保するのが本学の方針です。
 
本学の著作権に関する方針は、以下の項目の達成を目的としています。
本学における自由で創作的な表現の育成、並びに思想及び活動の交流を可能にすること。
学術的著作の公表に関して伝統的に本学が有する慣行と特権を保全すること。
本学において制作された著作権の対象となり得る物から生ずる収入を分配するための原則と手続を確立すること。
本学の資産と出版権を保護すること。
 
本学における全ての教員、職員、雇用関係のある学生、大学院生及び博士研究員(ポスドク)、並びに、本学の教育及び/若しくは研究、若しくは奨学金事業に従事又は従事しようとする被用者以外の者は、この基本方針に拘束されます。また、これらの者は、特許及び著作権に関する合意書(PCA又はPCA2)を締結しなければなりません。PCAは、一部の例外を除き、本学における活動から生ずる「著作物性を有する著作物」に係る権利を本学に譲渡する契約です。ただし、この基本方針の適用により、この基本方針の適用対象となる者については、PCAの締結の有無及び記録の有無に関わらず、「著作物性を有する著作物」に係る権利を譲渡したものとみなされます。前記の著作物について本学が受け取る使用料等収入は、通常、以下に規定する本学の基本方針に従い分配されます。物理的に具体化された「著作物性を有する著作物」は、本学の研究成果有体物に関するルールの対象となることもあります.
 
14.3.8.1 著作権保護の範囲。著作権保護は、思想、方法、概念、発見等それ自体には及ばず、具体化、描写又は説明された著作物のみに及びます。例えば、製造方法を記述した説明は、著作権の対象となりますが、著作権は、その説明が無許諾で複製されることのみを防ぐものであり、記載された方法自体は、特許等、他の方法による保護を受ける場合を除き、自由に模倣することができます。著作権法に規定される各種の例外及び制限に服する他、著作権の所有者は、その著作物を複製する独占的権利を有し、二次的著作物を創作したり、又は販売等の方法により市場に流通させたり、公に展示したり実演したりすることができます。著作権に係る所有権は、著作物が具現化された有体物の所有権とは別個独立して生じます。例えば、ある人がビデオテープを購入したとします。この人はビデオテープの所有権を取得しますが、その内容を一般に公開して利益を得る権利まで必ずしも取得しません。
 
14.3.8.1.1 書籍、論説、及びこれに類似の著作物(特許性のないソフトウェアを含む)。この章の規定の対象となる範囲を除き、その表現形式がいかなるものであっても、本学は、教育学的、学術的又は芸術的著作物の所有権を主張しません。これらの著作物には、教育の過程において学生が創作する学位論文、論文、論説も含みます。一般向けノンフィクション、小説、教科書、詩歌、楽曲、特許性のないソフトウェア又はその他の芸術的創作物について、それらが、本学の著作物でなく、そして、本学の資源、又は本学の非教員被用者が職務として行う役務を著しく利用したものでない場合、本学は、それら(に係る著作権)について所有権を一切主張しません。
 
14.3.8.2 本学の著作物。本学は、本学の著作物として創作された著作物の所有権を保有します。本学の著作物は、本学の資金の具体的配分により支援される著作物又は具体的な本学の目的のために本学の指示により創作された著作物を含みます。また、本学の著作物には、一人又は複数の個別の著作者による著作物というよりは、むしろ複数の教員及び学生による同時又は長期にわたる一連の貢献によって創作された著作物に該当するものも含みます。例えば、複数の教員及び学生が長期にわたり開発及び改良したソフトウェアツールのように、著作者を一名又は特定のグループに限定することが適切でないものは本学の著作物に該当します。しかし、単に複数の個人が著作物の創作に貢献したという事実があるだけでは、そのことから直ちにその著作物が本学の著作物を構成するとの結論が導かれることはありません。
 
14.3.8.3 被用者以外の者による著作物。コンサルタント、独立した契約当事者等(被用者以外の第三者)による著作物は、著作権の帰属に関する契約が別途締結されている場合を除き、原則として本学ではなくその著作者に著作権が帰属します。しかしながら、上記著作物の所有権を本学が取得するとするのが本学の基本方針です。従って、本学は、原則として、所有権を被用者以外の第三者から本学に譲渡し、被用者以外の第三者は、本学による著作物の自由な使用及び利用許諾に同意する、との書面による契約を要求します。本学において、全ての教職員、雇用関係のある学生、大学院生及び博士研究員(ポスドク)、並びに本学の教育及び/若しくは研究、又は奨学金事業に従事又は従事しようとする被用者以外の者は、速やかに統括弁護士に連絡をとり、被用者以外の第三者との契約が適切なものとなるようにする必要があります。被用者以外の第三者が作成し、本学が保有することとなる著作物の例として、以下のものが挙げられます。
委託研究の成果 
コンサルタント又は再委託事業者による報告書
コンピュータソフトウェア
建築用図面又は設計図
図解又は意匠図
芸術的著作物
 
14.3.8.3.1 第21章「大学資源の使用」において説明するとおり、本学の資源は本学の目的にのみ使用されるものであり、個人の利益若しくは商業上の利益のため、又はその他の本学と無関係の目的に使用されてはならないものです。従って、「著作物性を有する著作物」の創作者が、本学の被用者でない者により提供される役務又は本学の資源を、「単なる付随的な利用を超えて利用」して著作物を創作した場合は、その創作者は著作物をTLSに開示し、本学にその権原を譲渡しなければなりません。付随的な利用の範囲について疑義があれば首席副学長(技術開発イノベーション担当)に質問して下さい。
 
14.3.8.4 オープンソースソフトウェア。本学では、研究利用における全ての面においてオープンソースソフトウェアソリューションの利用を奨励しています。ソフトウェアについての知的財産権は本学が保有し、一切の頒布は本学の明示の許可がない限り許されないとするのが本学の基本方針ですが、オープンソース許諾契約に基づく頒布を意図するソフトウェアについては、本基本方針の包括的免除の対象とします。本学は、研究目的のソフトウェア開発に携わる全ての職員に対してオープンソース許諾契約条項(例えば、GNU一般公有使用許諾)に基づきソフトウェアを公開すること、及び、適宜、既存のオープンソースソフトウェアプロジェクトに貢献することを奨励します。
 
14.3.8.5 ビデオ録画、及び関連する教育上の技術。本学で行われた授業内容及び教育用教材は本学に帰属します。ビデオ録画又はその他の媒体に記録された授業内容は全て本学の所有物であり、研究科長の許可なく他に頒布することはできません。学生の利用のため又はその他の本学の目的のための一次的ビデオ録画又はその他の複製については、包括的許可が与えられます。ビデオ録画に先立って、副学長(広報担当)(16章)及び完成品に登場する全ての人物から許諾を得る必要があります。
 
14.3.8.6 本学の契約上の義務。この著作権に関する基本方針は、第三者との間における委託研究契約、利用許諾契約等を含む他の契約、許可又はその他の契約に基づく成果物に関して本学が負う義務について本学の履行能力を制限するものと解釈すべきではありません。委託研究契約又はその他の本学が負う契約上の義務の対象となる「著作物性を有する著作物」は、本学が契約上の義務を履行するため、本学が所有します。
 
14.3.8.7 創作者への著作権再譲渡。この基本方針の規定によって著作権が本学に譲渡される場合、当該著作権に係る著作物の創作者は、統括弁護士に対し、所有権の創作者への再譲渡を請求することができます。統括弁護士の裁量により、以下のいずれにも該当しないことを条件として、その請求が認められることができます。 
(1)請求が本学の又は本学への法的義務に違反しないこと。
(2)請求が本学によるその物の適切な利用を制限しないこと。
(3)請求がその創作者について現実的又は潜在的利益相反を生じないこと。
(4)請求が本学の目的又は原則とのその他の矛盾を生じないこと。
 
14.3.8.8 基本方針の管理。著作権に関する所有権又はこの基本方針の適用対象となるその他の事項についての疑義は、統括弁護士により解決されなければなりません。
 
14.3.8.9 利用許諾契約の締結及び収入の分配。TLSは、公共の利用及び公共の利益のために最も効果的な方法による技術移転に努め、この目的のため、本学が所有する商業化の可能性のある発明又は著作権の対象物の評価、市場調査、交渉及び利用許諾契約締結の責任を負います。本学が所有権を有するコンピュータデータベース、ソフトウェア及びファームウェア、並びにその他の「著作物性を有する著作物」は、TLSを通じて利用許諾契約が締結されます。この手続の適用除外は、予め首席副学長(技術開発イノベーション担当)による承認を受けなければなりません。
 
14.3.8.10 使用料等の分配。使用料等は、通常、この章の使用料等の分配と資本参加に規定する本学の基本方針に従って分配されます。著作権の保護だけが主張される場合の使用料等は、通常、関連する教員(研究委託契約に基づかない場合は、プロジェクトの責任者)によって特定される個人の間で、著作物に対する相対的貢献度に従い、「発明者への分配分」の場合と同様に分配されます。使用料等を個人に分配することが不可能又は不公正となる場合(例えば、著作権の対象物が研究室のプロジェクトとして開発された場合や、個人への使用料等の分配が学術的考慮に基づく優先順位を歪めるような場合)には、当該「発明者への分配分」は、著作権の対象物が開発された研究室の研究費用に分配されます。発明者の所属する研究室が解散した場合は、当該研究室への分配分は本学に譲渡されます。以上に関する決定は、案件毎に個別に教員又は研究担当ディーンに相談のうえTLSが行い、首席副学長(技術開発イノベーション担当)がこれを承認します。
 
14.3.8.11 譲渡。本学が所有する「著作権の対象となる著作物」のいかなる譲渡、利用許諾その他の合意も、その行為について権限者からの特別の授権がある場合を除いて、有効となることはありません。
 
14.3.8.12 著作権表示への本学名称の使用(第16章「学内外のコミュニケーション・広報」を参照)。著作権表示には、本学以外の組織、部署、研究室又はプロジェクト名を使用してはいけません。もっとも、読者からの問合せ窓口となる研究室又はプロジェクトの名称及び住所が著作権表示の下に記載されることはありえます。表示に含む日付は、当該著作物が最初に公表された、つまり、公衆又は相当数の聴衆に頒布された、「年」を記載します。さらに、著作物は所定の様式により、著作権を扱う行政機関(文化庁)に登録することができます。登録申請の様式はTLSで入手することができます。また、著作権表示及び登録制度に関する質問も同セクションが担当します。
 
14.3.8.13 他人が著作権者である著作物の複製。本学コミュニティのメンバーは、他の著作権者の権利を侵害しないよう注意が求められます。研究科長又は統括弁護士に連絡し、教室での利用のための複製に関する基本方針を確認して下さい。図書館での利用のための複製に関する基本方針は、本学司書の部署で入手することができます(6.3.4章)。
 
14.3.8.14 委託研究契約。委託研究契約及び研究助成(契約)には、多くの場合、著作権、データに関する権利、使用料等、公表及び財産的データ、コンピュータソフトウェア、利用許諾等の多様な種類の物に関する複雑な条項が含まれています。個別の委託研究契約や研究助成(契約)に関する具体的条項に関する質問、又は各種行政機関が所管する規則及び関連法令についての質問は、本学の外部研究資金セクション(GRC)が担当します。

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