14.3.7 特許の実施許諾(ライセンス契約締結)

本学は、産業界が、本学の研究から生ずる発明及び技術を、公共の利用及び利益を目的として開発することを奨励します。また、特許又は著作権の形をした財産権を保護することによって、企業がその発明を展開するために人的及び財産的資源を投資するリスクを負うことを奨励すること、そしてそのことは特に基礎研究に基づく発明について顕著であることもよく理解しています。そして、時には、企業が商業的展開及び生産を実施するインセンティブを与えるために、独占的実施を許諾することも必要かもしれません。また、非独占的実施許諾であれば、複数の企業が発明を有効に活用することも可能です。
 
全ての発明が特許性を有するわけではありません。特許性に関する問題は、多くの場合複雑であり、通常、専門家による判断を必要とします。とはいえ、発明がその発明の分野における通常の知識を有する者(当業者)にとって自明なことであってはいけないということが、特許性を判断する重要な基準であるといわれています。そして、すでに公に知られていない、あるいは国内外を問わずいずれかの地で発行された文献に記載されていない、という意味で新規性を持つものでもなければなりません。
 
14.3.7.1 優先事項。本学の研究及び教育の使命は、常に特許に関する考慮に優先します。本学は特許開発の恩恵を十分理解していますが、本学の研究の方向性が、特許に関する考慮又は個人の金銭的利益により、定められ、あるいは不当な影響を受けたりしないことが最も重要です。なお、研究及び教育を優先することによって、発明者のTLSへの発明開示義務を免除するものではありません。 
 
14.3.7.2 実施許諾の責任。TLSは、本学が所有する商業化の可能性のある発明の、評価、市場調査、交渉及び実施許諾を担当します。
 
14.3.7.3 使用料等の分配と資本参加。現金収入使用料等及び資本参加は、原則として以下に従います。
 
14.3.7.3.1 現金収入使用料等。TLSの経費を控除した後、使用料等収入は3等分され、発明者、発明者の所属する研究室及び本学にそれぞれ3分の1ずつ分配されます。研究室が複数ある場合は、研究室へ分配される3分の1について、発明者がその発明への貢献を考慮して各研究室への分配を指定します。発明者の所属する研究室が解散した場合は、当該研究室への分配分は本学に譲渡されます。
 
14.3.7.3.1.1 総使用料等収入から、まずTLSの管理経費として15%が、次に特許出願費用等の直接経費が控除されます。
 
14.3.7.3.1.2 使用料等の分配に関する意見の不一致は、TLSが審査とその解決を担当します。TLSの決定結果に不服のある当事者は、学長に不服申立てをすることができます。
 
14.3.7.3.2 資本参加。本学は、実施許諾契約の一部として、法人実施権者に資本参加することがあります(売上ベースの使用料等収入を含むその他全ての現金収入は上記14.3.7.3.1の規定に従い分配されます)。
 
14.3.7.4 特許性の喪失。当初特許性を有していた発明が、様々な理由で特許性を喪失することがあります。(例えば、)学会誌への開示又はその他の行為により発明の内容が一般に知られた後、一定期間内に特許庁に出願をしなければ、発明は特許性を喪失します。
 
14.3.7.5 国際特許出願による保護。国際特許出願による保護は世界規模で製品開発をする産業にとって重要な意義を有します。国際特許出願は特許協力条約(PCT)経由によって行います。PCT手続は、出願人にとって多くの利点があります。その一例は、出願後、外国で保護を受けるか否かを決定するまで18ヵ月の猶予期間が与えられることです。
 

 

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