26.3.3 固定資産

固定資産は、有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産とします。以下の用語を固定資産について用いる場合は、下記の定義によります。

  1. 不動産等:土地、建物及び構築物、用益物権
  2. 動産等:少額備品、知的財産権及び不動産等以外の固定資産、並びに図書(固定資産として管理する図書の範囲は、沖縄科学技術大学院大学学園会計基準「第42図書の評価方法について」に定める図書のうち、沖縄科学技術大学院大学図書館が取得し、管理を行うものを対象とします。)
  3. 取得:固定資産及び少額備品(以下「固定資産等」という。)を購入、製作又は自家建設、寄付、交換及び出資等により所有又は占有すること。
  4. 改良:既存の固定資産等に、その運用に必要な工作を施し、当該資産の価値・能力を増加させること。
  5. 保管:固定資産等の使用目的にそって的確に維持すること。
  6. 移管:使用責任者の間において固定資産等の所属を変更すること。
  7. 処分:固定資産等を売却、交換、廃棄、贈与すること。
  8. 除却:処分された固定資産等の登録を抹消すること

26.3.3.1 資産管理責任者
「資産管理」とは、有形固定資産及び無形固定資産の出納及び保管状況を把握することにより、その取得、運用、処分等に関する適正な管理を行うことを言います。

26.3.3.1.1 資産管理責任者は、管理台帳を整備し、資産管理を実施し、研究に有効な 資産活用に努めなければなりません。
26.3.3.1.2 資産管理業務を所掌する経理セクションのマネジャーは資産管理責任者の役割を果たします。
26.3.3.1.3 資産管理責任者は、業務の一部を別の職員に行わせることができます。
26.3.3.1.4 資産管理責任者に事故等があるときは、副学長(財務担当)が命じた者が業務を代理します。

26.3.3.2 固定資産等の管理事務
資産管理責任者は、固定資産等の管理に関して以下の各号の業務を行います。(図書の資産管理については、「PRP 第6章 大学図書館」に定めるとおりとします。)

  1. 固定資産等の使用状況の把握
  2. 固定資産等等の貸付及び処分にかかる手続き
  3. 管理台帳の整備
  4. 固定資産等の日常管理に対する指導助言
  5. 毎事業年度ごとに固定資産の実査を26.3.3.3に規定する使用責任者に行わせ、結果を総括すること

26.3.3.3 使用責任者
固定資産等の管理は、学園の各研究ユニット、セクション、ディビジョン及びオフィス単位で行うこととします。また、その使用責任者は、以下の各号に定める場合を除き、研究ユニット内の固定資産等においてはその長である教員、セクション内の固定資産等においては当該セクションリーダー、ディビジョン及びオフィス内の固定資産等(ただし各セクションリーダーが使用責任者となっている固定資産等を除きます)においては当該組織に所属するマネジャー相当またはそれ以上の職にある者とします。

  1. 共有スペースに設置された共有の固定資産等の使用責任者は、次のとおりとします。
    ① 什器(実験台、家具、棚など):施設管理ディビジョンの担当セクションリーダー
    ② 研究機器(研究用の冷蔵庫を含む):コアファシリティの担当セクションリーダー
  2. 使用部署が未定、又は閉鎖した研究ユニットで使用されていた固定資産等の使用責任者は、次の使用部署が決定するまでの間、次のとおりとします。
    ① 什器(実験台、家具、棚など):施設管理ディビジョンの担当セクションリーダー
    ② 研究機器(研究用の冷蔵庫を含む):コアファシリティの担当セクションリーダー
    ③ IT機器:ITディビジョンの担当セクションリーダー
  3. IT機器の固定資産等の使用責任者は、一義的には当該IT機器が購入、又は移管された研究ユニットの長である教員、セクションのセクションリーダー、ディビジョン及びオフィスの場合はマネジャー以上の管理者とします。(IT機器の資産管理については、「PRP第17章情報技術とセキュリティー」に定めるとおりとします。)

26.3.3.3.1 使用責任者は、資産管理責任者より固定資産等を受け、これを研究活動等に有効に使用させなければなりません。

26.3.3.3.2 使用責任者は固定資産等の使用にあたって、以下の各号に定める事項を遵守し、日常管理にあたらなければなりません。

  1. 保管・使用の状況を管理台帳で整備し明らかにすること
  2. 軽微な修繕を行うこと
  3. 火災・盗難・滅失・破損等の事故防止上、必要な措置を講ずること
  4. 固定資産等の実査を実施し、報告を行うこと
  5. 固定資産等の適正な使用を確保すること

26.3.3.4 使用者の義務
固定資産等を使用する者は、使用責任者の管理監督のもとに、善良なる管理者の注意義務をもって、使用しなければなりません。

26.3.3.5 管理台帳
26.3.3.2の規定に定める管理台帳は、次に掲げるものです。

  1. 固定資産台帳
  2. 貸付台帳 
  3. 借受台帳

26.3.3.5.1 固定資産台帳は、別表に定める分類に基づいて記録を行わなければなりません。

26.3.3.6 取得及び固定資産台帳への登録
固定資産等を取得した場合は、資産管理責任者は当該固定資産等を固定資産台帳に登録しなければなりません。
但し、固定資産等であっても、海洋観測のため海洋に投入され、回収が著しく困難もしくは回収を前提としていない場合は、消耗品扱いとする。

26.3.3.6.1 動産等を取得した場合、資産管理責任者は固定資産台帳に登録し物品ラベルを使用責任者に配布します。使用責任者は速やかに物品ラベルを取得した動産等に貼付します。

26.3.3.7 取得価額
固定資産等の取得価額は以下のとおりです。

  1. 購入した資産は、購入代価及び付随費用
  2. 自家建設したものは、適正な原価計算により算定した原価
  3. 寄付及び出資による場合は、時価等を基準とした公正な評価額
  4. 交換による場合は、譲渡資産の帳簿価額

26.3.3.8 寄付受入れ及び交換
固定資産等の寄付を受入れ又は交換する場合は、所定の手続きを経なければなりません。

26.3.3.9 修繕
使用責任者は、当該固定資産の機能を維持するに必要と認めた場合には、修繕を行わなければなりません。

26.3.3.10 権利の保全
資産管理責任者は、第三者に対抗するため、登記等の必要がある土地、建物等の固定資産について、関係法令に基づき、取得後速やかに登記等を行わなければなりません。

26.3.3.10.1 26.3.3.10の規定で定める登記等の記載事項に変更が生じたときは、遅滞なく変更の手続きを行わなければなりません。

26.3.3.11 保険
資産管理責任者は、必要と認める場合には災害等により損害を受けるおそれのある固定資産について、損害保険を付す等の必要な措置の検討を行わなければなりません。

26.3.3.12 使用
使用責任者は固定資産等の使用者を常に把握しなければなりません。

26.3.3.13 移管
固定資産等の移管の必要が生じた場合は、移管元の使用責任者は移管先の使用責任者と移管の協議を行わなければなりません。移管元の使用責任者は、固定資産の移管後、遅滞無く資産管理責任者に移管申請をしなければなりません。資産管理責任者は移管申請を受けた場合は、固定資産台帳を登録しなければなりません。

26.3.3.14 貸付
経理責任者は、固定資産等を貸付する必要があり、かつ学園の業務に支障がない限り、ここに定める手続きにより他の者に対し固定資産等を貸し付けることができます。

26.3.3.14.1 重要な財産の貸付については理事長・学長の承認を得なければなりません。

26.3.3.14.2 貸付の原則
貸付は、原則として有償で行われなければなりません(以下「有償貸付」という。)。ただし、以下の事項に1つでも該当する場合には、26.3.3.14又は26.3.3.14.1の規定に基づく承認を経て、無償で貸付(以下「無償貸付」という。)することができます。

  1. 学園の研究成果又は業務の普及・啓発その他学園の業務遂行上必要があるとき。
  2. 学園の業務に支障のない固定資産等を、国、地方公共団体、公益法人及び特別の法律により設立された法人に貸付するとき。
  3. 学園の業務に支障のない固定資産等を、大学等研究教育機関に貸付するとき。

26.3.3.14.3 貸付手続き
資産管理責任者は、26.3.3.14又は26.3.3.14.1の規定により固定資産等を貸付しようとするときは、以下に掲げる事項を明らかにして貸付のため必要な措置を講じなければなりません。

  1. 貸付理由及び貸付先
  2. 貸付する固定資産等の名称及び数量
  3. 貸付する固定資産等の仕様
  4. 貸付期間
  5. 貸付する固定資産等の使用場所及び借受者
  6. 貸付期間中の弁償責任
  7. その他の必要事項

ただし、委託研究契約等により、あらかじめ貸付をすることが明らかな物品については、この手続きを省略することができます。

26.3.3.15 処分
資産管理責任者は、使用責任者より固定資産等の返却を受けた際には、他での使用可能性を考慮し、処分の必要性を検討します。

26.3.3.15.1 有効利用が図れないと使用責任者が判断した重要な財産については理事長・学長の承認を得て不用の決定(以下「不用決定」という。)をすることができます。重要な財産以外の固定資産等については経理責任者が不用決定をすることができます。

26.3.3.15.2 重要な財産の処分については、理事長・学長の承認を受けなければなりません。重要な財産以外の固定資産等を処分する場合には、経理責任者の承認を受けなければなりません。

26.3.3.15.3 処分の原則
資産管理責任者は、26.3.3.15.1の規定に基づき不用決定した固定資産等を売払います。ただし売払できないものは、廃棄することができます。

26.3.3.16 滅失、破損、盗難
使用責任者は、所管する固定資産等について、滅失、破損又は盗難の事実を発見したときは、資産管理責任者に速やかに報告するとともに、現況を調査し、業務上の障害の発生又は損害の増大等の防止に努めなければなりません。

26.3.3.16.1 固定資産等について26.3.3.16の規定に定める報告を受けた場合には、資産管理責任者は、速やかに経理責任者に報告しなければなりません。

26.3.3.17 売払
26.3.3.15.3の規定に基づき、売払を行おうとするときは、資産管理責任者は、売払のための必要な措置を講じなければなりません。

26.3.3.18 無償譲渡
原則として、26.3.3.15.3の規定が適用されますが、資産管理責任者は、26.3.3.15.1の規定により不用決定した固定資産等(内閣府令で定める重要な財産を除く。)が、以下の事項に1つでも該当するときは、経理責任者の承認を得て、他の機関または個人へ無償で譲渡(以下「無償譲渡」という。)することができます。ただし、重要な財産の無償譲渡については、理事長・学長の承認をうけなければなりません。

  1. 学園の研究成果又は業務の普及・啓発その他学園の業務遂行上必要があるとき。
  2. 国、地方公共団体、公益法人及び特別の法律により設立された法人に譲渡するとき。
  3. 本学が属する地域との連携交流を強化する目的で、関係地域団体に譲渡するとき。
  4. 大学等研究教育機関に譲渡するとき。
  5. 撤去費が対価を超えることが明らかなとき。
  6. 本学の学生が卒業後に学術研究上の目的でそれを必要とするとき。

26.3.3.19 除却
資産管理責任者は、以下の各号に規定する場合には、速やかに除却を行います。

  1. 災害又は盗難等により滅失したとき
  2. 処分を行い、所有権が消滅したとき
  3. 陳腐化しあるいは不適応化して使用を停止したとき

26.3.3.20 建設仮勘定
工事契約等に基づいて新設、増設又は改良するための全ての支出は建設仮勘定とし、事業の用に供した後、遅滞なく該当科目に振替整理します。

26.3.3.21 資本的支出及び修繕費
固定資産の性能の向上又は耐用年数を延長するために要した支出は、これをその固定資産の価額に加算します。

26.3.3.21.1 固定資産の維持保全のための支出は修繕費として処理します。

26.3.3.22 減価償却
有形固定資産及び無形固定資産については、毎期減価償却の計算が行われます。

26.3.3.22.1 減価償却の方法
償却資産における減価償却の開始は、その資産を取得し、使用を開始した月が、開始月となります。

  1. 減価償却の計算方法は、定額法とします。
  2. 有形固定資産の残存価額は備忘価額1円とし、無形固定資産は零とします。
  3. 減価償却の基準となる耐用年数は法人税法(昭和40年法律第34号)の規定とおりとなります。ただし、受託研究費等により特定の研究目的のために取得した償却資産については、当該研究終了までの期間を耐用年数とします。また、中古資産を寄付等により取得した場合は減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年3月31日大蔵省令第15号)に定める簡便な方法により耐用年数を算出します。
  4. その他特に定めのないものについては、法令等に従って会計処理を行います。

26.3.3.23 評価減
耐用年数の見積もりに当たって予見することのできなかった新技術の発明等の外的事情により、固定資産が機能的に著しく減価した場合には、この事実に対応して臨時に減価償却を行わなければなりません。

26.3.3.23.1 災害、事故等の偶発的事情によって固定資産の実体が減失した場合には、その減失部分の金額につき、当該資産の帳簿価額を減額しなければなりません。

26.3.3.24 資産管理責任者の報告
資産管理責任者は、決算において、固定資産に係る経理情報を経理責任者に報告しなければなりません。

26.3.3.25 実査
使用責任者は、有形固定資産について、毎事業年度に一度、当該資産の実査を行い、現品管理状況の適否及び帳簿記録の正否を実地に確かめ、資産管理責任者に報告します。

26.3.3.25.1 26.3.3.25の規定に関わらず、事務所や研究室の引越し等で固定資産等の設置場所を移動する際や、資産管理責任者が必要と認めたときは、随時使用責任者に実査の実施と報告を求めることができます。

26.3.3.25.2 使用責任者は、帳簿記録と現品の照合に差異を認めたときは、その原因を調査し資産管理責任者に報告をするとともに、差異の原因について対策を講じ、再発の防止に努めなければなりません。

26.3.3.26 借用資産
学園が借受ける資産については、管理台帳を設ける等固定資産に準じた取扱とします。ただし、一時的借用については、省略することができます。

26.3.3.26.1 固定資産等を借受ける場合には、使用責任者は、資産管理責任者へ速やかに報告します。

26.3.3.27 少額備品
少額備品は、取得価額が10万円以上50万円未満の動産(現金及び有価証券を除く。)で1年以上使用が予定されているものとします。

26.3.3.28 換金性の高い物品
取得価額が10万円未満の動産のうち、換金性が高いと考えられるものについては、不正を防止する観点から、より適切な管理や使用が求められます。換金性の高い物品とする対象やその管理方法等については、副学長(財務担当)が別途定めます。

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