魚の進化を考える

OISTマリンゲノミックスユニットの井上潤研究員が、日本進化学会研究奨励賞を受賞しました

Inoue Prize HP image

  8 月 27 日(土)、OISTマリンゲノミックスユニットの井上潤研究員が魚類の系統とゲノムの進化研究について評価され、日本進化学会の研究奨励賞を受賞しました。本賞は進化に関連する研究分野において、大きな発展が期待される若手の学会員に授与されます。今回の受賞に際して井上博士は、「嬉しい。自分の地道な研究を誰かが見てくれていると感じた。」とコメントしました。  

  井上博士は、これまで魚類学の難題に取り組んできました。はじめの10年は魚が進化してきた道筋(系統)を、ミトコンドリアの全 DNA 配列を種ごとに比較して推定しました。大学卒業後は東京大学海洋研究所(当時)で大学院生やポスドクとして学術研究船「白鳳丸」に乗船し、ウナギやその近縁種を中心に採集して種の系統関係の研究を行いました。その後勤めた欧米の研究所ではコンピュータを使ったデータ解析の技術を身につけました。こうした経験が帰国後のゲノム比較研究に役立っています。2013年にOIST着任後は、真骨魚類の進化に迫る研究成果を発表しています。  

  井上博士は、「自然に対する憧れが原動力となって、生物の研究をしている。」と説明します。同博士は自身のホームページを開設し 、発表論文に載らない解析の詳細についても公表しています。こうした情報発信が評価され、2011年には日本進化学会より教育啓蒙賞が授与されました。  

  現在井上博士は、世界中の研究チームより次々と発表されるゲノムデータを生物種間で比較して、脊椎動物の起源に迫る研究を進めています。「研究者以外の人も、面白いと思えるようなゲノムを使った進化研究の論文を出していきたい。」と、今後への抱負を語ってくれました。

広報・取材に関するお問い合わせ:media@oist.jp

シェア: